

「非必須アミノ酸は体内で作れるから、食事で気にしなくていい」は、肌荒れを招く思い込みです。
私たちの体を作るアミノ酸は全部で20種類。そのうち、体内で合成できない9種類を「必須アミノ酸」、体内で合成できる11種類を「非必須アミノ酸(可欠アミノ酸)」と呼びます。非必須アミノ酸の11種類は以下のとおりです。
| アミノ酸名 | 略号 | 美容・健康との関係 |
|---|---|---|
| グルタミン酸 | Glu | NMF(天然保湿因子)の構成成分・コラーゲン合成材料 |
| グルタミン | Gln | 免疫細胞のエネルギー源・腸粘膜の保護(準必須) |
| アルギニン | Arg | 成長ホルモン分泌促進・血行改善(小児では必須) |
| チロシン | Tyr | メラニン・ドーパミン・甲状腺ホルモンの材料 |
| アラニン | Ala | エネルギー源・肝機能サポート |
| アスパラギン酸 | Asp | エネルギー代謝・神経伝達物質 |
| アスパラギン | Asn | 世界で最初に発見されたアミノ酸・疲労回復 |
| セリン | Ser | NMF構成・セラミド前駆体・脳の栄養因子 |
| グリシン | Gly | コラーゲンの約33%を占める・睡眠の質を改善 |
| プロリン | Pro | コラーゲンの主要材料・角質層の保湿 |
| システイン | Cys | メラニン抑制・グルタチオンの構成成分・美白 |
「非必須」という言葉から「不要なアミノ酸」と誤解されがちですが、実際には美肌や美白に欠かせない成分が勢ぞろいしています。つまり、名前に反して重要です。
コラーゲンの主材料であるグリシン・プロリン、美白の鍵となるシステイン、肌の保湿を支えるセリンやグルタミン酸など、スキンケアで頻繁に目にする成分のほとんどが非必須アミノ酸です。これは意外ですね。
また、非必須アミノ酸の中には「準必須アミノ酸」と呼ばれる区分があります。グルタミン・システイン・アルギニン・チロシン・グリシン・プロリンなどは、ストレスが高い状態や病後回復中、成長期などの条件下では体内合成が追いつかなくなり、食事やサプリで補う必要が出てきます。
参考として、オーソモレキュラー栄養医学研究所による非必須アミノ酸と必須アミノ酸の詳細な解説はこちら。
必須アミノ酸と非必須アミノ酸 | オーソモレキュラー栄養医学研究所(各アミノ酸の働きと食品含有量データが詳しく解説されています)
語呂合わせで11種類を一気に記憶するなら、スーパーで買い物をする主婦のシーンを頭に描いてください。ZOOM医進館が開発した以下のゴロが特に覚えやすいと評判です。
🛒 非必須アミノ酸11種の語呂合わせ
「グル(グルタミン酸)グル(グルタミン)歩い(アルギニン)て
チロッ(チロシン)と見たら、あらっ(アラニン)アスパラ(アスパラギン酸・アスパラギン)セール(セリン)なの?
グリッ(グリシン)と握ればプロり(プロリン)と下に(システイン)。」
スーパーでアスパラのセールを見つけ、グリッとつかんだらプロリンと下に転がった…というシーンを想像するのがコツです。
この語呂では、11種類のすべてをカバーしています。対応表で確認してみましょう。
| 語呂の部分 | 対応するアミノ酸 |
|---|---|
| グル(1回目) | グルタミン酸 |
| グル(2回目) | グルタミン |
| 歩い(て) | アルギニン |
| チロッ(と) | チロシン |
| あらっ | アラニン |
| アスパラ | アスパラギン酸・アスパラギン(2種) |
| セール | セリン |
| グリッ(と) | グリシン |
| プロり(と) | プロリン |
| 下に(システイン) | システイン |
ポイントは「アスパラ」が2種類(アスパラギン酸とアスパラギン)に対応している点です。ここだけ注意が必要です。
もう1つ、別の語呂合わせも紹介します。シンビサプリが紹介する「トロリーバス不明、ひー!」というゴロは、異なるグルーピングで覚えたい方向けです。「チ(チロシン)・ロ(プロリン)・リ(アルギニン)・バ(バリン系→アラニン)・ス(システイン)・フ(不=省略)・メ(メチオニン系→グリシン系に当てる)」と、別パターンで暗記できます。自分に合った語呂で試してみるのが基本です。
非必須アミノ酸の語呂合わせを覚えたあとは、美容と直結する3つのアミノ酸を深掘りしましょう。
まず、グリシン(グリッと) はコラーゲンを構成するアミノ酸の約33%を占め、全アミノ酸の中で最も小さい構造を持ちながら、肌のハリや弾力に直結するコラーゲン生成に不可欠です。コラーゲンを構成する3本鎖らせん構造は、グリシンが1/3ごとに規則的に並んでいることで安定します。また、グリシンには末梢血流を増加させて深部体温を低下させる作用があり、睡眠の質を改善する効果も研究で報告されています。肌の再生は眠っている間に行われるため、グリシンは「内側からの美肌」を支える成分ともいえます。これは使えそうです。
次に、プロリン(プロりと) もコラーゲンの主要構成材料で、グルタミン酸などから体内で合成されます。コラーゲンのらせん構造の安定化に関わり、角質層の保湿作用やコラーゲンの修復にも寄与します。プロリンが豊富に含まれる食品として、コラーゲンペプチドのサプリメントや鶏皮・豚骨スープなどが挙げられます。コラーゲンを直接食べるのではなく、グリシンとプロリンをセットで補うほうが体内でのコラーゲン合成をサポートしやすいというわけです。
そして最も美容業界で注目度が高いのがシステイン(下に) です。体内でメラニンを作る際には「チロシン→チロシナーゼ(酵素)→メラニン」という経路をたどりますが、システインはこのチロシナーゼの活性を抑制し、シミ・そばかすの原因となるメラニン色素の過剰生成を防ぎます。美白サプリの定番成分「L-システイン」配合のハイチオール錠が薬局に並んでいるのはこのためです。さらに、システインはグルタミン酸・グリシンとともに「グルタチオン」という強力な抗酸化物質の材料になります。グルタチオンは美容点滴(白玉注射)でも使われる成分で、紫外線や活性酸素から肌を守る役割を担っています。3つのアミノ酸が連携している、ということですね。
参考として、コラーゲンと非必須アミノ酸の関係を詳しく解説した大正製薬の記事。
コラーゲンと美肌の関係 | 大正製薬(コラーゲン合成にグリシン・プロリン・ビタミンCが必要な理由を化粧品開発顧問が監修しています)
語呂合わせで「チロッと」「セール」「グルグル」と覚えたチロシン・セリン・グルタミン酸は、美白と保湿に直接関係しています。
チロシン(チロッと) は非必須アミノ酸ですが、美容との関係は二面性があるという点で注意が必要です。チロシンは必須アミノ酸であるフェニルアラニンから体内で合成され、ドーパミンやノルアドレナリン、甲状腺ホルモンの材料になります。一方で、紫外線刺激を受けた肌でメラニンを生成する出発材料でもあります。つまり、チロシンは「肌の色素を作るアミノ酸」であり、先ほどのシステインはそのチロシンからメラニンへの変換を止める役割を担っているという関係性になっています。
セリン(セール) は肌の天然保湿因子(NMF)の主要成分であり、セラミドの前駆体でもあります。NMFは角質層の中にある天然の保湿物質の総称で、その約18.5%がセリンや他のアミノ酸で構成されています。乾燥肌の方がセリンを含むアミノ酸系保湿化粧品を使うと、角質層のバリア機能が改善されやすいとされています。NMFが適切に機能することで、外からの刺激に強くなる、ということです。
グルタミン酸(グルグル) は体内のタンパク質に最も多く含まれる非必須アミノ酸の一つで、NMFの構成成分としても働きます。また、グルタチオンの材料であり、アンモニアの解毒にも関与します。旨味成分としておなじみの昆布やトマトに豊富に含まれており、食事から自然に摂取しやすい点も魅力です。グルタミン酸が豊富な食品を意識的に取ることは、美肌の土台作りに直結する行動といえます。
スキンケア製品の成分表でよく目にする「アミノ酸系洗顔料」や「アミノ酸保湿成分」は、主にグルタミン酸・セリン・グリシンなどの非必須アミノ酸を配合したものです。語呂合わせで名前を覚えておくと、ドラッグストアで成分表を読む際にも役立ちます。これは知っておいて損なしですね。
参考として、アミノ酸とNMFのスキンケアへの関係を詳しく解説したサイト。
スキンケアにはコラーゲンよりアミノ酸が重要って本当? | F&W(NMFとアミノ酸の保湿メカニズム、リジン・グリシンの肌への効果を解説)
語呂合わせで11種類を覚えたうえで、もう一歩踏み込んだ知識として「準必須アミノ酸」を押さえておきましょう。
非必須アミノ酸の中には、通常は体内で合成できるものの、ある条件下では合成が追いつかなくなるものがあります。これを「条件付き必須アミノ酸(準必須アミノ酸)」と呼びます。つまり、「非必須=いつでも補わなくていい」は間違いです。
代表的なものを整理すると次のとおりです。
- アルギニン:成人では非必須ですが、成長期・大手術後・高ストレス状態では合成が追いつかず必須になります。成長ホルモンの分泌促進にも関与。
- グルタミン:通常は血中に最も多いアミノ酸ですが、手術後・集中治療中・ストレスが強いときには急速に消費されます。腸の粘膜保護にも働くため、腸活の観点からも注目されています。
- システイン:成人では非必須ですが、乳幼児期は必須アミノ酸として分類されます。先述の通り美白に関わる重要な成分です。
- チロシン:メラニン生成の出発材料でもあり、甲状腺ホルモンの材料でもあります。極端なダイエットや偏食では不足するリスクがあります。
美容に興味のある方の中には、ストレスが多い生活環境や、炭水化物を極端に制限する食事制限を続けている方も少なくありません。そうした状況では、体内でのアミノ酸合成能力が下がり、準必須アミノ酸が不足して肌荒れや乾燥、シミが出やすくなるリスクがあります。
不足が心配な場合は、食事でアミノ酸バランスを意識することが最初のステップです。アミノ酸を効率よく補うには、アミノ酸スコアが高い食品(卵・鶏肉・まぐろ・豆腐など)を1日1食以上とるのが基本です。グルタミンが不足しがちな方には、グルタミン配合のプロテインやサプリを日課にする方法もあります。日々の食事で補いきれない場合は、アミノ酸サプリを活用するのも選択肢の一つです。
参考として、味の素公式による非必須・必須アミノ酸の分類と美容への働きについての解説。
私たちのカラダをつくるアミノ酸の種類 | 味の素(必須・非必須の分類と、血中アミノ酸バランスで健康チェックする仕組みも紹介)
語呂合わせだけでは不安という方には、非必須アミノ酸を「美容目的別のグループ」に分けて覚える方法が効果的です。これは検索上位にはない独自の整理法です。
美容目的で非必須アミノ酸を3つのグループに分類すると、以下のようになります。
| グループ | 対象アミノ酸 | 覚えるキーワード |
|---|---|---|
| 🌿 コラーゲン班 | グリシン・プロリン・アラニン | 「ぷるぷる肌の3人組」 |
| 💧 保湿・バリア班 | セリン・グルタミン酸・アスパラギン酸 | 「うるうる守り隊」 |
| ✨ 美白・抗酸化班 | システイン・チロシン・グルタミン・アルギニン・アスパラギン | 「白玉チームの5種」 |
それぞれのグループを美容目的と紐づけることで、語呂合わせのゴロを聞いたときに「あ、あのアミノ酸はコラーゲン班だ」と自然に思い出せるようになります。記憶の定着率が上がります。
🌿 コラーゲン班(グリシン・プロリン・アラニン) は、コラーゲンのらせん構造を作る主役です。コラーゲンを構成するアミノ酸全体のうち、グリシンが約33%、プロリン+ヒドロキシプロリンが約21%を占めます。合わせると約54%がこの3種から来ているイメージです(東京ドーム1個がコラーゲン全体なら、半分以上がこのグループで埋まるくらいの割合です)。
💧 保湿・バリア班(セリン・グルタミン酸・アスパラギン酸) は、角質層の天然保湿因子(NMF)を構成する代表格です。アミノ酸系洗顔料や保湿ローションに配合されているアミノ酸はこのグループが中心です。肌のバリア機能低下が気になるときは、このグループを意識した食事やスキンケア選びが鍵になります。
✨ 美白・抗酸化班(システイン・チロシン・グルタミン・アルギニン・アスパラギン) の中で特に注目なのがシステインです。L-システインはメラニン生成酵素(チロシナーゼ)を抑制し、シミ・くすみを防ぐ作用があります。また、グルタチオン(グルタミン酸+システイン+グリシン)は美容点滴として使われるほど強力な抗酸化物質で、1セットで覚えると関連性が深まります。つまり、語呂合わせのゴロを唱えながらグループも意識すると最強の暗記法になります。
記憶に定着させたいときは、次の3ステップがおすすめです。
- ① まず語呂(グルグル歩いて〜)を3回声に出して読む
- ② 各アミノ酸をコラーゲン班・保湿班・美白班のどれかに分類する
- ③ ドラッグストアで化粧品の成分表を見て、実際に発見できるか確認する
③のステップが特に効果的です。実生活と結びつけた記憶は、何度も見直さなくても忘れにくくなります。知識が行動につながる、ということですね。
参考として、アミノ酸と美肌の関係を詳しく解説した専門サイト。