

国内の化粧品では0.03%までしか配合できません
ユビキノンは別名コエンザイムQ10とも呼ばれる、体内に自然に存在する脂溶性の物質です。ラテン語の「ユビキタス(いたるところに存在する)」が名前の由来となっており、全身の細胞に存在しています。この成分は細胞内のミトコンドリアで、エネルギー産生に欠かせない役割を果たしているのです。
体内での主な働きは、食事から摂取した栄養素をエネルギー(ATP)に変換する際の補酵素として機能することです。つまり、細胞が活動するためのエネルギーをつくる工場で、重要な働き手として活躍しています。心臓や肝臓、腎臓など、エネルギーを多く必要とする臓器ほど、ユビキノンの含有量が多いことがわかっています。
美容の分野では、このユビキノンが持つ抗酸化作用に注目が集まっています。ビタミンC誘導体やビタミンE誘導体と同じく、活性酸素を除去する働きがあるためです。
活性酸素は肌の老化の原因のひとつ。
つまり、ユビキノンは肌を守る盾のような存在です。
また、ユビキノンには「酸化型」と「還元型(ユビキノール)」の2つの形態があります。酸化型は体内に吸収された後、小腸の細胞内で還元型へと変換されます。
抗酸化作用を発揮するのは還元型の方です。
20代をピークに体内での生成量は減少していきます。心臓では40代で約30%、80代では50%以上が失われるというデータがあり、年齢とともに外部からの補給が必要になってくるのです。
肉類や魚介類、ナッツ類などの食品に含まれていますが、食事だけで十分な量を摂取するのは難しいとされています。そのため、化粧品やサプリメントでの補給が有効な選択肢となります。
ユビキノンの最も注目される効果は、強力な抗酸化作用です。肌表面に存在する皮脂に含まれるスクワレンは、紫外線や外的ストレスによって酸化されやすい性質を持っています。酸化した皮脂は、毛穴の黒ずみやくすみの原因となり、肌の老化を加速させてしまいます。ユビキノンはこの酸化を防ぐバリアとして機能するのです。
皮脂の酸化防止は、毛穴ケアにも間接的に役立ちます。角栓が黒ずみに進行する前に酸化を食い止めることで、毛穴の目立ちにくい肌を保つ効果が期待できます。直接角栓を溶かすわけではありませんが、予防という観点で価値がある働きです。
コラーゲンとエラスチンの生成をサポートする効果も報告されています。これらは肌の弾力を保つために欠かせない成分。ユビキノンはこれらの生成を促進することで、小じわやシワを目立たなくする効果が期待されています。実際に、抗シワ作用についての研究報告も存在するのです。
紫外線A波(UVA)によるDNA損傷を抑えるデータもあります。UVAは肌の深部まで届き、真皮層のコラーゲンを破壊する紫外線。ユビキノンはこのダメージを緩和することで、光老化の予防に貢献します。日焼け止めと併用することで、より効果的な紫外線対策が可能です。
ビタミンEの働きをサポートする機能も持っています。酸化型ビタミンEを還元して元に戻すことで、ビタミンEの節約効果があるのです。ビタミンEも強力な抗酸化物質ですから、この相乗効果は美肌づくりに大きなプラスとなります。
角質層の水分を増やす作用や、水分蒸散量を減らす効果も認められています。
つまり保湿効果です。
肌の乾燥が気になる方にとって、ユビキノン配合の化粧品は頼れる味方となるでしょう。
ただし、深いしわを完全に消すことはできません。これは現実として理解しておく必要があります。ユビキノンは予防や軽減には効果的ですが、既に刻まれた深いしわには限界があるのです。
化粧品に配合されるユビキノンには、重要な制限があります。厚生労働省が定めた化粧品基準により、国内の化粧品では100g中に0.03g(0.03%)までしか配合できません。また、粘膜に使用する化粧品、たとえばリップクリームなどには配合できないという規定もあります。
この0.03%という上限濃度は、一見少ないように感じるかもしれません。しかし、実は効果的な使用濃度として国際的に推奨される0.02~0.05%の範囲内に収まっています。つまり、日本の基準は安全性を考慮しつつ、効果も期待できる範囲に設定されているのです。
ユビキノンは分子量が863と大きく、長いイソプレン側鎖を持つ構造をしています。このため、肌の深部まで容易に浸透するとは言い難い成分です。むしろ、分子のサイズが大きいことが、肌の上部層で有害な外的要因からガードすることに効果的に働きます。
表面で守るタイプの成分です。
1%以上を配合すると、化粧品のテクスチャーが濃い黄色になる傾向があります。ユビキノンの成分本来の色が橙色から濃い赤色だからです。見た目を気にする方は、濃度表示をチェックするとよいでしょう。
酸素や光に弱いという性質があるため、配合技術が重要になります。安定性の高い処方なら十分に力を発揮しますが、品質管理が不十分だと効果が半減してしまいます。信頼できるメーカーの製品を選ぶことが大切です。
使用する際は、清潔な手で適量を取り、肌になじませるように塗布します。朝のスキンケアで使う場合は、日焼け止めの前に塗るのが基本。夜は洗顔後、化粧水で肌を整えてから使用すると効果的です。
保存方法にも注意が必要です。直射日光を避け、涼しい場所で保管しましょう。開封後は早めに使い切ることで、成分の劣化を防げます。冷蔵庫に入れる必要はありませんが、高温多湿の場所は避けてください。
コエンザイムQ10には、酸化型の「ユビキノン」と還元型の「ユビキノール」という2つの形態が存在します。この違いは、分子レベルでの電子の状態によるものです。ユビキノンは電子を失った状態、ユビキノールは電子を豊富に持った状態と考えることができます。
健康な状態では、体内のCoQ10の約95%がユビキノールの形で存在し、残りの5%がユビキノンとして存在しています。この比率が、細胞の健康状態を示す指標のひとつとも言われているのです。
酸化型のユビキノンは、抗酸化作用を示しません。食品に含まれるのは主に酸化型で、体内に吸収後、小腸の細胞内で還元型へと変換された後、各臓器へ送られます。変換されて初めて、抗酸化物質として働くわけです。
一方、ユビキノールは還元型ですから、摂取後すぐに抗酸化物質として活性酸素を消去する働きができます。体内で変換する手間がないため、吸収効率が高いと考えられています。特に50代以降の方は、体内での変換能力が低下するため、還元型の方が適しているという見解もあります。
化粧品では安定性の高いユビキノンが配合される製品が多くなっています。ユビキノールは抗酸化力が高い一方で酸化しやすい特性があるため、空気や光を遮断する容器や、抗酸化成分との組み合わせが必要になります。この技術的な難しさが、ユビキノン配合製品が主流となっている理由です。
肌の表皮には、NADPHキノンレダクターゼという酵素が比較的高レベルで存在しています。この酵素がユビキノンをユビキノールに変換しており、塗布したユビキノンでも抗酸化作用が発揮される仕組みになっているのです。
サプリメントを選ぶ際は、年齢や目的に応じて選択するとよいでしょう。若い方は酸化型でも十分に変換できますが、年齢を重ねた方は還元型を選ぶことで、より効率的に補給できます。コストの面では酸化型の方が安価な傾向があります。
ユビキノンは食品からも摂取できます。特に多く含まれるのは、肉類では牛肉、豚肉、鶏肉のレバーや心臓などの内臓部位です。魚介類では、イワシ、サバ、サケなどの脂の乗った魚に豊富に含まれています。植物性食品では、大豆製品やナッツ類、ブロッコリー、ほうれん草などに含まれていますが、含有量は動物性食品と比べて少なめです。
1日の推奨摂取量は、一般的に30~100mg程度とされています。これを食事だけで満たそうとすると、イワシなら約6尾、牛肉なら約3kg相当が必要になる計算です。現実的には、毎日これだけの量を食べ続けるのは難しいでしょう。
調理方法によって含有量が変わる点にも注意が必要です。ユビキノンは脂溶性ですから、油と一緒に調理すると吸収率が上がります。炒め物や揚げ物にすることで、効率的に摂取できるのです。逆に、水溶性の調理法では吸収率が下がる傾向があります。
サプリメントでの補給も有効な選択肢です。食後の摂取が推奨される理由は、脂分と一緒に摂ることで吸収率が高まるからです。ただし、最近では水溶化技術により、食事のタイミングを問わず吸収できる製品も登場しています。
化粧品での外側からのケアと、食事やサプリでの内側からのケアを組み合わせることで、より効果的なユビキノン補給が可能になります。特に、20代後半から体内生成が減少し始めることを考えると、早めの対策が将来の肌の状態を左右すると言えるでしょう。
摂取タイミングとしては、朝食後が最も推奨されます。1日の始まりにエネルギー代謝を活性化することで、細胞の働きをサポートできるからです。夕食後でも問題ありませんが、人によっては寝つきが悪くなる可能性があるため、様子を見ながら調整してください。
過剰摂取のリスクは低いとされていますが、重篤な有害事象は報告されていないものの、医薬品(30mg/日)では胃部不快感、食欲減退、吐き気、下痢、発疹が副作用として報告されています(発生率1.46%)。
適量を守ることが基本です。
美容のための化粧品成分として知られていますが、本来は全身の健康に関わる重要な物質だということを理解しておきましょう。心臓や肝臓の健康維持にも欠かせない成分なのです。
化粧品成分オンライン:ユビキノンの詳細データ
化粧品成分としてのユビキノンの配合目的、安全性、皮膚浸透性に関する科学的なデータが掲載されています。成分の基礎知識を深めたい方に有用な参考資料です。
ポーラチョイス公式:スキンケアにおけるユビキノンの性質
ユビキノンの美容効果、効果的な使用濃度、他の成分との相性について詳しく解説しています。海外の研究データに基づいた情報が得られる参考リンクです。