
ハイドロキシアパタイトの最も注目すべき効果は、歯の再石灰化 における独特のメカニズムです。人間の歯のエナメル質の97%、象牙質の70%を構成するこの成分は、まさに歯そのものと同じ構造を持っています 。
参考)ハイドロキシアパタイト | APAGARD
再石灰化とは、虫歯菌が作り出す酸によって溶かされた歯の表面に、唾液中のミネラルが再び取り込まれる現象です。しかし、従来のフッ素系成分とは異なり、ハイドロキシアパタイトは表層下まで均一に 再石灰化を行うことができます 。
参考)https://honma-dental.or.jp/column/detail.html?id=461
この驚くべき効果の背景には、ナノ粒子サイズの薬用ハイドロキシアパタイト(mHAP)が、歯のエナメル質の隙間に直接浸透する能力があるためです 。従来のフッ素が表面に留まりがちなのに対し、ハイドロキシアパタイトは歯の深部まで到達し、失われたミネラルを効率的に補給します 。
参考)薬用ハイドロキシアパタイト|株式会社サンギ 公式企業サイト
歯垢除去におけるハイドロキシアパタイトの効果は、その独特なタンパク質吸着能力に由来します。特にナノ粒子化された薬用ハイドロキシアパタイトは、虫歯の主原因となるミュータンス菌に対して優れた吸着力を示します 。
この吸着メカニズムは、ハイドロキシアパタイトが液体クロマトグラフィーの吸着剤として使用されてきた歴史からも裏付けられています。歯の表面に付着した歯垢(口腔内細菌が形成するバイオフィルム)を、まるで磁石のように引き寄せて除去する仕組みです 。
さらに注目すべきは、この吸着除去効果が研磨による物理的な除去とは異なり、歯の表面を傷つけない ことです。むしろ歯の表面をコーティングして、新たな汚れの付着を防ぐ効果も期待できます 。
参考)ハイドロキシアパタイトの効果は?市販の歯磨き粉も紹介
ハイドロキシアパタイトの安全性は、20年以上にわたる医療分野での使用実績によって証明されています。人工骨や人工歯根の材料として、歯科・整形外科・形成外科・耳鼻科領域で広く活用されており、非毒性・非アレルギー性物質 として高い安全性が確認されています 。
参考)アゴ形成 :レディエッセ注入法
美容外科の分野では、カルシウムハイドロキシアパタイトを主成分とする持続型注入剤(レディエッセ)として、鼻やあごの形成に使用されています。この製剤は1年以上かけてゆっくりと体内に吸収され、重篤な副作用の報告はありません 。
参考)持続型注入剤(ハイドロキシアパタイト)
歯磨き粉に配合される薬用ハイドロキシアパタイトについても、うっかり飲み込んでしまっても安全 であることが確認されています 。これは小さなお子様がいる家庭でも安心して使用できる重要なポイントです。
参考)ハイドロキシアパタイトの虫歯予防効果、フッ素に匹敵か
2024年に発表された画期的な研究では、ハイドロキシアパタイト入り歯磨き粉の虫歯予防効果が、従来のフッ素入り歯磨き粉と同程度であることが証明されました。18ヶ月間の臨床試験において、虫歯が増えていなかった人の割合は、ハイドロキシアパタイト群89.3%、フッ素群87.4%という結果でした 。
この研究結果は美容に関心の高い人々にとって重要な意味を持ちます。フッ素には歯のフッ素症(斑状歯)を引き起こすリスクがある一方、ハイドロキシアパタイトは高い再石灰化作用と生体適合性 を持ちながら、そのような副作用の心配がありません 。
また、フッ素が主に表面の再石灰化に効果を発揮するのに対し、ハイドロキシアパタイトは表層下まで均一に 作用するため、より自然で持続的な歯の健康維持が期待できます 。
効果的なハイドロキシアパタイト歯磨き粉を選ぶ際の最重要ポイントは、「薬用」表示の確認 です。単なる「ハイドロキシアパタイト」配合では研磨剤としての機能しかありませんが、「薬用ハイドロキシアパタイト」は虫歯予防成分として認可された特別な成分です 。
薬用ハイドロキシアパタイトは、1993年に厚生労働省から虫歯予防成分として認可を受け、現在では限定されたメーカーの商品にのみ配合されています。この成分には以下の3つの作用が科学的に証明されています。
また、ナノ粒子化技術により粒子サイズが最適化された製品を選ぶことで、より効果的な歯のケアが期待できます 。美容を意識する方は、高濃度配合タイプやホワイトニング効果を併せ持つ製品も検討してみてください。
参考)薬用ハイドロキシアパタイトの3つの効果で輝く白い歯へ