

「高麗人参のサプリは年配の人が飲むものだから、若い自分には関係ない」と思って手を出していないあなた、実は30代から肌のコラーゲン産生量は年約1%ずつ減り続けており、ギンセノシドRg1の摂取を始めた人はそうでない人に比べて肌水分量が約20%高く保たれたとする試験結果が報告されています。
高麗人参の根から得られる「ギンセノシドRg1」は、日本薬局方の生薬「ニンジン」の定量指標成分として正式に収載されている信頼性の高い植物性サポニンです。
正式学名はPanax ginsengといい、「Panax」はギリシャ語の「万能薬(panacea)」に由来します。高麗人参には現在までに約40種類以上のジンセノシドが同定されており、その中でもRg1はRb1とともに品質規格の基準として使われるほど重要な成分です。化学的には「トリテルペンサポニン」に分類され、分子量は1079.27。6位と21位に糖鎖が付いたpanaxatriol系に属します。
つまり、生薬としての高麗人参の「品質のものさし」がRg1です。
Rg群とRb群では働きが異なるという点も覚えておくと役立ちます。Rb群(Rb1、Rb2など)が中枢神経に対して抑制的に作用するのに対し、Rg群(Rg1など)は興奮系に働き、新陳代謝を高め外界からのストレスへの抵抗力を強めるとされています。美容面においては、Rg1を含むRg群がコラーゲン合成や血行促進を後押しする一方、Rb群はエラスチン合成に関わるとも報告されており、両者がバランスよく含まれることが理想的です。
高麗人参が生薬として日本に伝わったのは奈良時代(710~794年)のことで、当時は渤海(現在の中国東北部~朝鮮半島北部周辺にあった国家)からの貢献品として持ち込まれました。1300年以上の使用実績があるということですね。
江戸時代には対馬藩を通じた輸入が主流でしたが、朝鮮半島の野生人参が枯渇し始めたことを受け、八代将軍・徳川吉宗が日光御薬園(現・東京大学附属日光植物園)で種子を増やし各藩に配布。
これが国産栽培の始まりです。
将軍から賜った種で育てたことから「御種人参(オタネニンジン)」という和名が生まれました。
現代の国産栽培は主に福島県会津地方(会津人参)、長野県上田市周辺(信州人参)、島根県大根島(雲州人参)の3地域で続けられています。国産ブランドは栽培管理が厳密で、品質面での安心感がある点が特徴です。
ヨーロッパでも1991年にドイツのコミッションEが疲労回復目的の内服薬として承認し、2007年にはEMA(欧州医薬品庁)が無力症改善の伝統薬として認定しています。
いいことですね。
東洋と西洋の双方で正式に認められた数少ない生薬成分です。
美容効果を語るうえで外せないのが「コラーゲン産生」への直接作用です。2007年の東京医科歯科大学・古川哲史教授による研究では、薬用人参成分のジンセノシドがエストロゲン様作用を持ち、皮膚のコラーゲン含量を増加させる可能性が報告されています。
Panax ginsengはSmadシグナル経路を活性化してヒトI型コラーゲン合成を誘導するという研究結果(Lee et al., 2007, J Ethnopharmacol)も存在します。これは具体的に何を意味するのでしょう? I型コラーゲンは皮膚の真皮の約70〜80%を占める成分で、肌のハリと弾力を直接支えるものです。これが減ると、まるで空気の抜けたボール状態になり、たるみやシワとして現れます。
さらに注目したいのが育毛との関係です。薬用人参の抽出サポニン画分にはヒトを対象とした使用試験で育毛効果が、また動物実験ではマウスの毛根細胞増殖誘導作用が確認されています。頭皮への血行促進も報告されており、入浴時に高麗人参サポニンを加えると血流が有意に増加したというデータもあります。肌だけでなく、髪にもアプローチできる点はおさえておきましょう。
化粧品成分として見た場合、オタネニンジン根エキス(INCI名:Panax Ginseng Root Extract)は保湿・皮脂抑制・育毛・抗シワなど複数の目的で幅広い製品に配合されています。
これは使えそうです。
化粧品成分オンライン:オタネニンジン根エキスの保湿・コラーゲン産生・皮脂抑制に関する試験データを詳しく掲載
美容のもう一つの大きな柱が「酸化ダメージの防止」です。私たちの体は毎日大量の酸素を取り込みながら活動していますが、その過程で体内に活性酸素が発生し続けています。活性酸素は細菌やウイルスを撃退する役目も担いますが、過剰になると細胞そのものを傷つけ、老化やシミの原因となります。
高麗人参のギンセノシドには強力な抗酸化作用があり、この活性酸素によるダメージを消去する能力が確認されています。いわば「肌の錆び止め」として機能するイメージです。
また、メラニンの生成阻害という美白効果についても研究が進んでいます。オタネニンジン根エキスに関する文献では、チロシナーゼ活性促進による「抗白髪作用」も同時に報告されており、色素細胞への複合的なアプローチがある点が興味深いところです。ターンオーバーを正常化することで肌内部に蓄積したメラニンの排出を助け、くすみや色むらの改善が期待できます。
ここで一つ注意点があります。チロシナーゼへの作用は美白を目指す文脈と白髪ケアの文脈で逆向きに語られることがあり、混乱を招きます。化粧品への配合目的に関しては各製品の処方設計や使用部位によって異なるため、購入前には「どの部位・どの目的で使うか」を明確にしてから成分表を確認するのが原則です。
保湿効果については、実際に対照比較試験のデータが存在します。一丸ファルコスが2001年に報告したヒト使用試験では、固形分0.01%のオタネニンジン根エキス(熱水抽出)溶液と同濃度のアロエベラ葉エキス溶液を比較したところ、高麗人参エキスのほうが角層水分量が多く、かつその保持時間も長いことが確認されました。
アロエベラは「保湿の代名詞」として広く知られている成分ですが、それよりも高い保湿力というのは意外ですね。
また別の試験では、30%エタノール抽出のオタネニンジン根エキスを1日3回、数日間連続して塗布したグループでは、未塗布・精製水・アロエベラエキスの各対照群よりも経表皮水分蒸散量(TEWL)が有意に抑制されたことが明らかになっています。TEWLとは皮膚から蒸発する水分量を示す指標で、これが低いほど肌のバリア機能が高い状態を意味します。つまり水分を「保つ力」が優れているということです。
| 試験成分 | 角層水分量 | TEWL抑制 |
|---|---|---|
| オタネニンジン根エキス(0.01%) | ◎(最高値) | ◎(最大抑制) |
| アロエベラ葉エキス(0.01%) | ○ | ○ |
| 精製水のみ | △ | △ |
日常のスキンケアに保湿成分を探しているなら、化粧水や美容液の成分表で「オタネニンジン根エキス」「ニンジンエキス」「Panax Ginseng Root Extract」のいずれかを確認してみましょう。
ギンセノシドRg1の含有量は、高麗人参の栽培年数と加工法に大きく左右されます。
これが条件です。
栽培年数について言うと、6年根(6年かけて育てた根)のジンセノサイド総量は1年根の約192倍に達するというデータがあります。192倍というのは、コップ1杯の水と、ドラム缶(約200L)の水を比べるようなスケールの差です。市場に流通するのは主に4〜6年根で、3年根以下は薬効が不十分として収穫されません。
6年根が条件です。
加工法は大きく3種類に分類されます。
紅参(韓国語でホンサム)は、蒸すことで生参には存在しない新たなジンセノシド(Rg3など)が生成され、さらに既存成分のRg1が高濃度で安定するという加工上のメリットがあります。一方で製造に手間がかかるため、市場に出回る量はごく限られています。
サプリを選ぶ際には「6年根使用」「紅参エキス」「ジンセノシドRg1+Rb1+Rg3合計〇mg/g表記あり」という3点を確認するのが効果的な選び方です。
LSコーポレーション:コンパウンドKの含有量を規格化した韓国産6年根100%の紅参エキス原料について詳しく解説
高麗人参は「生薬の王様」とも呼ばれ、日本の漢方処方の中でもとりわけ多くの処方に配合されています。代表的なものとして、人参湯(ニンジントウ)、人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)、十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)があります。
この中で美容との関連で注目したいのは「人参養栄湯」です。人参養栄湯は虚弱体質・疲労倦怠・病後の体力回復に用いられる補剤ですが、肌の乾燥や血色の悪さ、爪の弱さといった「外見に現れる内側の不調」に対応する漢方としても知られています。気・血・津液(体の水分)を全方位的に補う処方設計で、現代では抗がん剤治療後の体力維持や皮膚の乾燥改善にも活用されています。
結論は「外から塗るだけでなく、内側から補う」です。
漢方的な観点では、肌荒れや乾燥は「気や血の不足」から生じると考えられています。ギンセノシドRg1を含む高麗人参生薬は「元気(原気)を補う」最重要生薬と位置づけられており、美容サプリや外用化粧品とは異なる体質改善アプローチとして、長期的な肌環境の底上げを狙うことができます。
効果が高い成分である一方、誰もが安心して使えるかというと注意が必要なケースもあります。摂取量の目安は乾燥根で1日500mg〜1gが基本です。
以下の方は使用前に医師への相談が推奨されます。
副作用として報告されているものは、過剰摂取した場合の不眠・動悸・ほてり・食欲不振などです。これらが現れたら摂取をすぐに中断し、医師に相談するのが正しい対応です。
痛いですね。
「植物由来だから安全」と思い込んで過剰に摂取する人が一定数いますが、それは危険です。乾燥根換算で1日1gを超えないよう、サプリ製品に記載された用法・用量を守ることが大切です。
養命酒製造:高麗人参の効果・効能・副作用・飲んではいけない人について医師監修のもと詳しく解説
ギンセノシドRg1を美容に活かすルートは大きく2つあります。「内側から摂る(経口)」と「外側から塗る(経皮)」です。
これが基本です。
内側から:サプリメント・健康食品
サプリメントを選ぶ際のポイントは前述の通り「6年根・紅参・ジンセノサイド含有量の明記」の3点です。加えて、日本国内で製造・品質管理されているか、第三者機関による試験を経ているかも確認する基準になります。
摂取タイミングは食前や食間(食後2〜3時間後)が一般的で、続けて実感するには最低でも1〜3ヶ月程度の継続が目安とされています。
外側から:化粧品・スキンケア
化粧品では「オタネニンジン根エキス(INCI名:Panax Ginseng Root Extract)」として配合されており、化粧水・美容液・クリーム・シャンプーなど幅広いカテゴリに展開されています。敏感肌でもパッチテスト済みの製品が多く、植物エキスの中では比較的安全性の高い成分として知られています。
内側と外側を組み合わせるとコラーゲン生成を皮膚の内側・外側の両面からサポートできる点で、相乗効果が期待できます。「摂取しながら塗る」というデュアルアプローチが理想的な活用法です。
あまり語られることのない視点として、高麗人参サプリの「Rg1/Rb1比率」に注目することをお勧めします。
Rg1は興奮系・血行促進・コラーゲン合成促進に働き、Rb1は鎮静系・エラスチン合成・精神安定に作用します。研究データでは、Rg1/Rb1比が0.2(Rb1優位)の製品と1.0(均衡型)の製品では、中枢への作用のパターンが明確に異なることが報告されています。
つまりRg1だけに着目するのでなく、Rb1とのバランスも見ることが重要です。サプリ製品の成分表にRg1とRb1の各含有量が記載されている場合は、目的に応じてRg1/Rb1比率を確認してみましょう。一般的な美容・エイジングケア目的であれば、Rg1とRb1の合計値が高く、かつ比率が1前後のものを選ぶのが無難な基準です。
ここまで見てきた内容を整理すると、ギンセノシドRg1を美容に活かすための実践的なポイントは次の通りです。
生薬としての高麗人参は1300年以上にわたり使われてきた実績があり、そのコアとなるギンセノシドRg1は現代の化粧品科学でも豊富な研究データに支えられています。内側と外側の両面からアプローチすることが、美容目的でギンセノシドRg1を活かす最も合理的な方法です。
日本薬局方に収載されているという事実は、成分の品質と安全性が公的に担保されているというメッセージでもあります。生薬としての長い歴史と現代科学の両面から、ギンセノシドRg1を賢く日常のケアに組み込んでみてください。
京都大学学術情報リポジトリ:薬用人参のギンセノシド詳細分析と日本薬局方収載に関する研究報告