

たけのこを食べるとき、捨てている「皮」の部分こそ、実は顔のシワを減らす美容成分の宝庫です。
モウソウチクエキスの正式な化粧品表示名称は「モウソウチクたけのこ皮エキス」、英語のINCI名は「PHYLLOSTACHYS PUBESCENS SHOOT BARK EXTRACT」です。温暖なアジア地域に広く自生するイネ科の竹・孟宗竹(モウソウチク)の、たけのこの外皮を原料に製造される植物エキスです。
驚くのはその採取量の少なさです。竹1本からわずか約300gほどしか採取できないとされており、これはちょうどペットボトル飲料の小さなサイズ1本分ほどの重さ。たけのこを調理するとき、大量に出てくる外皮がすべて美容原料になるわけではなく、幹の薄い表皮だけを丁寧に削り出して独自製法で抽出したものが化粧品原料になります。
これは貴重です。
株式会社テクノーブルが愛媛県産のたけのこ外皮の有効活用を目的として開発した「レシューバン®」がその代表的な原料で、抗老化効果・コラーゲンおよびヒアルロン酸の合成促進効果が確認されています。本来は捨てられていた廃棄部位を美容成分として生かす、アップサイクル型のサステナブルな原料でもあります。
モウソウチクは、染色体の数が人間と同じ48本とされており、植物の中でも人体との相性が特によいと考えられています。古くから食用として親しまれてきた素材であるため、安全性についても比較的高い評価がされています。ただし、たけのこにはアセチルコリンやノイリンなどの成分が含まれており、アレルギー体質の方はパッチテストで確認してから使用するのが原則です。
✅ テクノーブル「レシューバン®」公式ページ(コラーゲン・ヒアルロン酸合成効果や抗老化効果の詳細が確認できます)
モウソウチクエキスが化粧品成分として注目される理由は、一つの成分に多くの美容作用が重なっているからです。以下に主な効果を整理します。
① 保湿効果
モウソウチクたけのこ皮には、外皮という性質上、内部の水分を逃がさないためのバリア構造が備わっています。エキスにはこの保湿機能を肌に応用する働きがあり、水分の蒸発を防ぐ作用が確認されています。乾燥肌や、季節の変わり目に肌が揺らぎやすい人にとって取り入れやすい成分です。
これは使えそうです。
② コラーゲン・ヒアルロン酸の合成促進(抗老化効果)
「レシューバン®」の開発元であるテクノーブルによると、このエキスには真皮成分であるコラーゲンやヒアルロン酸の合成を促進する作用が確認されています。皮膚の土台を構成するコラーゲンやヒアルロン酸が内側から生成されやすくなるため、ハリや弾力を改善するアンチエイジングケアに適した成分です。
③ 抗酸化作用
活性酸素は肌の老化を加速させる要因の一つです。モウソウチクエキスには活性酸素を抑制する抗酸化作用があるとされており、紫外線や日常的な環境ストレスによる肌ダメージの蓄積を和らげるサポートが期待できます。
④ 抗菌作用
古くからたけのこの皮がおにぎりの包み材として使われてきたのは、抗菌性があるからだと言われています。この抗菌作用は肌に応用すると、ニキビの原因となる雑菌の繁殖を抑えるはたらきにつながると考えられています。
⑤ 植物ホルモンによる細胞活性化
モウソウチクエキスには、アブシジン酸・ジベレリン・サイトカイニンという3種類の植物ホルモンが含まれています。アブシジン酸は細胞修復を、ジベレリンは細胞分裂の促進を、サイトカイニンは免疫力の強化をそれぞれ担うとされており、肌細胞そのものを活性化させる働きが期待されています。
つまり、保湿・ハリ・抗菌・細胞活性化と、1成分で複数の悩みにアプローチできるということです。
✅ Cosmetic-Info.jp「竹幹表皮抽出液」原料詳細ページ(抗酸化・美白・アンチエイジングへの有効性について確認できます)
モウソウチクエキスは肌だけに効くと思われがちですが、育毛・スカルプケアの分野でも科学的な裏付けが得られています。
2023年、大阪公立大学と株式会社ミルボンの共同研究において、ヒトiPS細胞を活用した育毛研究が行われました。毛髪形成に関わる遺伝子「KRT31」の発現量を上昇させる成分の探索を目的としたこの研究で、「トウキ根エキス」とともに「モウソウチクたけのこ皮エキス」が選定されました。その後、実際のヒト毛包組織を用いた器官培養試験において、毛髪の伸長を促進させることが確認されています。
この研究成果は、2023年9月にスペイン・バルセロナで開催された「第33回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)バルセロナ大会2023」という世界規模の学会でも発表されました。
意外ですね。
モウソウチクエキスに育毛効果が期待できる背景には、成分中に含まれる豊富なアミノ酸があります。アミノ酸は毛包組織に直接働きかけ、毛髪の成長サイクルをサポートする役割を果たします。また、コラーゲンやヒアルロン酸の合成促進効果は頭皮環境の改善にもつながり、健やかな発毛の土台づくりにも貢献するとされています。
加齢やストレスによる抜け毛・薄毛が気になる方で、頭皮ケアを見直したいと考えている場合は、モウソウチクたけのこ皮エキスを配合したスカルプシャンプーやスカルプエッセンスを選ぶことが一つの判断基準になります。商品を選ぶ際は、成分表示の中に「モウソウチクたけのこ皮エキス」の記載があるかどうかを確認するのが基本です。
モウソウチクエキスは、化粧水・乳液・美容液・クリーム・スカルプシャンプーなど、幅広いカテゴリの化粧品に配合されています。成分表示に記載されている名称が複数あるので、購入前にチェックしておくと見落としがありません。
| 表示名称 | 備考 |
|---|---|
| モウソウチクたけのこ皮エキス | 最も一般的な表示名称 |
| PHYLLOSTACHYS PUBESCENS SHOOT BARK EXTRACT | INCI名(英語表示の場合) |
| 孟宗竹エキス | 商品によって使用されることがある略称 |
注目ブランド:アルビオン「フラルネ」シリーズ
2022年にリニューアルされ、2025年8月にさらに進化した処方でデビューしたアルビオンの「フラルネ」シリーズは、シリーズ全製品に国産モウソウチクたけのこ皮エキス(保湿成分)を共通の美容成分として採用しています。化粧水「フラルネ ハイドロボム プラス」(110ml・税込3,300円)、乳液「フラルネ フルリファイン ミルク」、美容液「フラルネ セラム イン トータル」(40ml・税込5,500円)、クリーム「フラルネ コクメルティ クリーム」(30g・税込6,600円)など、スキンケアのステップを通じてモウソウチクエキスを継続的に取り入れられる構成です。
フラルネシリーズでは、アルビオン独自の「先行乳液」というメソッドが特徴的です。通常「化粧水→乳液」の順で使う一般的なスキンケアとは異なり、洗顔後のまっさらな肌に乳液を先に使うことで、角層をしっかりうるおいで満たしてから次のスキンケアをより効果的になじませるアプローチをとっています。
これも原則として押さえておきたいポイントです。
モウソウチクエキスを賢く選ぶポイントをまとめると、以下のようになります。
- 🎯 スキンケア目的(保湿・ハリ・抗老化):化粧水・美容液・クリームに配合された製品を選ぶ。フラルネシリーズのようにシリーズ統一配合型なら継続性が高い。
- 🎯 育毛・スカルプ目的:「モウソウチクたけのこ皮エキス」とトウキ根エキスを両方含むスカルプシャンプーやエッセンスが特に有効とされる。
- 🎯 成分表示の確認:成分リストの中に「モウソウチクたけのこ皮エキス」があるか確認する(名称が複数あるため注意)。
✅ アルビオン公式「フラルネ」紹介ページ(モウソウチクたけのこ皮エキスを全品配合したスキンケアシリーズの詳細)
モウソウチクエキスを配合した化粧品を使っていても、「肌への浸透順序」を間違えると、せっかくの有効成分が角層に届きにくくなる可能性があります。これはあまり語られない盲点です。
一般的なスキンケアでは「クレンジング→洗顔→化粧水→美容液→乳液→クリーム」の順が定番ですが、モウソウチクエキスのように真皮成分(コラーゲン・ヒアルロン酸)の合成をサポートする成分は、角層がきちんとうるおっている状態でなければ十分に機能しないことがわかっています。
角層ケアが条件です。
洗顔後、肌が乾いた状態でいきなり美容液を重ねても、カサカサの角層が成分の通り道を閉ざしてしまいます。そのため、最初にしっかり保湿して角層をやわらかくほぐしてから、次のステップでモウソウチクエキス配合の美容液やクリームを使うことが大切です。アルビオン「フラルネ」が洗顔後すぐに乳液を先行させるメソッドを採用しているのも、この考え方に基づいています。
また、モウソウチクエキスは抗酸化成分を含むため、紫外線を浴びやすい朝のスキンケアにも取り入れることが推奨されます。ただし、紫外線対策の代わりにはならないので、日焼け止めとの併用が必要です。
さらに、継続して使うことが大切なポイントです。コラーゲンやヒアルロン酸は1日2日で目に見えて増えるものではなく、約4週間(ターンオーバー1サイクル分)を目安に継続することで効果を実感できる人が多いとされています。
スキンケアの効果を高めるために意識したい使い方のポイントを整理すると。
- 🌿 洗顔後、最初に保湿で角層をうるおいで満たしてから、モウソウチクエキス配合のアイテムを使う
- 🌿 朝のスキンケアにも積極的に取り入れ、抗酸化によって日中の酸化ダメージを軽減する
- 🌿 最低4週間は継続使用し、肌のターンオーバー1サイクル後の変化を確認する
- 🌿 育毛目的であれば、頭皮への使用も並行して行い、スキンケアと頭皮ケアの2本柱で取り組む
✅ Re:color「モウソウチクたけのこ皮エキスの成分解説と安全性」(成分の特性や使用上の注意点について詳しく記載されています)