
更年期障害は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少により引き起こされる様々な症状の総称です。症状は血管運動症状、身体症状、精神症状の3つに大きく分類されます。最も代表的なものがホットフラッシュで、突然顔がカーッと熱くなり、大量の汗をかく症状が現れます。
参考)https://www.jcom.co.jp/service/wellness/column/004.html
血管運動症状には以下が含まれます。
身体症状では肩こり・腰痛が最も頻度が高い症状とされています。その他にも頭痛、めまい、耳鳴り、倦怠感、関節痛、筋肉痛、頻尿、排尿障害などが現れます。
参考)更年期障害の症状一覧と原因・治療方法|京都の足立病院
精神症状としてイライラ感、不安感、憂鬱感、不眠、情緒不安定などがあり、これらはエストロゲン減少によるセロトニンの機能低下が関係しています。
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更年期の症状は、卵巣機能の低下によるエストロゲンの減少が主要因となります。エストロゲンは20代でピークを迎え、40歳頃から卵巣機能の低下により少しずつ減少し、更年期には減少と増加を繰り返しながら変動します。
参考)更年期障害の検査、治療
エストロゲンは月経を整えるだけでなく、身体の様々な場所で重要な働きをしています:
エストロゲンの欠乏により、まずホットフラッシュや発汗などの血管運動症状が早期に出現します。その後、倦怠感やうつ、不眠などの精神症状が現れ、さらに泌尿生殖器の萎縮、骨量減少、脂質異常症、動脈硬化が徐々に進行していきます。
参考)更年期の身体の変化|更年期障害・更年期の悩みのことなら更年期…
更年期は一般的に45歳から55歳頃までの期間を指しますが、女性ホルモンの変化は30代後半から始まります。この35歳頃から45歳頃までの期間は「プレ更年期」と呼ばれ、軽い疲労感、イライラ、睡眠の質の低下などが現れ始めます。
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年齢別の症状の特徴。
30代後半〜40代前半(プレ更年期)
45歳〜55歳頃(更年期)
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55歳以降(アフター更年期)
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更年期症状の本格的な出現は40代後半頃からで、卵巣機能が落ちて月経が不順になり出してからです。
参考)https://www.healthcare.omron.co.jp/bijin/qa/menopause_Q11.html
更年期障害の診断には、ホルモン検査(血液検査)が用いられます。主要な検査項目には以下があります:
参考)女性で更年期障害になりやすい人はこんな人!更年期障害の診断と…
卵胞刺激ホルモン(FSH)
参考)更年期障害の治療について
エストロゲン(E2, エストラジオール)
黄体形成ホルモン(LH)
ただし、女性ホルモンの数値は生理周期によって変化するため、1、2度測っただけで診断することは難しく、症状の訴え、生理周期、ホルモン数値などを総合的に判断します。エストロゲンチャレンジテストという、女性ホルモン剤を使用して症状が軽快するかを確認する検査も行われることがあります。
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更年期症状の緩和には、生活習慣の見直しが重要な役割を果たします。まず、規則正しい睡眠を心がけ、ストレス管理を行うことが基本となります。適度な運動は血行を促進し、肩こりや腰痛の軽減にも効果的です。
食事面では、大豆イソフラボンやエクオールなど、エストロゲン様作用を持つ成分を含む食品の摂取が推奨されます。カルシウムやビタミンDの摂取も骨粗しょう症予防のために重要です。
参考)更年期セルフチェック|更年期障害・更年期の悩みのことなら更年…
ホットフラッシュに対しては、以下の対策が有効です。
精神症状に対しては、カウンセリングや認知行動療法が効果的とされています。また、家族や友人とのコミュニケーションを大切にし、社会的サポートを得ることも症状軽減につながります。
医学的な治療としては、ホルモン補充療法(HRT)が最も効果的とされ、特に精神症状にはエストロゲン補充による改善効果が認められています。漢方薬や抗うつ薬なども症状に応じて処方されることがあります。