

普通のワセリンを顔に塗ると、肌が酸化ダメージを受けることがあります。
ワセリンとひとくちに言っても、実は純度によって4つの種類に分かれています。純度が低い順に「黄色ワセリン」「白色ワセリン」「プロペト」「サンホワイト」です。この順番を知っているだけで、スキンケア選びが格段に変わります。
黄色ワセリンは石油から抽出した炭化水素を精製したもので、不純物が最も多く残っています。代表的な商品がヴァセリン(ユニリーバ)で、酸化防止剤としてBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)と酢酸トコフェロールが添加されています。安価で手に入りやすい反面、不純物が含まれるため顔への常用には向かないとする皮膚科医も多いです。
白色ワセリンは黄色ワセリンをさらに精製し、色を白く脱色したものです。日本薬局方にも収載されており、医療機関でも広く使われています。ただし、製造メーカーによって精製の度合いや添加物に差があるため、一口に「白色ワセリン」といっても品質は均一ではありません。つまり同じ白色ワセリンでも中身は異なります。
プロペト(プロペト ピュアベール)は、白色ワセリンをさらに丁寧に精製したもので、酸化防止剤・防腐剤などの添加物をいっさい含まない「純粋なワセリン」です。第3類医薬品として市販されているほか、皮膚科や眼科でも処方されます。眼軟膏基剤としても使用できるほど安全性が高く、敏感肌の方や赤ちゃんにも広く使われています。
そしてワセリンの頂点に立つのが「サンホワイト」(日興リカ製)です。プロペトをさらに「水素化精製法」という特殊な製法で精製し、芳香族化合物・樹脂状化合物・VOC(揮発性有機化合物:トルエン、トリメチルペンタンなど)といった不純物をほぼ完全に除去しています。不純物がほぼゼロということですね。
| 種類 | 純度 | 添加物 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 🟡 黄色ワセリン(ヴァセリン等) | 低 | BHT・酢酸トコフェロール | ボディケア・かかとの保湿 |
| ⬜ 白色ワセリン(ベビーワセリン等) | 中 | 商品による | 全身保湿・医療用 |
| 🔵 プロペト(プロペト ピュアベール) | 高 | 無添加 | 顔・全身・眼科用 |
| 🌟 サンホワイト(P-1/シルキーY-1) | 最高 | 無添加+酸化防止剤配合 | 顔・目元・敏感肌・乳幼児 |
参考:サンホワイトの医療関係者向け品質比較データ(日興リカ公式サイト)
P-1と局方ワセリンとの品質安定性比較|サンホワイト公式(医療関係者向け情報)
普通の白色ワセリン(局方ワセリン)には、芳香族化合物や樹脂状化合物といった不純物が微量ながら含まれています。これらは日光(紫外線)にさらされると光酸化反応を起こし、過酸化物を生み出します。この過酸化物が皮膚上でかゆみ・かぶれの原因物質(ケトン化合物等)を生成することがわかっています。意外ですね。
実際、日興リカの公式データによると、局方ワセリンを太陽光にさらすと短時間で酸化安定の目安となる「過酸化物価(POV)1.0」を超え、6時間後にはPOVが約31.1にまで急騰します。一方、サンホワイトP-1は同じ条件で12時間後もPOV0.25以下をキープしており、酸化の進行がほぼ抑えられています。数字を見ると差は歴然です。
さらにサンホワイトには酸化防止剤も配合されています。プロペトは酸化防止剤を含まない無添加ワセリンですが、その分サンホワイトは開封後も酸化しにくく、品質がより安定しているのが特徴です。プロペトは酸化しやすい点が注意条件です。
成分面でいうと、サンホワイトP-1もシルキーY-1も「白色ワセリン100%」です。香料・着色料・保存料は不使用で、パッチテストのコントロール基剤(アレルゲンを薄めるベース)として医療現場でも使われるほど安全性が確認されています。また通常のワセリンに検出されるVOC(トルエン・ジメチルヘキサンなど)もサンホワイトからは検出されていません。これは使えそうです。
一方、一般的な白色ワセリンには抗酸化剤としてBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)が含まれている商品も多く、BHTは一部でアレルギー体質の方には注意が必要とされています。美容目的でワセリンを顔や目元に使う場合は、こうした添加物の有無も確認しておきたいポイントです。
参考:成分・品質安定性の詳細データ(サンホワイト公式)
よくあるご質問|サンホワイト / ワセリン商品情報(日興リカ公式)
サンホワイトP-1は一般的なワセリンより「多少軟らかく伸ばしやすい」という使用感の違いがあります。通常のワセリンはべたつきが強くぬりにくいと感じる方も多いですが、サンホワイトは軽く薄く塗れるため、肌への摩擦が減ります。これが基本です。
使い方の基本は、入浴後すぐに化粧水などで肌に水分を補ってから、サンホワイトを薄く重ねるというステップです。ワセリンには保湿成分は含まれていませんが、油膜で肌表面を覆うことで水分の蒸発を防ぎ(エモリエント効果)、乾燥から肌を守ります。化粧水の後にワセリンが原則です。
美容での活用法は幅広く、以下のような使い方が支持されています。
また、サンホワイトにはP-1(しっかりしっとりタイプ)とシルキーY-1(さっぱり伸びやすいタイプ)の2種類があります。目元や唇などのピンポイントケアにはP-1が向いており、広範囲のボディケアや普段使いにはシルキーY-1が使いやすいです。用途に応じて使い分けが条件です。
なお、容器から取り出す際は指を直接入れず、綿棒や清潔なヘラを使うと雑菌の混入を防げます。開封後は1年を目安に使い切るのが推奨されています。
参考:皮膚科医が解説するワセリンの使い方
実は万能な美容アイテム!皮膚科医が教えるワセリンの種類と意外な使い方|きれいのス
価格面では、白色ワセリンとサンホワイトには明確な差があります。白色ワセリン500gがAmazonで約1,080円程度(約2.2円/g)なのに対し、サンホワイトP-1 50gは1,580〜1,688円程度(約32円/g)と、同重量あたりで約14〜15倍の価格差があります。痛いですね。
ただし、ワセリンは1回の使用量が米粒〜パール粒大のごく少量です。顔全体に使っても0.5g程度で済むため、50gあれば100回以上使える計算になります。一日1回使って3ヶ月以上もちます。毎日のスキンケアで考えると、1日あたり15〜17円程度というコスト感で使えるのはかなりリーズナブルといえます。
購入場所についても違いがあります。一般的な白色ワセリンはドラッグストアや薬局でどこでも手軽に入手できます。一方、サンホワイトはマツキヨ・ドラッグストア系オンラインショップや、Amazon・楽天などのECサイトで購入できますが、近所のドラッグストアの棚にはない場合も多いです。
美容目的で顔や目元、唇に使うなら、サンホワイトかプロペトの選択が安心です。ボディや手足のかかとなど広範囲の保湿にはコスパのよい白色ワセリンで十分というケースも多いため、部位と目的に応じた使い分けが賢いといえます。
「純度が高いほど良い」という思い込みで全員がサンホワイトを選ぶべきかというと、実はそうとも言い切れません。これが注意点です。肌の状態・目的・使用部位によって最適な選択は異なります。
たとえば、ふだん肌トラブルがなく、ボディや手足の保湿目的であれば、白色ワセリンで十分な場合がほとんどです。白色ワセリンは医療機関でも使われている安全な保湿剤であり、過度に敬遠する必要はありません。白色ワセリンなら問題ありません。
一方、次のような場合はサンホワイトの選択が合理的です。
また、普通のワセリンで「塗るとかゆくなる」「なんとなく肌に合わない気がする」という方は、不純物による軽度の刺激反応が出ている可能性があります。その場合はワンランク上のプロペトやサンホワイトに切り替えると改善するケースがあります。プロペトかサンホワイトが条件です。
なお、ワセリン単体には美白効果や抗老化効果はありません。あくまで「肌の水分を逃がさない蓋」としての役割です。美容効果を期待するなら、ヒアルロン酸・セラミド・水溶性コラーゲンなどのモイスチャライザー(保湿成分)を含む化粧水や美容液を先に使い、その上からサンホワイトで蓋をするという組み合わせが最も効果的です。「保湿成分+ワセリンで蓋」が最強の組み合わせということですね。
参考:ワセリンの種類と敏感肌への使い方(白色ワセリンの解説)
白色ワセリンの役割と種類による違いについて|LiLuLa