ミックスジスルフィドとはパーマ・縮毛矯正のダメージ主犯

ミックスジスルフィドとはパーマ・縮毛矯正のダメージ主犯

ミックスジスルフィドとはパーマ・縮毛矯正で髪が傷む本当の原因

パーマや縮毛矯正のたびに「髪が傷んだ」と感じるのは、アルカリ剤やアイロンの熱だけが原因ではありません。


🔬 この記事の3つのポイント
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ミックスジスルフィドとは何か

パーマ・縮毛矯正の1剤処理で必ず発生する"副産物"。切れたSS結合が還元剤のSと結合してしまい、2剤で再結合できない「切れっぱなし」の状態になること。

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3割のSS結合が永久に再結合できない

理論上、切断したSS結合のうち2〜3割はミックスジスルフィドになり再結合不能。これが蓄積するとダメージホールとなり、髪が慢性的にボロボロになる原因になる。

💡
ダメージを最小限にするための知識

「ダメージレス」「ノンダメージ」を謳うパーマも原理上は同じ問題を抱えている。正しい施術の選び方とホームケアの知識が、長期的な美髪を守るカギになる。

このページの目次


ミックスジスルフィドとは何か:基本的な定義をわかりやすく解説

「ミックスジスルフィド(Mixed Disulfide)」は、パーマや縮毛矯正の施術中に髪の内部で必ず発生する副生成物です。少し難しい名前ですが、要するに「本来くっつくべきでない者同士がS-S結合を作ってしまった状態」のことです。


髪の毛は主にケラチンというタンパク質で構成されており、ケラチン内のシステインというアミノ酸同士が「シスチン結合(S-S結合)」でつながっています。これは髪の強さや弾力を生む、とても重要な結合です。


パーマや縮毛矯正の1剤(還元剤)は、このS-S結合を意図的に切断して髪を変形させます。この切断のときに、髪のケラチン由来のS(システイン)と、パーマ剤に含まれる還元剤由来のS(チオグリコール酸などのメルカプタン)とが結合してしまうことがあります。この「髪本来のSと還元剤のSが混ざり合ってくっついた状態」がミックスジスルフィドです。"混合"の名の通り、同種ではなく異種のSが結合しているのがポイントです。


つまり異種結合ということですね。



















結合の種類 組み合わせ 2剤で再結合
シスチン結合(正常) 髪のS + 髪のS ✅ できる
ミックスジスルフィド 髪のS + 還元剤のS ❌ できない


2剤で再結合できないため、ミックスジスルフィドになったシステインは「切れっぱなし」の状態が続きます。これが積み重なることで、髪のタンパク質が流出しダメージホールが形成されます。


混合ジスルフィド(ミックスジスルフィド)の定義と毛髪への影響について解説しているページ(沖縄のヘアアクト)


ミックスジスルフィドとSS結合の関係:髪の構造から理解する

髪の強さを理解するために、まず構造を整理しておきましょう。髪の毛の80〜90%はケラチンというタンパク質でできています。このケラチンを形成するポリペプチド鎖の中に「システイン」というアミノ酸が存在し、隣り合うシステイン同士が「S-S結合(ジスルフィド結合)」で橋かけされています。これが髪の弾力・コシ・強度を生み出す、最重要の結合構造です。


SS結合のイメージは、橋げたのボルトのようなものです。数万〜数十万本のボルト(SS結合)があることで、一本一本の毛髪が強度を保っています。


パーマや縮毛矯正では、この橋のボルトを一時的に外して、髪の形を変え、再びボルトを締め直す作業が行われます。1剤で「外し」、ロッド等で形状変化させ、2剤で「締め直す」という流れです。


問題はこの「締め直し」段階にあります。切断された片方のSに、再結合すべき同じケラチン由来のSが来るのではなく、髪の内部に残っている還元剤(チオグリコール酸など)のSが先にくっついてしまうことがあります。


その状態がミックスジスルフィドです。


こうなったシステインには、もうSS再結合のカギとなる水素(H)がつかないため、2剤の酸化剤がきても再結合が起きません。


結論は「切れっぱなし」が生まれるということです。1回のパーマや縮毛矯正で、この「切れっぱなし」の部分が数万・数十万単位で生成されると言われており、それが蓄積するほど髪はダメージホールだらけのスカスカな状態に近づいていきます。


ミックスジスルフィドとはパーマで必ず発生する副産物である理由

「ミックスジスルフィドを完全にゼロにすることは、現状の技術では不可能です。」これは美容業界における毛髪化学の専門家の共通見解です。


重要な点なので覚えておいてください。


なぜ防げないのかというと、1剤の還元剤が髪の内部に浸透してSS結合を切断するプロセス自体が、ミックスジスルフィドを生む化学反応の舞台になってしまうからです。髪のシステイン(K-S)と還元剤のメルカプタン(R-SH)が共存している状態で、平衡反応として自然に「K-S-S-R(ミックスジスルフィド)」が生成されてしまいます。これは薬剤の種類がアルカリ性であろうと酸性であろうと、基本的に同じ反応として起こります。


一説では、パーマや縮毛矯正の施術時に切断されたSS結合の約2〜3割がミックスジスルフィドになり、再結合できない状態に陥るとされています。100本のボルトを外して、70〜80本しか締め直せないイメージです。これは1回の施術でも相当な数のSS結合が「切れっぱなし」になることを意味します。


これが積み重なると、ケラチンタンパク質が少しずつ流れ出てしまい、いわゆるビビり毛や手触りのゴワつき・バサつきの原因になります。「最新の薬剤だからダメージレス」「弱酸性だからノンダメージ」という宣伝文句をよく見かけますが、この原理上の問題がある限り、完全なノンダメージは実現しません。


意外ですね。


パーマ・縮毛矯正・ヘアカラーでの本当の髪の傷みの原因を詳しく解説(DO-S HAIRブログ)


ミックスジスルフィドとは縮毛矯正でも同じ問題が起きる構造的理由

「縮毛矯正はパーマと違う」と思っている方もいるかもしれません。ただし、ミックスジスルフィドという観点では、縮毛矯正もまったく同じ原理上の問題を抱えています。


縮毛矯正も1剤(還元剤)でSS結合を切断し、アイロンで毛髪をストレートに整えた後に2剤(酸化剤)でSS結合を再架橋するという流れは同じです。したがってSS結合を切断している時点でミックスジスルフィドが生まれます。


これが条件です。


縮毛矯正では特に高温のアイロン(160〜180℃)を使用するため、「傷みはアイロンの熱が原因」と思っている方が多いです。しかし専門家によれば、数ヶ月に1回の施術でアルカリ性になったり160℃のアイロンをしたりしただけでは、激しいヘアダメージにはつながりにくいとされています。むしろ主役はミックスジスルフィドによる「切れっぱなしシステイン」の蓄積です。


つまり「弱酸性縮毛矯正だからダメージレス」「ノンアイロンだからノンダメージ」という説明は、ミックスジスルフィドの問題が省かれたまま語られていることになります。縮毛矯正を繰り返すほど蓄積するダメージの主原因がここにあることを知っておくだけで、サロン選びや施術頻度の判断が変わります。


これは使えそうです。


ミックスジスルフィドとは2剤(酸化剤)で再結合できない化学的な理由

「なぜ2剤をかければ元通りにならないのか」という疑問は、ミックスジスルフィドを理解する上で最も核心的な問いです。少し化学的な話になりますが、できるだけわかりやすく説明します。


通常のSS再結合の仕組みは次のとおりです。パーマ1剤でSS結合が切断されると、各システインにはそれぞれ水素(H)がついた「K-SH(チオール状態)」になります。ここに2剤(酸化剤:ブロム酸や過酸化水素水など)が作用すると、二つのSHのHを取り除いて「K-S-S-K(再結合)」を形成します。この反応でS同士が再びつながり、パーマのカールや縮毛矯正のストレートが固定されます。


ところがミックスジスルフィドの場合、ケラチンのSに還元剤のS(R-S)がすでにくっついています。


「K-S-S-R」という形です。


この状態では、ケラチン由来のSに水素(H)がついていないため、2剤の酸化剤が水素を取って反応するという経路が使えません。再結合のカギとなる水素がない状態ということです。そのため酸化剤をどれだけ塗布しても、K-SSをK-SS-Kという本来の架橋形にすることができません。


この状態のシステインは「切れっぱなし」のまま存在し続け、ケラチンタンパク質を繋ぎとめる役割を果たせなくなります。その結果、最終的にはケラチンタンパク質ごと毛髪から流出してしまい、いわゆるダメージホール(空洞)が生まれるのです。


ミックスジスルフィドとは髪の弾力・強度の低下とどうつながるか

ミックスジスルフィドが蓄積すると、具体的にどのような髪の変化として現れるのでしょうか。インスタグラムを通じた美容師向けの情報発信でも、「ミックスジスルフィドは毛髪の弾力や強度を低下させダメージの元になります」という説明が広まっています。


まず弾力の低下について説明します。ゴムボールに例えると、SS結合は"ゴムの橋かけ架橋"のようなものです。ゴムが多くの橋かけで結合しているほど弾力があり、形が戻りやすい。ミックスジスルフィドによって橋かけが減ると、ゴムボールの弾力がなくなってぺちゃんこになるようなイメージです。髪でいえば、ウェーブが取れやすくなる、スタイルが持ちにくくなるという現象として現れます。


次に強度の低下です。SS結合が「切れっぱなし」で再結合できないと、ケラチンタンパク質の繊維同士をつなぐ橋がどんどん失われます。その部分にできた空洞(ダメージホール)により、毛髪の引張強度が低下し、ちょっとした力で切れやすい髪になります。


さらに追加で注意したいのが、施術後の自宅でのシャンプー時にチオ臭(パーマ特有の薬品臭)が続く場合、ミックスジスルフィドとして残留していた還元剤が再び働いて、できあがったウェーブをさらに切り始めている可能性があります。「パーマしてすぐ取れた」という経験がある場合、この現象が一因になっているかもしれません。


ミックスジスルフィドとは発生を左右する「20分ルール」と中間水洗の重要性

ミックスジスルフィドを完全に防ぐことはできませんが、「できるだけ少なくする」ことは可能です。鍵を握っているのが「パーマ1剤の放置時間(軟化時間)」と「中間水洗」です。


まず放置時間について説明します。パーマ1剤を髪に塗布すると、最初はSS結合を切断する「還元反応」が優位に進みます。ところが塗布から約20分を超えてオーバータイムに入ると、1剤のSS切断能力が極端に低下します。それでも内部に残った還元剤のS(チオ)は活性のまま残っているため、切れたシステインのSと結合し始め、ミックスジスルフィドが大量生成されるのです。オーバータイムは問題ありません、ではありません。オーバータイムが始まることでミックスジスルフィドが加速するということです。


次に中間水洗の役割についてです。パーマの1剤を塗布後、2剤に移る前に行う「中間水洗」は、ただ薬液を流すだけではありません。日本毛髪ケラチン協会の研究などによれば、中間水洗を適切に行うことで髪内部の還元剤(R-SH)を除去し、平衡反応を正常なSS再結合の方向へ引き戻す効果があります。これにより、ミックスジスルフィドの量を減らし、より多くのSS結合が正常に再結合できるようになります。



  • 🕐 1剤の放置は20分以内を目安にする(浸透促進剤などを活用)

  • 🚿 中間水洗はしっかり丁寧に行う(すすぎ不足が残留の原因になる)

  • 🧪 ジチオジグリコール酸が過剰に生成される条件を避ける


施術時間の管理が、仕上がりのクオリティとダメージ量の両方を左右しています。


ミックスジスルフィドと中間水洗・20分ルールの関係について詳しく解説(himito.com)


ミックスジスルフィドとジチオジグリコール酸の関係:ダメージの連鎖を知る

ミックスジスルフィドとセットで語られることが多い化学物質が「ジチオジグリコール酸」です。この関係を知ることで、なぜ施術方法によってダメージ量が変わるのかが理解できます。


ジチオジグリコール酸(RSSR)は、チオグリコール酸(RSH)という還元剤が2つ結合したものです。パーマ剤に含まれるチオグリコール酸が酸化されることで生成されます。このジチオジグリコール酸が髪の内部に存在するとき、再び平衡反応が起き、ミックスジスルフィドの生成を促進してしまいます。


つまり流れはこうなります。



  • ① 1剤のチオグリコール酸(RSH)がSS結合を切断する

  • ② 一部のチオグリコール酸がジチオジグリコール酸(RSSR)に酸化される

  • ③ ジチオジグリコール酸が髪のケラチンSと反応し、ミックスジスルフィドをさらに生成する

  • ④ ミックスジスルフィドの蓄積によりSS再結合率が下がり、ダメージが増える


ジチオジグリコール酸自体を減らすことが、ミックスジスルフィドの低減につながります。具体的には中間水洗の質を高めることや、使用する還元剤の種類・濃度を適切に管理することが有効です。チオグリコール酸ではなくシステアミンなど疎水性の異なる還元剤を選択することで、ミックスジスルフィドの状態を変化させることができるという研究もあります。


これが基本です。


ミックスジスルフィドとは「ダメージレス」「酸性パーマ」でも解決しない問題である理由

美容室のメニューでよく見かける「ダメージレスパーマ」「酸性縮毛矯正」「弱酸性パーマ」。これらはミックスジスルフィドの問題を完全に解決できているのでしょうか?答えは「解決しない」です。


ダメージレスや酸性・弱酸性を謳うパーマ・縮毛矯正も、本質的なプロセスは同じです。1剤でSS結合を切断し、2剤で再結合させる。このプロセスが存在する限り、ミックスジスルフィドは原理的に発生します。


酸性・弱酸性の薬剤の場合、アルカリによる膨潤や溶解が少ないためキューティクルへのダメージは比較的抑えられます。ただし、システアミンなど酸性系の還元剤で生成されるミックスジスルフィドは疎水性が高く(水に溶けにくく)、次の還元剤がアプローチしにくい特性があるとされています。つまり「酸性だから安心」というわけではなく、別の観点での注意が必要です。


さらに「ノンダメージ」と宣伝されているメニューに関しては、毛髪化学の視点から見ると誇大表現になる場合があります。100本のSS結合を切断した場合、どんなに優れた施術でも70〜75本程度しか再結合できないとされており、必ず一定の「切れっぱなし」が生まれます。これは化学の問題であって、施術技術の問題だけではありません。


ミックスジスルフィドとはパーマ後のホームケアで知っておくべき髪の真実

施術後のホームケアについても、ミックスジスルフィドの知識があると行動が変わります。


パーマや縮毛矯正後に使う市販のトリートメントやコーティング剤の多くは、髪の表面に皮膜をつくることで「ツヤ・なめらかさ」を出します。見た目は改善しても、内部のミックスジスルフィドによる「切れっぱなし」には直接作用しません。ツヤが出たからといって、SS結合の欠損が修復されたわけではないのです。


これだけ覚えておけばOKです。


では何が効果的なのかということですが、施術後のケアで大切なのは「余計な成分を髪に残さない」という発想が一つの出発点になります。



  • 💧 施術後はノンシリコン・皮膜成分なしのシャンプーで洗浄し、余分な残留物を排除する

  • 🧴 ケラチントリートメント系は髪内部の空洞(ダメージホール)に栄養を補給する目的で使う

  • 🌡️ ドライヤーの熱は最小限にし、切れっぱなしのシステインがさらに変性しないよう保護する

  • ⏰ 次回の施術まで期間を空け、ミックスジスルフィドの蓄積が少ない状態で臨む


サロンで販売されている「施術後専用ホームケア」の中には、残留還元剤の除去や残留アルカリの中和を助けるものもあります。施術を担当した美容師に「ミックスジスルフィドのケアに対応したホームケアを教えてください」と尋ねてみることが、適切な製品選びへの最短ルートです。


ミックスジスルフィドの発生メカニズムとジチオジグリコール酸との関係を詳解(masaki-ishikawa.net)


ミックスジスルフィドとはアルカリ残留よりも深刻な問題であることの根拠

「パーマ後は弱酸性シャンプーで残留アルカリを除去して」という美容室のアドバイスを聞いたことがある方も多いでしょう。アルカリ残留はたしかに髪に悪影響をもたらしますが、ミックスジスルフィドと比べるとどちらが深刻なのでしょうか。


毛髪化学の専門家の見解では、残留アルカリや残留オキシは確かに問題であるものの、「ただの脇役に過ぎない」という表現を使うほど、ミックスジスルフィドがより根本的な問題と位置付けられています。


その理由はシンプルです。


アルカリは時間が経てば空気中の二酸化炭素などによって中和・減少していきますが、ミックスジスルフィドによる「切れっぱなしのシステイン」はそのまま残り続けます。


時間が解決しないダメージです。


しかも、施術ごとに蓄積していく性質があります。10回パーマをかければ、その都度2〜3割のSS結合が「切れっぱなし」になり続ける計算です。その積み重ねが、数年後に「なぜか髪が細くなった」「コシがなくなった」「パーマがかかりにくくなった」という感覚となって現れます。


だからこそ、アルカリ除去だけにフォーカスした「酸リンス」や「アシッド剤」のケアは、対症療法にはなりえても根本解決にはなりません。パーマ・縮毛矯正における本質的なダメージケアとは、ミックスジスルフィドの生成量を減らす施術の精度と、施術後の残留物除去を適切に行うことが両輪です。


ミックスジスルフィドとは美容師の技術と知識で差が出るポイントである理由【独自視点】

これはあまり語られない視点ですが、ミックスジスルフィドへの対応を知っているかどうかで、美容師の技術レベルは大きく変わります。


ミックスジスルフィドに関する知識は、国家試験の美容師免許試験においては必須ではないこともあります。そのため、プロとして活動していても「ミックスジスルフィドという言葉を初めて聞いた」という美容師が一定数存在するのが現状です。それもそのはず、施術に使うメーカーの講習でも触れられないケースがあります。


知識がある美容師と知識がない美容師の違いは、次のような施術判断に出てきます。





























判断ポイント 知識あり 知識なし
1剤の放置時間 20分以内を意識し浸透促進を活用 「よく浸透させるため長め」に放置
中間水洗の質 丁寧に行い残留還元剤を最小化 形式的にさっと流すだけ
薬剤選定 還元剤の種類とミックスジスルフィドの疎水性を考慮 「流行り」や仕上がり感覚だけで選択
ダメージ説明 「ミックスジスルフィドによる蓄積ダメージ」を正直に説明 「弱酸性だからダメージレス」と断言


サロンを選ぶときに「ミックスジスルフィドって対策してますか?」と質問してみてください。その返答の質で、その美容師の毛髪化学の理解度が見えてきます。すべてを知っている美容師が正解というわけではありませんが、「知らない」と答える場合は要確認です。


知識が施術の質の差に直結します。


ミックスジスルフィドとはSS結合再生に向けた最新のパーマ理論との関係

ミックスジスルフィドを「制御する」という視点から、近年の毛髪科学では新たなアプローチが研究されています。


故・新井幸三博士をはじめとする毛髪ケラチン研究の第一人者たちは、「平衡反応」を利用してミックスジスルフィド(KSSR)を除去し、SS結合を再生できないかという課題に取り組んでいました。平衡反応とは、化学反応が一方向だけでなく双方向に進むという性質のことです。ミックスジスルフィドの生成も、条件によっては逆方向に進み、SS結合が再生される余地があるという発想です。


具体的には、適切なタイミングで水洗を行い、内部の還元剤(R-S)を除去すると、平衡反応の均衡が崩れてミックスジスルフィドが減少し、SS再結合が促進されることが研究で示されています。これが中間水洗の本質的な意義であり、「ただ洗い流す」以上の意味があります。


また、ジチオジグリコール酸(RSSR)を積極的に利用した「リバースリアクション」という技法も実際のサロン施術に取り入れられています。あえてジチオジグリコール酸を用いることでミックスジスルフィドを増やし、それを利用して平衡反応でSS結合の再結合率を高めるという発想です。


この分野はまだ発展途上ですが、「ミックスジスルフィドの制御=ダメージの制御」という方向性は、パーマ・縮毛矯正の未来に大きな可能性をもたらしています。


平衡反応と中間水洗の関係:新井幸三博士が追い求めた理想のパーマ理論について(WECO BASE)


ミックスジスルフィドとは美容室選びと施術頻度の見直しに活かせる知識

ここまでの知識を、実際の行動に落とし込んでみましょう。ミックスジスルフィドとは何かを理解すると、次のような美容室選びや施術のスケジュール管理に役立てることができます。


まず施術頻度についてです。パーマや縮毛矯正は施術のたびにミックスジスルフィドが蓄積します。前回の施術でダメージホールが生じている状態でまた施術を行えば、それだけ多くのSS結合が切れた状態になります。美容師に「髪の状態を見てから施術を判断する」姿勢があるかどうかは、大切な確認ポイントです。


次に美容室選びのポイントです。



  • 🔍 「中間水洗」の工程に時間と丁寧さをかけているサロンを選ぶ

  • 📋 「ダメージレス」という言葉だけでなく、具体的な理論的説明ができる美容師を選ぶ

  • 🧪 施術前にトリートメントやケラチン補給を行い、SS結合の土台を整えるサロンは信頼性が高い

  • 📅 縮毛矯正やパーマを年に複数回繰り返している方は、施術間隔を3ヶ月以上確保することが理想


ホームケアの選択でも、「コーティング型」よりも「補修型(PPT・ケラチン系)」のトリートメントを選ぶことで、ダメージホールを少しでも補いやすくなります。


なお、ミックスジスルフィドの残留を抑えたい場合は、施術後のシャンプーにはサルフェートフリーの低刺激シャンプーを選び、余計な皮膜成分が髪内部の残留物除去を妨げないようにすることも一つの方法です。


ミックスジスルフィドとは何かを理解すると変わる「ノンダメージ」への見方のまとめ

ミックスジスルフィドとは、パーマや縮毛矯正の1剤処理の過程で必然的に発生する、髪本来のシステイン(K-S)と還元剤のメルカプタン(R-S)が混合したS-S結合のことです。この結合は2剤では再結合できず、切れっぱなしのシステインとして蓄積し、ダメージホールを引き起こします。


約2〜3割のSS結合がミックスジスルフィドになると言われており、これが蓄積するほど弾力・強度・ウェーブの持続性が失われていきます。アルカリや熱が主原因と思われがちですが、最も根本的なダメージ原因はこのミックスジスルフィドです。


「ダメージレス」「弱酸性」「ノンアイロン」を謳うメニューも、この化学反応原理上の問題から完全には逃れられません。一方で、1剤の放置時間の管理と中間水洗の丁寧な実施によって、ミックスジスルフィドの生成量を最小限に抑えることは可能です。


美容室選びの際は「ミックスジスルフィドへの対応」という視点で質問してみることで、技術レベルの高いサロンかどうかを見極める一つの基準になります。


知識が髪を守ります。