クラステリンとは何か肌老化を防ぐ注目のタンパク質

クラステリンとは何か肌老化を防ぐ注目のタンパク質

クラステリンとは何か肌老化を防ぐ注目のタンパク質

クラステリンの効果は「肌に塗るケア」だけでは得られず、運動しないと体内で産生量が下がり続けることが研究で明らかになっています。


クラステリンとは?3つのポイントで早わかり
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体内の「掃除係」タンパク質

クラステリンは細胞外に存在する分子シャペロンで、変性・異常タンパク質に結合して除去を助ける働きを持つ。老化で増える「タンパク質のゴミ」を回収する役割が注目されている。

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運動で血中濃度が上昇する

スタンフォード大学の研究(Nature 2021)で、有酸素運動を行うと血漿中のクラステリン濃度が有意に上昇することが確認された。肌だけでなく脳の抗炎症効果にも関与している。

加齢とともに機能変化するマーカー

東京大学医科学研究所(2025年)の研究では、クラステリン陽性細胞が加齢とともに増幅し、老化関連変化を引き起こす可能性が示された。 老化の「ものさし」としての研究も進行中。


クラステリンとは:基本的な構造と分類


クラステリン(Clusterin)は、ヒトの体内のほぼすべての組織に存在する糖タンパク質です。別名「アポリポタンパク質J(ApoJ)」とも呼ばれており、血液、尿、母乳、精液など多くの体液中でも確認されています。分子量はおよそ75〜80 kDa(キロダルトン)で、内部の約30%がN結合型糖鎖で構成されているのが特徴です。


成熟した分泌型クラステリンは、αサブユニットとβサブユニットがジスルフィド結合によって連結した「ヘテロ二量体」という構造をとっています。このような二量体構造は、変性タンパク質へ効率よく結合するために機能上重要とされています。


クラステリンには大きく分けて「分泌型(細胞外型)」と「核型」の2種類が存在します。分泌型は細胞外に分泌されて細胞外シャペロンとして働き、核型は細胞内に留まってアポトーシス(細胞死)の調節に関わります。つまり同じクラステリンでも、どこにいるかによって真逆の役割を果たすことがあるわけです。


意外ですね。


美容の観点でとくに注目されるのは、この分泌型クラステリンのシャペロン機能です。


クラステリンとは:細胞外シャペロンとしての働き

シャペロンとは、タンパク質が正しい立体構造に折りたたまれるのを助けたり、変性・損傷したタンパク質が有害な凝集体を形成するのを防いだりするタンパク質の総称です。体内では熱や紫外線、酸化ストレスなどさまざまな要因でタンパク質が変性します。


クラステリンが担う細胞外シャペロン機能とはどういうことでしょうか?


細胞の外側(血液や組織液の中)は、細胞内よりもさらに過酷な環境といわれています。せん断応力、pH変化、酸化ストレスなどが常にタンパク質を傷つけようとしているためです。クラステリンは、そのような細胞外環境で変性したタンパク質にいち早く結合し、有害な凝集体になることを防ぎます。


千葉大学・板倉英祐助教らの研究(日本生化学会誌 2021年)では、クラステリンが変性タンパク質と複合体を形成したのち、細胞表面の受容体「ヘパラン硫酸」を介してエンドサイトーシス(細胞内取り込み)が起き、最終的にリソソームで分解されることが明らかになりました。この一連の経路は「CRED(Chaperone- and Receptor-mediated Extracellular protein Degradation)」と名付けられています。


つまり基本は「ゴミ回収→廃棄まで一気通貫」が基本です。


この機能が肌にとって重要な理由は、コラーゲンやエラスチンなどの真皮タンパク質が加齢や紫外線によって変性した際に、その変性タンパク質の蓄積を防ぐことにつながるからです。


クラステリンはアミロイドβにも結合することが確認されており、そのシャペロン機能の幅広さがうかがえます。


参考:細胞外シャペロンClusterinによる細胞外タンパク質の分解機構(日本生化学会)
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2021.930230/data/index.html


クラステリンとは:肌の老化とタンパク質の品質管理

肌の老化を語るとき、コラーゲンやエラスチンの「量の減少」がよく話題になります。しかし実は、それと並んで重要なのが「変性した不良タンパク質の蓄積」です。


年齢を重ねると、紫外線・活性酸素・糖化ストレスなどで変性したタンパク質が真皮にたまりやすくなります。この不良タンパク質は正常なコラーゲン線維の形成を妨げ、肌の弾力低下やくすみ、ハリのなさにつながると考えられています。


クラステリンの品質管理機能が活発であれば、こうした変性タンパク質が蓄積する前に除去される仕組みが働きます。注目すべきは、クラステリンがATPを必要とせずに機能する点です。


細胞内のシャペロンの多くはATP(エネルギー)を消費して変性タンパク質を修復しますが、細胞外ではATP濃度が低いため、従来は「細胞外の異常タンパク質の処理は難しい」とされていました。クラステリンはATPなしで変性タンパク質を認識・安定化し、受容体経路を通じて分解に導く点が画期的なのです。


これは使えそうです。


加齢とともにこのクラステリンの機能が低下すると、変性タンパク質の処理が追いつかなくなり、老化が加速する可能性があります。肌のアンチエイジングを本気で考えるなら、「タンパク質の品質管理」という視点が欠かせません。


クラステリンとは:加齢との関係と老化マーカーとしての可能性

2025年3月、東京大学医科学研究所の岩間厚志教授らの研究グループが注目すべき発見を発表しました。造血幹細胞(血液細胞を産生する幹細胞)の老化において、クラステリン陽性の幹細胞が加齢とともに増幅していくことが明らかになったのです。


具体的には、若い時期(マウス8〜10週齢)はクラステリン陽性細胞の割合が少ないのに対し、加齢期(マウス20ヶ月齢)になるとクラステリン陽性細胞が大部分を占めるようになります。クラステリン陽性の老化幹細胞は「骨髄球・血小板への分化が偏り、免疫機能が低下する」という典型的な老化パターンを示します。


老化するとクラステリン陽性細胞が増える、というのが原則です。


この発見の意義は2点あります。1つ目は、クラステリンが老化の新しい「ものさし(マーカー)」として使える可能性です。2つ目は、クラステリン陽性の老化細胞を標的にすることで、老化関連疾患の予防・治療につながる可能性があることです。


美容への応用という点では、皮膚の老化においても同様のメカニズムが働いている可能性があります。分泌型クラステリンは肌の変性タンパク質除去に貢献する一方、細胞レベルでの老化マーカーとして機能するという二面性を持つことが、今後の研究で明確になっていくと考えられます。


参考:造血幹細胞の新規老化マーカーClusterinの同定(東京大学医科学研究所)
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00328.html


クラステリンとは:運動による血中濃度の上昇と美容効果への示唆

ここが、美容に関心のある方にとってとくに重要なポイントです。


2021年12月、米スタンフォード大学のTony Wyss-Coray博士らの研究グループが権威ある学術誌『Nature』に発表した研究(Nature, 600: 494–499)で、「運動をすると血漿中のクラステリン濃度が有意に上昇する」ことが明らかになりました。


研究では、28日間自発的に走り続けたマウスから採取した血漿(運動血漿)を別のマウスに注入したところ、海馬での神経新生が促進され、記憶・学習能力が向上しました。そして運動血漿の抗炎症効果の「主役」として特定されたのが、クラステリンだったのです。


さらに、軽度認知機能障害(MCI)の患者さんが6ヶ月間の運動プログラムを実施したところ、血漿中のクラステリン濃度が実際に上昇することが確認されています。動物実験だけでなく、ヒトでも同様の変化が起きることが示されたのは大きな意義があります。


運動するだけでクラステリンが増える、というのが結論です。


この研究が美容に示唆することは大きいといえます。有酸素運動(ウォーキングやジョギングなど)を継続することで血中クラステリンが増え、炎症を抑制しながら変性タンパク質の除去が促進される可能性があるからです。高価なサプリや化粧品に頼る前に、まずは体を動かすことが「体内クラステリン産生」という観点からも理にかなっています。


参考:エクササイズ血漿はclusterinを介して記憶力を増強し脳の炎症を抑制する(日本骨代謝学会)
https://jsbmr.umin.jp/hot_paper/entry100/178_mhayashi.html


クラステリンとは:運動以外でクラステリンを高める生活習慣

運動がクラステリンを増やすことはわかりました。


では、その他の生活習慣ではどうでしょうか。


現時点での研究段階から整理すると、クラステリンの産生や機能維持に関係するとされる要素は以下のように考えられています。


まず、酸化ストレスの軽減です。クラステリンは酸化ダメージを受けたタンパク質に反応して産生・分泌が増える性質を持ちます。逆にいえば、酸化ストレスが少ない状態ではクラステリンを「ムダ遣い」させないことができます。ビタミンCやビタミンE、アスタキサンチンなどの抗酸化成分を食事から摂ることは、クラステリンの「仕事量」を減らし、効率的な運用につながります。


次に、タンパク質を適切に摂ることです。クラステリン自体もタンパク質であるため、体内での合成を支えるためには良質なアミノ酸の供給が必要です。鶏むね肉、卵、大豆製品などタンパク質豊富な食品を1日3食でバランスよく摂ることが基本です。


また、睡眠の質を高めることも重要です。睡眠中は体内のタンパク質品質管理機能が活発になるとされており、質の良い睡眠がクラステリンを含む細胞外プロテオスタシス(タンパク質恒常性)の維持を助けると考えられています。


肌のケアは「外から塗る」だけでなく、体内の品質管理システムを整えることが条件です。


クラステリンとは:抗炎症・補体調節機能と肌トラブルへの関係

クラステリンは分子シャペロンとしての働きだけでなく、免疫・炎症系の調節にも深く関わっています。とくに注目されるのが「補体系の調節」機能です。


補体とは、免疫システムの一部で、細菌や異物を排除するために活性化するタンパク質群です。この補体システムが過剰に活性化すると、本来は守るべき自身の細胞を傷つける「自己炎症」が起きることがあります。クラステリンは補体カスケードの抑制因子として働き、過剰な炎症反応に歯止めをかける役割を担っています。


肌の炎症が続くとどうなりますか?


繰り返す皮膚炎症は、コラーゲン分解酵素(MMP)の産生を促進し、真皮のコラーゲン・エラスチンを傷つけます。


これがしわやたるみの原因の一つとなります。


クラステリンが補体系を適切にコントロールすることは、こうした慢性炎症からくる肌老化を防ぐ上で重要な意味を持ちます。


また、前述のスタンフォード大学の研究では、クラステリンが脳血管内皮細胞に結合して神経炎症を抑えることが示されています。同様の抗炎症メカニズムが皮膚の毛細血管においても働く可能性が考えられており、今後の研究が期待されます。


痒みや赤みなど慢性的な皮膚炎症に悩む方は、炎症を抑える生活習慣(禁煙、アルコール制限、バランスの良い食事)を取り入れることがクラステリンの抗炎症機能を最大限に活かす近道といえます。


クラステリンとは:アルツハイマー病リスク遺伝子としての側面と美容への意味

クラステリン(CLU遺伝子)は、アルツハイマー病(AD)のリスク遺伝子ランキングで世界的な遺伝子データベース「AlzGene」において第3位に位置しています(APOE、BIN1に次ぐ)。特定のSNP(一塩基多型)rs11136000が、コーカサス系人種においてADリスクと関連することが示されています。


この事実は、美容と健康を切り離して考えられないことを示しています。肌の老化と脳の老化は根本にある「タンパク質の品質管理不全」「慢性炎症」という共通のメカニズムで加速するからです。


脳とお肌の老化には、共通のメカニズムがあるということです。


クラステリンが低下または機能不全になると、細胞外に蓄積する変性タンパク質(アミロイドβなど)が増え、脳では認知症リスクが、肌では老化の加速が懸念されます。逆にいえば、クラステリンの機能を維持する生活習慣は、脳と肌の両方を守る可能性があります。


運動・良質な睡眠・抗酸化食品の摂取・ストレス管理など、いずれもクラステリンを含む体内の抗老化システムを支える行動として共通しています。美容のためだけでなく、認知機能維持も視野に入れると、日々のアンチエイジングケアへのモチベーションがさらに高まるはずです。


クラステリンとは:脂質輸送機能と肌バリアへの影響

クラステリンのあまり知られていない側面として、「脂質輸送タンパク質」としての機能があります。クラステリンはアポリポタンパク質Jとも呼ばれるとおり、脂質(リン脂質やコレステロール)を結合・輸送する能力を持っています。


肌のバリア機能には、セラミドやコレステロール、脂肪酸などの脂質成分が欠かせません。角質層の脂質バリアが崩れると、肌の水分が蒸散しやすくなり、乾燥や肌荒れを招きます。クラステリンの脂質輸送機能は、こうした皮膚脂質の動態にも間接的に関与している可能性があります。


これは意外ですね。


また、クラステリンは細胞膜の再利用(膜リサイクル)にも関与するとされています。細胞膜の健全性を保つことは、皮膚細胞が正常なバリア機能を発揮するうえで基礎となる要素です。


現在販売されているスキンケア製品の中には、セラミドやリン脂質を配合してバリア機能をサポートするものが多くあります。こうした製品を選ぶ際、成分表示を確認しながら、脂質補給の観点からも自分の肌状態に合ったものを選ぶことが重要です。クラステリンを介した脂質輸送機能のサポートという視点も、今後の化粧品開発で注目される可能性があります。


クラステリンとは:化粧品・スキンケアへの応用と今後の研究

現時点では、クラステリンそのものを化粧品成分として直接配合した製品は日本国内でほとんど流通していません。クラステリンが作用するのは主に細胞外〜細胞内の深い部位であり、化粧品で外側から塗布してその機能を再現することには技術的なハードルがあるためです。


ただし、化粧品・スキンケア分野での研究は着実に進んでいます。


花王・資生堂・ポーラをはじめとした日本の大手化粧品メーカーは、細胞外タンパク質品質管理に関連する研究に力を入れており、クラステリンを含む「分子シャペロン系」への応用が将来的に期待されています。また、欧州では特許文書の中にクラステリン(CLU)と皮膚の酸化ストレス防御に関する記述が見られ、スキンケア原料としての検討が行われていることがうかがえます。


今後の注目点が2つあります。1つ目は、クラステリン産生を促す植物エキスや低分子物質の発見です。2つ目は、クラステリンの機能を模倣した合成ペプチドや生体分子の活用です。


現時点で美容目的でクラステリンに関わるアプローチをするなら、外側からのケアとしては「変性タンパク質の蓄積を防ぐ抗酸化成分」を取り入れることが実践的です。ナイアシンアミドレチノール・ビタミンCなどの成分は、タンパク質損傷を引き起こす酸化ストレスを減らし、間接的にクラステリンの負担を減らす効果が期待できます。


クラステリンとは:日常生活で意識したいアンチエイジング習慣の総まとめ

ここまでの内容を踏まえて、クラステリンをキーワードにした美容・アンチエイジング習慣を整理します。


まず最優先で取り入れてほしいのが定期的な有酸素運動です。スタンフォード大の研究が示したとおり、28日間の継続的な運動でクラステリンの血中濃度が有意に上昇します。ウォーキング30分を週3〜5回続けることが現実的な目標です。畳6畳分(約10平方メートル)のスペースがあれば室内歩行でも代替できます。


次に、食事からの抗酸化・タンパク質補給です。変性タンパク質の蓄積を防ぐためには、酸化ストレスを最小限にする食生活が必要です。野菜・果物に含まれるポリフェノールやビタミンC・E、魚に含まれるアスタキサンチンなどが特に有効です。タンパク質は体重1kgあたり約1gを目安に(体重50kgなら1日50g)、鶏むね・卵・大豆食品から摂ることが基本です。


睡眠の7時間確保も外せません。


これが条件です。


スキンケアでは抗酸化・バリア補修を意識することも重要です。クラステリンを直接増やす化粧品は現時点では存在しませんが、ナイアシンアミド・レチノール・セラミド配合製品で肌のタンパク質環境を整えることが、間接的にクラステリン機能を最大化させる土台になります。


クラステリンという言葉は難しく聞こえますが、必要なことはシンプルです。「体を動かす・食べる・寝る・守る」という基本を丁寧に積み重ねることが、体内の老化対策タンパク質を活かす最善の方法だといえます。


Please continue.




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