メラノサイト どこにある 基底層 色素細胞 分布 機能

メラノサイト どこにある 基底層 色素細胞 分布 機能

メラノサイト どこにある

メラノサイトの存在場所と基本情報
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基底層に分布

表皮の最下層である基底層に約1,000~2,000個/mm²存在

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樹状突起を持つ細胞

樹枝状の突起でメラニンを周囲の細胞に供給

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色素生成工場

メラニン色素を合成し肌の色を決定する重要な細胞

メラノサイト 基底層での正確な位置

メラノサイトは表皮の最下層である基底層に主要に分布しており、皮膚1㎟あたり約1,000~2,000個が存在しています 。特に重要なのは、メラノサイトが基底層にやや真皮側にはみ出すように存在していることです 。この独特な位置により、メラノサイトは隣接する基底細胞や有棘細胞との間に特殊な関係を築いています。
参考)メラノサイト(色素細胞)について

 

基底細胞の約10個に対して1個の割合でメラノサイトが存在し、7~36個の基底細胞に対して1個の比率となっています 。メラノサイトは係留線維の発達が悪く、隣接する細胞との間に接着斑(デスモソームやヘミデスモソーム)は見られないという特徴があります 。
参考)表皮の構造とターンオーバー|皮膚の解剖と生理|明治通りクリニ…

 

光にさらされる場所に多く分布する傾向があり、例えば臀部より顔に多く存在しています 。顔面などの日光露出部や外陰部などの生理学的な色素沈着部には高密度で分布しているのが特徴です 。
参考)肌にできる「シミ」「肝斑」の正体。メラノサイトとメラニン|福…

 

メラノサイト 毛包や眼での分布状況

メラノサイトは皮膚だけでなく、毛包の毛母や外毛根鞘にも分布しています 。毛根部の毛母のメラノサイトは表皮と比較して豊富に存在し、毛幹に多量のメラニン顆粒を転送する役割を担っています 。毛母細胞の間にはメラノサイトが分布し、産生されたメラニン色素が毛母細胞に渡されることで毛の色が決まります 。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/112/9/112_1221/_pdf/-char/en

 

眼においては、網膜・脈絡膜にメラノサイトが分布しており、虹彩の色を決定しています 。また、口腔・食道・腸管などの粘膜にもメラノサイトが分布していることが知られています 。
髪の色との関係では興味深い事実があり、ブロンドヘアーの人種は髪の毛量が約14万6000本と最も多く、黒髪が約11万本、茶髪が約10万本、赤髪が約8万6000本となっています 。
参考)【監修あり】人種による髪色の違いはなぜ起こる?髪の色が決まる…

 

メラノサイト 色素細胞としての機能

メラノサイトは色素細胞またはメラニン細胞とも呼ばれ、その主要な機能はメラニンの合成です 。細胞内にはメラノソームという小胞が含まれており、この中でメラニンが生合成・貯蔵されています 。
参考)メラノサイトって何?

 

メラノサイトで合成されたメラニンは、樹状の突起を通って周囲のケラチノサイトに供給されます 。成熟したメラノソームは「メラニン顆粒」として隣接する基底細胞や有棘細胞へ渡され、それぞれの細胞の核上部に集合することで、紫外線からDNAを守る重要な役割を果たしています 。
参考)花王

 

紫外線にさらされると、メラノサイトはメラニンを生成し、皮膚の表皮に蓄積させることで、DNAへのダメージを軽減し皮膚がんのリスクを減少させます 。人種によって肌の色調に差異があるのは、メラノサイトの数ではなく、メラノソームの数と大きさによって決定されるといわれています 。
参考)メラニン色素って何?

 

メラノサイト 数や種類の詳細データ

世界の皮膚色の多様性に関する驚くべき事実として、皮膚の19平方インチには約60,000万個のメラノサイトが存在しています 。すべての人間はメラノサイトを持っており(アルビノで生まれた一部の人を除く)、白色人種でも黒色人種でもメラノサイトの細胞数は変わりませんが、メラニンの粒の大きさが違うため肌の色が違って見えます 。
参考)肌に関する10の驚くべき事実

 

表皮細胞の約8%がメラノサイトで構成されており、約90%がケラチノサイト(角化細胞)となっています 。メラニンには主に3つの種類があり、最も一般的なユーメラニン(黒色または茶色)、フェオメラニン(黄色から赤色)、そして稀なトリトメラニンが存在します 。
興味深い事実として、天然の赤髪の人種は世界人口のわずか1%しか存在せず、2060年には絶滅してしまう可能性があるとされているほど希少です 。これは特殊なメラニンの組成によるもので、遺伝的要因が強く関与しています。

メラノサイト 研究で明らかになった新発見

最新の研究では、メラノソーム上にタンパク質分子を局在化させる「メラノソームターゲティングタグ(MSTタグ)」という新技術が開発されました 。この技術により、本来メラノソームに局在しない分子を人為的にメラノソームに局在化させることに成功し、メラノソームの形成や輸送の詳細な分子機構の解明が期待されています 。
参考)【プレスリリース】メラノソーム上にタンパク質分子を送り届ける…

 

また、シミ部位では皮膚の真皮にメラニンが蓄積するメカニズムが解明されており、基底膜の損傷がメラニンの真皮への移行に関与していることが明らかになりました 。このような研究により、従来考えられていたメラノサイトの機能や分布についてより深い理解が得られています。
参考)シミ部位で皮膚の真皮にメラニンが蓄積する メカニズムを解明!…

 

メラノサイトの異常が引き起こす疾患についても研究が進んでおり、肝斑やシミはメラノサイトの異常な活性化、白斑(ヴィティリゴ)はメラノサイトの破壊、悪性黒色腫はメラノサイトの悪性化によって発生することが分かっています 。これらの知見は美容医療や皮膚疾患の治療に重要な示唆を与えています。