
ハイドロキノンの美白効果は、メラニン色素の生成プロセスを2つの段階で阻害することで実現されます。まず、メラノサイト細胞内でメラニンを生成する際に必要な「チロシナーゼ」という酵素の働きを強力に抑制します。このチロシナーゼ阻害効果は、他の美白有効成分であるアルブチンやコウジ酸の10~100倍にも達するとされています。
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さらにハイドロキノンには、すでに酸化反応により黒褐色となったメラニンを元の薄い状態に戻す「還元力」が非常に強くあります。この二重の作用により、新しいシミの生成を防ぎながら、既存のシミを薄くしていく効果が期待できるのです。
1940年になめし皮工場で集団発生した白斑の原因がハイドロキノンであったことから、その美白効果が発見されました。メラニンの産生細胞であるメラノサイト自体を減少させる作用も報告されており、シミの根本的な改善に寄与します。
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ハイドロキノンが特に効果を発揮するのは、メラニン色素が原因となっているシミです。具体的には、紫外線による「老人性色素斑」、ニキビ跡やかぶれ、虫刺されの後にできる「炎症後色素沈着」に高い効果が期待できます。また、「肝斑」の治療にもある程度の効果が認められています。
医学的には、表皮レベルに存在する「平坦な茶色いシミ」がハイドロキノンの適応となります。皮膚の深層にある真皮レベルのメラニンや、遺伝的要因が強い「そばかす」、「太田母斑」などの真皮に色素があるタイプには効果が期待できません。
効果的な治療のためには、シミの種類を正確に診断することが重要です。深い部位にあるシミは塗り薬では効果が乏しく、レーザー治療が適応となる場合があります。
ハイドロキノンの効果は濃度に比例して高くなりますが、同時に副作用の出現頻度も増加します。漂白効果と副作用のバランスを考慮した推奨濃度は4%程度とされており、多くの医療機関でこの濃度が採用されています。
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市販化粧品では安全性を考慮し、1~2%程度の濃度に抑えられているものが主流です。初めて使用する方や敏感肌の方は、まず低濃度から始めることが推奨されます。アメリカのFDAでは2%以上の濃度は医師の監督下でのみ処方されています。
5%以上の高濃度では動物実験で発がん性が確認されており、また白斑などの重篤な副作用のリスクが高まります。日本では化粧品に配合できる濃度に規制がないため、高濃度製品も購入可能ですが、安全性を考慮すると医療機関での処方が望ましいでしょう。
参考)ハイドロキノンの効果
ハイドロキノンは基本的に1日1回、夜の洗顔後に使用することが推奨されています。これは、ハイドロキノンが紫外線に当たると逆にシミを濃くしてしまうリスクがあるためです。また、光や酸素に弱く不安定な成分のため、夜間使用により劣化を防げます。
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使用時は、シミの部分よりも少し広めに塗布し、顔全体ではなくピンポイントでの使用が基本です。トレチノインとの併用療法では、先にハイドロキノンをシミより少し大きく塗り、その後トレチノインを同じ範囲に塗ります。
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ハイドロキノン使用中は必ずSPF20以上の日焼け止めを使用し、紫外線対策を徹底する必要があります。また、変質しやすい成分のため冷暗所保存が必要で、色が変わった場合は使用を控えるべきです。
ハイドロキノンの主な副作用として、肌の赤み、ひりひり感、かぶれが挙げられます。これらは濃度が高くなるほど出現しやすく、4%以上では刺激が強くなります。アレルギー反応を起こしやすい性質があり、ぶつぶつやかゆみが出た場合は直ちに使用を中止し医師に相談する必要があります。
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長期使用では「白斑」の出現リスクが高まるため、3ヶ月以上使用しても効果が乏しい場合は使用を中止し、他の治療法を検討することが推奨されます。また、安定性が悪く古いものを使用すると刺激感が強まる可能性があります。
使用前には腕などでパッチテストを行い、かぶれないことを確認してから使用することが重要です。妊娠中・授乳中の使用は安全性が証明されていないため、基本的に推奨されていません。