

精製シアバターを使っているだけで、脱臭工程でビタミンEがほぼ全量失われています。
シアバターは、西アフリカのサバンナに広く自生するシアの木(学名:ヴィテラリア・パラドクサ)の種子から搾油した100%植物性の油脂です。古くから現地では食用・薬用・スキンケアなど幅広い用途に利用されてきた歴史があります。
その製造には大きく分けて「精製(リファインド)」と「未精製(アンリファインド)」の2つのルートがあり、この違いが品質・成分・使い心地のすべてを左右します。精製とは何かを知ることが、正しい選び方の第一歩です。
精製の工程は主に4段階で構成されています。
- 🧪 脱ガム(Degumming):原油に含まれるリン脂質など油脂以外の成分を取り除き、その後の精製工程が元に戻るのを防ぎます
- 🔩 脱酸(Neutralization):遊離脂肪酸を除去し、加水分解の連鎖を断ち切ることで酸化を防ぎます
- 🌡️ 脱臭(Deodorization):真空状態の高温環境で水蒸気を当て、独特の香りを取り除きます
- 🎨 脱色(Bleaching):活性白土などを用いて色素成分を吸着させ、白色に仕上げます
この一連の処理によって、精製シアバターは「白くて無臭、または微香」という安定した外観になります。日本で流通している化粧品に配合されているシアバターのほとんど、またはドラッグストアで手に取れる市販品の多くは、この精製タイプです。
注意したいのは脱臭工程です。ここで副産物として除去されるのが「ビタミンE(トコフェロール)」です。シアバターを精製することで、本来持っている抗酸化成分がほぼ失われた状態になります。これが精製タイプの最大のデメリットと言えます。
つまり精製が基本ということです。
参考:精製工程でビタミンEが失われる仕組みについて、手作りコスメ材料の専門店マンデイムーンが詳しく解説しています。
精製シアバターと未精製シアバターは、見た目だけでなく成分構成にも明確な違いがあります。ここを正確に理解しておかないと、自分に本当に合ったタイプを選べません。
まず見た目の違いを整理すると、精製タイプは真っ白に近い乳白色で香りがほとんどありません。一方、未精製タイプは白〜黄色のクリーム色で、製造年やバッチごとに色が微妙に異なります。これは植物由来の天然色素が残っているためで、品質のばらつきではありません。香りは「ナッツ系」「ローストのような木の実の香り」「葉っぱや木の香り」と表現されることが多く、初めて嗅ぐ方には独特に感じられます。
テクスチャーの面では、脱酸処理によって油分比率が変わるため、精製シアバターのほうが溶ける温度がやや高くなる傾向があります。未精製タイプは体温(約35℃)でスッと溶けやすく、肌への馴染みが比較的速いのが特徴です。精製タイプは手のひらでしっかり温めないと伸ばしにくい場面もあります。
成分面では、脂肪酸の主要構成はどちらも大きく変わりません。両タイプともオレイン酸(約40〜50%)とステアリン酸(約35〜45%)が主体で、この比率が人間の皮脂に近く、保湿力の高さの根拠となっています。ただし精製工程で失われる微量成分があります。
| 項目 | 精製シアバター | 未精製シアバター |
|---|---|---|
| 色 | 乳白色(白) | 白〜淡黄色のクリーム色 |
| 香り | ほぼ無臭〜微香 | ナッツ・木の実の自然な香り |
| 主要脂肪酸 | ほぼ変化なし | ほぼ変化なし |
| ビタミンE | 脱臭工程で大幅減少 | 天然のまま豊富に含有 |
| 微量美容成分 | 一部失われる可能性あり | 天然成分をより多く保持 |
| 酸化しやすさ | しにくい(安定) | 精製より比較的早め |
| 敏感肌への向き | ◎ 刺激成分も除去済み | △ 刺激性成分が残る場合も |
意外ですね。保湿力の根幹となる脂肪酸構成はどちらもほぼ同じです。
「精製品は美容効果が低い」と思われがちですが、保湿性能そのものは精製タイプでも十分に発揮されます。白砂糖と黒砂糖を選ぶような感覚で、用途や肌質に合わせて選ぶのが正解です。
参考:シアバターの精製・未精製の色や成分差について、シアバター専門ブランドが詳しく解説しています。
シアバターには精製と未精製がある?その違いを徹底解説!|アフリカシアバター
「精製したら成分が失われるのでは?」という疑問を持つ方は多いです。実際には、精製後のシアバターにも複数の優れた美容成分がしっかり残っており、保湿・肌荒れ予防・エイジングケアの3つの柱を支えています。
まず保湿効果の主役は、オレイン酸とステアリン酸という2種類の脂肪酸です。どちらも人の皮脂に近い構造を持ち、肌なじみが非常によいのが特徴です。さらにシアバターは空気に触れても酸化しにくい「不乾性油」の性質を持つため、角層の上に薄い皮脂膜を形成し、水分の蒸発を長時間にわたって防ぎます。保湿力が持続するのはこの仕組みによるものです。
次に肌荒れ予防の面では、「アラントイン」という成分が重要な役割を果たします。アラントインは肌や粘膜の自然治癒力をサポートし、組織修復作用があるとされている成分です。あかぎれやひびわれ、軽度の肌荒れへの予防として継続使用が期待できます。これは問題ありません。
エイジングケアの観点では、トリテルペンアルコールという成分が注目されます。親水性が高く肌を柔らかくする働きがあるため、年齢とともに気になるごわつきや硬さのケアに有効とされています。また、パルミチン酸には酸化ストレスを和らげ、過剰な皮脂分泌を抑える働きがあるとされています。
精製タイプで失われやすいビタミンE(トコフェロール)については、製品によっては精製後に再添加しているものもあります。購入時に全成分表示の「トコフェロール」記載を確認するのが一つの方法です。
保湿効果が条件です。
参考:シアバターに含まれるトコフェロール(ビタミンE)の働きについて、アベンヌが詳しく解説しています。
シアバターの効果とは?メリット・デメリットや効果的な使い方を解説|Avène
どれだけ成分がよいアイテムでも、使い方を間違えると効果を引き出せないばかりか、ニキビや毛穴詰まりの原因になることもあります。精製シアバターを最大限に活かすための具体的な手順を部位別に整理します。
顔への使い方は、化粧水で肌を整えた後に行うのが基本です。精製シアバターをあずき豆1粒ほどの量(約0.3〜0.5g)を手のひらに取り、両手でじっくり温めてクリーム状にしてから顔全体に伸ばします。手のひらで温める時間は5〜10秒が目安で、この一手間が肌なじみを大きく左右します。
部位ごとの塗布量には注意が必要です。乾燥しやすい目元・口元・頬は重点的に、皮脂の多いTゾーン(額〜鼻)は薄めが基本です。塗りすぎると毛穴を塞いでニキビにつながる場合があります。少量が原則です。
髪への使い方では、洗髪後にタオルで水分を軽く拭き取ってから、毛先を中心に少量を馴染ませるアウトバストリートメントとして活用できます。乾燥してパサつきが気になる場合は、シャンプー前に毛先から根元に向けてシアバターを馴染ませ、30分ほど置いてから洗い流す前処理トリートメントも効果的です。つけすぎはベタつきの原因になります。
全身への使い方では、お風呂上がりに使うと最も効率よく保湿できます。入浴後は皮脂が洗い流されて肌が乾燥しやすい状態になっているため、シアバターを素早く全身に塗布することで水分の蒸発を防ぎます。ヒジやヒザ、かかとなど特に乾燥しやすい箇所には重ね塗りが有効です。
これは使えそうです。
| 使用場面 | 目安量 | タイミング |
|---|---|---|
| 顔全体の保湿 | あずき豆1粒(約0.3g) | 化粧水の後 |
| 目元・口元の集中ケア | 米粒の半分ほど | 洗顔後〜就寝前 |
| 髪のアウトバス | 小指の先ほど | タオルドライ後 |
| ボディ全体 | 500円玉大 | 入浴直後 |
| かかと・ひじ集中ケア | 豆粒大×2 | 就寝前 |
参考:シアバターを部位別に使いこなす方法について、楽天ビューティーが詳しく解説しています。
精製シアバターは「誰にでも使えるマイルドな保湿剤」というイメージが強いですが、使い方を誤ると肌に悪影響が出るケースもあります。デメリットを正確に知った上で使うことが大切です。
最も注意が必要なのは脂性肌・オイリー肌の方です。シアバターはオレイン酸リッチな油脂であり、もともと皮脂分泌が多い肌に重ねると油分が過剰になります。過剰な脂肪酸は肌のターンオーバーを乱し、毛穴詰まりやニキビの原因になる可能性があります。脂性肌の方がシアバターを使う場合は、Tゾーンを避けて乾燥が強い箇所だけに限定するのが賢明です。
乾燥肌の方でも「塗りすぎ」には注意が必要です。たっぷり塗ることで効果が高まるわけではなく、むしろ多量に重ねると毛穴を塞ぎ、ニキビや吹き出物につながる場合があります。少量を薄く均一に広げることが基本です。
もう一点、精製シアバターの場合でも、ごく一部の方にナッツアレルギーと関連したアレルギー反応が起こる可能性があります。木の実・ナッツ系のアレルギーをお持ちの方は、初めて使用する際に腕の内側などで48時間のパッチテストを行ってから顔や全身への使用を検討するのが安全です。
紫外線ケアについても誤解が多い点のひとつです。シアバターにはSPF3〜6程度の微弱な紫外線防御作用があるとされていますが、紫外線の約9割を占めるUV-A波への防御効果はほとんどありません。シアバターだけで日焼け止めの代わりにはなりません。日差しが強い時間帯の外出では、SPF30以上の日焼け止めと組み合わせるのが正解です。
厳しいところですね。
保存方法の面でも気をつけることがあります。精製シアバターは未精製より酸化しにくいものの、開封後は1年以内を目安に使い切るのが推奨されています。直射日光や高温多湿の環境は酸化を早める原因になるため、使用後は蓋をしっかり閉め、日の当たらない涼しい場所で保管します。夏場は冷蔵庫保管もひとつの選択肢です。
参考:シアバターのデメリットや肌タイプ別の注意点について、皮膚科系ビューティーメディアが詳しく解説しています。
ビューティーコラム vol.28 シアバターは肌にどんな効果があるか|SHIRO
精製と未精製のどちらが「正解」なのかという問いに対する答えは、実はシンプルです。どちらにも優劣はなく、使う目的・肌質・ライフスタイルによって最適解が異なるということです。
精製シアバターが向いているケースは主に3つです。ひとつめは敏感肌・乾燥肌で、肌への刺激を最小限にしたい方です。精製品は刺激性の強い微量成分が除去されており、品質が安定しているため、肌が揺れやすい季節の変わり目にも使いやすい特徴があります。ふたつめは、ほかのスキンケアアイテムやアロマブレンドと組み合わせたい方です。精製品は無臭か微香なので、他の香料の邪魔をしません。みっつめは長期保存を想定しているケースです。精製品は酸化しにくく、200g前後の大容量タイプを購入しても品質が安定したまま使い続けられます。
未精製シアバターが向いているケースは、成分の充実度を優先したい方です。天然のビタミンE・カロテノイド・その他微量の生理活性成分をできる限り取り込みたいという考え方は、特に海外の美容愛好家の間で広く支持されています。また、オーガニック・エシカルなコスメを好む方や、自然な香りを活かしたアロマ系のセルフケアを楽しみたい方にも向いています。
いずれのタイプも、生活の木の「シアバター(精製)」(内容量50g・税込1,078円前後)やアトピーラボのDr.Itsuko「シアバター100%」のような化粧品規格の製品を選ぶのが安心です。化粧品規格品は製造工程や不純物に関して食品や雑貨とは異なる品質基準が設けられているため、肌に使う前提で管理されています。スーパーフードとして販売されている食用グレードの製品を肌に使う行為は、必ずしも安全性が担保されているとは限らない点に注意してください。
精製か未精製かに関わらず、「自分の肌の状態に合っているか」を優先して選ぶのが基本です。
| こんな方に | おすすめタイプ |
|---|---|
| 敏感肌・赤みが出やすい | 精製 |
| エイジングケアを重視 | 未精製 |
| 無臭・低刺激を優先 | 精製 |
| オーガニック・天然志向 | 未精製 |
| 長期保存したい | 精製 |
| 自然な香りも楽しみたい | 未精製 |
| 子どもや赤ちゃんにも使いたい | 精製 |
精製か未精製かが条件です。
参考:シアバターの精製・未精製の選び方について、カレティックが詳しく解説しています。
天然で健康的なシアバターを選ぶために知っておくべきこと|Karethic

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