

毎日ビタミンKを150μg摂っても、骨の健康に必要な量には全然足りていません。
ビタミンKは大きく「K1(フィロキノン)」と「K2(メナキノン)」の2種類に分かれます。この2つは同じ「ビタミンK」という名前でも、含まれる食品も体への働きも大きく異なります。
K1は主に植物由来で、ほうれん草・ケール・モロヘイヤなど緑色の葉野菜に豊富です。一方、K2は微生物や動物によって産生され、納豆・チーズ・卵黄・鶏肉などの発酵食品や動物性食品に多く含まれています。腸内細菌からも一部生成されることがわかっています。
美容の文脈でとくに重要なのはK2です。
これが原因です。
K2には「オステオカルシン」というタンパク質を活性化し、カルシウムを正しく骨へ届ける機能があります。骨密度が下がるとフェイスラインがゆるみやすくなることは、美容の専門家の間でも指摘されています。また、K2は毛細血管の血液凝固を助けることで、目の下のクマ(青クマ・赤クマ)の改善にも関わるとされています。さらに、肌のバリア機能を高め、炎症・赤み・乾燥を抑える可能性も報告されています。
つまり「骨も肌も血管も」という視点で、K2は美容に直結したビタミンと言えます。
参考:ビタミンKの種類と機能について(ELLEジャパン・専門家解説)
肌荒れやヘアケアにも!専門家からビタミンKのパワーを正しく学ぼう|ELLE JAPAN
ビタミンK2を含む食品の中で、飛び抜けた存在が納豆です。文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」によると、糸引き納豆は100gあたり870μg、ひきわり納豆は100gあたり930μgものビタミンKを含んでいます。これは、ゆでた大豆のおよそ85倍という驚異的な数値です。
意外ですね。
しかし「納豆が苦手」「毎日食べるのは難しい」という方も多いでしょう。以下に、カテゴリ別のビタミンK2を含む主な食品をまとめます。
| カテゴリ | 食品名 | ビタミンK量(100gあたり) | 目安量 |
|---|---|---|---|
| 豆類・発酵食品 | ひきわり納豆 | 930μg | 1パック(40g) |
| 豆類・発酵食品 | 糸引き納豆 | 870μg | 1パック(40g) |
| 肉類 | 鶏もも皮(生) | 120μg | 1枚分(30〜40g) |
| 肉類 | 鶏むね皮(生) | 110μg | 1枚分(30〜40g) |
| 肉類 | 鶏ハツ(生) | 51μg | 1個(15〜20g) |
| 卵類 | 鶏卵 卵黄(生) | 39μg | 卵1個の卵黄(16g) |
| 乳製品 | パルメザンチーズ | 15μg | 大さじ1(6g) |
| 乳製品 | チェダーチーズ | 12μg | スライス1枚(18g) |
| 乳製品 | クリームチーズ | 12μg | 大さじ1(13g) |
| 乳製品 | モッツァレラチーズ | 6μg | 1切れ(18g) |
表から見えてくるのは、納豆以外の食品のK2含有量は決して多くないという点です。とはいえ、チーズや卵黄・鶏肉は日常的に食べられる食品であり、組み合わせることで十分な摂取に近づくことができます。
参考:文部科学省データに基づくビタミンK含有量の詳細情報
ビタミンKの働きと1日の摂取量|健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)
チーズはビタミンK2の重要な供給源です。特に、乳酸菌による発酵が行われたナチュラルチーズには、動物由来のメナキノン-4(MK-4)が含まれています。
これが基本です。
種類別に見ると、含有量は以下の通りです。
チーズは単体でのK2量は少なめですが、カルシウムも一緒に摂れるという利点があります。カルシウムとK2を同時に摂ることで、カルシウムの骨への沈着効率が高まります。
これは使えそうです。
熟成チーズにはとくにK2が多いとされており、骨折リスクの低下との関連も研究で報告されています。カルシウム補給のためにチーズを選ぶ際は、加工チーズよりもナチュラルチーズを選ぶほうが、K2摂取の面でもメリットがあります。
動物性食品の中でも、K2(MK-4)が多く含まれるのは鶏肉の皮・ハツ(心臓)・卵黄です。牛肉や豚肉よりも鶏肉のほうがK2含有量は高い傾向があります。
鶏もも肉の皮部分(100gあたり120μg)は、他の動物性食品の中では比較的多いカテゴリに入ります。スーパーで安価に入手でき、調理法の幅も広いのが利点です。
ただし、注意点があります。
鶏の皮は脂質が高いため、摂りすぎは逆効果になることもあります。1食あたり30〜40g程度(手のひら半分以下)を目安にするのが現実的です。
卵黄は100gあたり39μgのK2を含みます。卵1個の卵黄(約16g)に換算すると6〜7μg程度です。量は多くないものの、卵はビタミンB群・鉄・良質なタンパク質も含む"準完全栄養食品"です。毎日1〜2個の卵を食事に加えることで、K2を含む複数の栄養素をまとめて補える点で効率的です。
K2摂取の面では、卵は「卵黄ごと食べる」が条件です。卵白にはK2はほぼ含まれていません(100gあたり1μg)。スクランブルエッグや目玉焼きなど、全卵を使う料理が理想的です。
ビタミンK2の供給源として見落とされがちなのが、植物油です。
植物油に多く含まれるのは主にK1ですが、体内ではK1の一部がK2(MK-4)へと変換される仕組みがあります。変換量は多くはないものの、油と一緒にK2を摂ることで吸収率が格段に上がるという観点で、植物油は非常に重要な存在です。
主な植物油のビタミンK含有量(K1中心)は以下の通りです。
ビタミンKは脂溶性ビタミンです。油のない状態で摂ると、腸管での吸収率は低下します。健康な成人でも、摂取条件によって吸収率は70〜80%から大きく変わるとされています。
たとえば、ほうれん草のおひたしを毎日食べているのにK2不足が続くケースでは、油を使わない茹でるだけの調理法が原因の一つになっていることがあります。炒め物やドレッシングをかけたサラダとして食べるだけで、同じ量の食材でも吸収できるK量が変わってきます。
納豆をそのまま食べるのも良いですが、少量のごま油や亜麻仁油をかけると、吸収効率がさらに高まります。
これが実践的なポイントです。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、ビタミンKの1日の目安量を成人男女ともに150μgと設定しています。上限量は設定されておらず、過剰摂取による健康被害は報告されていません。
しかし、ここに重要な落とし穴があります。
この150μgという基準は、「血液の正常な凝固を維持するために必要な量」を基に定められたものです。骨の健康や美容効果を得るには、より多くの量が必要であることが近年の研究で示されつつあります。
静岡県立総合病院・田中清医師の報告によると、72μg/日の摂取ではオステオカルシン(骨形成タンパク質)の活性化には不十分であることが確認されています。また、閉経後の女性約1,400名を対象とした15年間の追跡調査では、納豆を週7パック以上食べる人において、骨折頻度が大幅に低いという結果が出ています(Kojima et al., The Journal of Nutrition, 2020)。
骨粗しょう症の予防・治療においては、250〜300μgのビタミンK摂取が目標値として示されるケースもあります。美容と骨健康の両立を目指すなら、公式の150μgを下回らないようにしながら、納豆・チーズ・卵・鶏肉を組み合わせて200μg以上を意識的に摂ることが現実的な目標です。
参考:ビタミンK2の骨への効果と食事摂取基準の考え方
日本人の食事摂取基準の見直しとビタミンK2の新たな効能|コツコツ骨ラボ
ビタミンK2には複数の「種類(メナキノン類)」が存在します。美容・骨の効果を語る上で、特に重要なのがMK-4とMK-7の違いです。
MK-4は動物性食品(鶏肉・卵黄・バターなど)に含まれる種類で、体内での半減期が数時間と非常に短いのが特徴です。1日2〜3回に分けて摂取しないと効果が持続しにくいという研究報告もあります。
対してMK-7は、納豆菌が産生するK2で、半減期が約72時間(約3日間)と非常に長いです。1日1回の摂取でも血中濃度を持続的に維持できることが確認されています。また、420μgを一度に摂取した実験では、MK-4では血液中からほぼ検出されなかったのに対し、MK-7は明確に血中濃度が上昇したことも報告されています。
つまりMK-7が効率的です。
オランダで行われた約5,000人・10年間の大規模調査では、MK-7(ビタミンK2)を多く摂取したグループ(1日平均45μg)は、少ないグループ(1日平均18μg)と比較して心臓病の発症率と心臓による死亡率が半減したという結果が出ています。
K1にはこの効果は見られませんでした。
美容・健康効果の面では、圧倒的にMK-7(納豆由来)が有利であることが現在のエビデンスから見えてきます。
「骨のビタミン」というイメージが強いK2ですが、肌への働きも見逃せません。
まず、肌のバリア機能です。ビタミンKは傷の治癒に関与するビタミンとして古くから知られており、皮膚の修復プロセスでも役立つことが示されています。炎症・赤み・湿疹といった肌トラブルを抑える効果も期待されており、乾燥性皮膚炎にも有望とされています。
次に、目の下のクマです。
目の下のクマには「青クマ(血行不良)」「茶クマ(色素沈着)」「赤クマ(炎症)」などの種類がありますが、そのうちビタミンKが特に関わるのは青クマと赤クマです。ビタミンKは毛細血管の修復と血液凝固を助けることで、毛細血管の損傷によって起こるクマの改善に効果があると専門家は指摘しています。スキンケア製品のアイクリームにビタミンKが配合されている背景も、これと同じ理由です。
また、骨密度と顔のハリの関係も注目されています。頬骨・顎骨などの骨密度が低下すると、顔の輪郭を支える骨格が薄くなり、皮膚がたるみやすくなります。30代以降の「顔の印象の変化」が骨の問題から来ているケースは珍しくありません。K2によって骨密度を維持することは、スキンケアだけでは補えない「内側からのハリ」にもつながるのです。
参考:ビタミンKと目元のクマ改善について
目の下のクマには"ビタミンK"が効果的!目元ケアに取り入れたいビタミンK|Front Row
ビタミンK2は脂溶性ビタミンです。
これが吸収率を左右する最大のポイントです。
脂溶性とは「油に溶ける性質」を持つことを意味し、油脂と一緒に摂ることで腸管からの吸収率が飛躍的に高まります。逆に、油なしで食べると大半が吸収されないまま排泄されてしまう可能性があります。
具体的な食べ合わせの例はこちらです。
また、ビタミンK2はビタミンD・カルシウムとの三角形(骨のゴールデン・トライアングル)で機能するため、これら3つを意識してそろえることが骨・美容効果の最大化につながります。カルシウム源のチーズや牛乳に、K2豊富な納豆、ビタミンDを含むサーモンやしらすを組み合わせた献立が理想的です。
「納豆が苦手」という方は意外に多いです。
ただし、納豆なしでもビタミンK2を1日150μg以上摂取することは、工夫次第で十分可能です。以下に、納豆を使わない現実的な1日の摂取プランを示します。
| タイミング | 食品の組み合わせ例 | おおよそのK2量 |
|---|---|---|
| 朝食 | 全卵スクランブルエッグ(1個)+チェダーチーズ(1枚)+バター使用 | 約15〜20μg |
| 昼食 | 鶏もも肉(皮つき)ソテー(100g)+大豆油使用 | 約25〜30μg |
| おやつ | パルメザンチーズ(大さじ2)+ナッツ少量 | 約2〜3μg |
| 夕食 | ほうれん草バター炒め(100g)+卵黄1個追加 | 約35〜40μg(K1含む) |
合計すると75〜90μgほどとなります。
これは目安量150μgの半分程度です。
厳しいところですね。
K1からK2への変換も加味すると、さらに上乗せできます。しかし、骨の健康・美容効果を強く求める場合は、やはり週3〜4回の納豆摂取が最も効率的です。どうしても苦手な場合は、MK-7を含むサプリメントで補う選択肢も存在します。サプリメントを選ぶ際は「MK-7タイプ」かどうかを成分表示で確認することがポイントです。
ビタミンK2と食事に関して、必ず触れておきたいのが薬との相互作用です。
血栓を防ぐ薬「ワーファリン(ワルファリン)」を服用している方は、ビタミンKを多く含む食品の摂取に注意が必要です。ワーファリンはビタミンKの働きを阻害することで血液凝固を抑制する薬であり、K含有量の多い食品を大量に摂取すると、薬の効果が弱まる可能性があります。
具体的に避けるよう指示されることが多い食品は次の通りです。
ただし、少量のチーズや鶏肉・卵黄を食べることが即問題になるわけではありません。
薬の用量調整はビタミンKの摂取量とセットで管理されているため、「食べる量を急に大幅に変えない」ことが最大のポイントです。ワーファリン服用中の方は、食事内容の変更前に必ず担当医・薬剤師に相談するようにしてください。
参考:ワーファリンとビタミンKの関係について
ビタミンKの働きと1日の摂取量|健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)
ビタミンK2は食品から摂るだけでなく、腸内細菌によって体内で産生されるという事実はあまり知られていません。
これは独自視点の話です。
ビフィズス菌・乳酸菌・腸内細菌の一部がK2(主にMK-7〜MK-13)を産生することが確認されています。つまり、腸内環境が整っている人は食事からのK2が少なくても、ある程度を腸内で自給できるということになります。
しかし、現代の日本人はこの「腸内K2産生力」が落ちているリスクがあります。
その理由は次の通りです。
つまり「食品から摂っていれば大丈夫」とは言い切れないのです。腸内環境を整えることは、K2の吸収率を高めるためにも、産生力を維持するためにも重要です。
発酵食品(納豆・チーズ・みそ・ヨーグルト)を日常的に取り入れ、食物繊維豊富な食事を続けることが、K2を「摂る×作る×吸収する」という三方向から支えることになります。
参考:日本ナットウキナーゼ協会によるK2の機能と産生に関する解説
ビタミンK2とは|日本ナットウキナーゼ協会
ビタミンK2と骨密度の関係は、年代によって意味合いが異なります。
これだけ覚えておけばOKです。
20〜30代:骨密度の貯蓄期。骨密度はおよそ20〜25歳頃に最大値(骨量ピーク)に達します。この時期にK2を十分に摂ることで、将来の骨折リスクや顔のたるみを防ぐ「貯蓄」ができます。美容への意識が高い世代ほど、今のうちから食事でK2を意識することが将来への投資になります。
40〜50代:骨密度の低下が始まる時期。特に女性は閉経後、エストロゲン(女性ホルモン)の低下によって骨密度が急激に下がり始めます。閉経後の女性約240名を対象とした3年間の研究では、MK-7を180μg/日摂取したグループで動脈の弾力性が改善したことが確認されています。骨だけでなく血管の若さにも関わることが分かります。
60代以降:骨折予防が最優先。納豆を週7パック以上食べるグループは骨折頻度が大幅に低いという15年間の追跡データが、納豆=K2(MK-7)の継続摂取の重要性を裏付けています。
つまり、年代に関わらずK2の摂取は美容・健康の両面で有効です。ただし、若い世代は「将来の骨貯蓄」として、中高年世代は「今の骨・血管・肌の維持」として、それぞれ異なる目的でアプローチすることが大切です。
参考:骨粗しょう症予防とビタミンK2の食事摂取基準に関する専門家の見解
日本人の食事摂取基準の見直しとビタミンK2の新たな効能|コツコツ骨ラボ

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