

アラビアガムを毎日1,000mg摂取すると糖尿病リスクが3%上昇します
アラビアガムは、アフリカのサハラ砂漠周辺に自生するアカシア属の樹木から採取される天然の樹脂です。この樹木に傷をつけると分泌される粘液を乾燥させて粉末状にしたものが、食品添加物として利用されています。
主な生産国はスーダンで、世界のアラビアガム輸出量の約80%を占めています。つまりアフリカのある一地域が、世界中の食品・化粧品産業を支える重要な原料を供給しているということですね。
アラビアガムの最大の特徴は、水に溶けやすく高い乳化作用を持つことです。炭酸飲料では香料と水を混ぜ合わせる役割を果たし、アラビアガムがないとコーラは透明な液体になってしまうと言われています。また、食品の粘度を高めたり、成分の分離を防ぐ安定剤としても機能します。
食品業界ではE414という番号で表示され、増粘剤、乳化剤、安定剤として広く使用されています。天然由来で多機能なため、化粧品や医薬品の錠剤のコーティング剤としても活用されているんです。
国際的な食品安全機関であるFAO/WHO合同食品添加物専門委員会(JECFA)は、アラビアガムの1日摂取許容量(ADI)を「特定せず」と評価しています。これは長期間にわたって大量に摂取しても健康への悪影響が非常に低いと判断されたことを意味する、最も安全性が高いレベルの評価です。
具体的には、体重60kgの成人が1日に最長18日間、約26,000mg(約430mg/kg体重/日)のアラビアガムを摂取しても有害影響は認められなかったという研究データがあります。これは通常の食品に含まれる量の数十倍に相当します。
欧州食品安全機関(EFSA)も2017年に、全動物種に使用する飼料添加物としてのアカシアガム(アラビアガム)の安全性及び有効性を認める科学的意見書を公表しました。つまり人間だけでなく、ペットや家畜が摂取しても問題ないということですね。
さらに、アラビアガムは消化管でほとんど吸収されず、大部分がそのまま排出されるため、体内への蓄積リスクもありません。水溶性食物繊維として腸内の善玉菌を増やすプレバイオティクス効果も報告されており、整腸作用や血糖値の上昇抑制などの健康効果も期待されています。
ただし、安全性が高いからといって無制限に摂取して良いわけではありません。
どんな成分でも適量を守ることが大切です。
アラビアガムは基本的に安全な添加物ですが、近年の研究で注目すべき危険性が明らかになってきました。2024年にフランスで行われた大規模研究では、多糖類であるアラビアガムの摂取量が1日に1,000mg増えるごとに、2型糖尿病のリスクが3%増加することが報告されています。
この研究は10万人以上を対象に行われたもので、超加工食品に含まれる増粘安定剤が糖代謝に悪影響を及ぼす可能性を示唆しています。特に美容や健康に気を使う方にとって、血糖値の管理は肌の状態や体重管理にも直結する重要な要素です。
過剰摂取による具体的な症状としては、消化不良や下痢、腹部膨満感などの胃腸症状が報告されています。これは水溶性食物繊維が大腸内の浸透圧を高めることで起こる浸透圧性の下痢です。通常の食品に含まれる程度であれば問題ありませんが、サプリメントなどで濃縮されたアラビアガムを摂取する際は注意が必要でしょう。
また、過敏性腸症候群を患っている場合、健康な人なら問題ない量でも症状を悪化させる可能性があります。腸内環境が敏感な方は、アラビアガムを含む超加工食品の摂取量を意識することをおすすめします。
超加工食品の摂取を控えたい場合は、成分表示で「増粘剤」「安定剤」の記載がある商品を避け、できるだけシンプルな原材料の食品を選ぶようにしましょう。自炊を増やすことで、添加物の摂取量を自然と減らすことができます。
糖尿病ネットの研究記事では、増粘安定剤と糖尿病リスクの関連について詳しく解説されています
アラビアガムは天然植物由来の成分であるため、稀にアレルギー反応を引き起こす可能性があります。特にアカシア科植物にアレルギーがある方は注意が必要です。報告されている主な症状は、皮膚のかゆみ、発疹、呼吸器症状(鼻炎、喘息)、関節痛、発熱などです。
興味深いことに、アラビアガムはマメ科アカシア属の植物から採取されますが、天然ゴム(ラテックス)との交叉反応性は報告されていません。つまりラテックスアレルギーの方でも、アラビアガムは通常問題なく摂取できるということです。
ただし、ラテックスアレルギーの方はバナナ、アボカド、クリ、キウイなどの果物で交叉反応を起こすことが知られており(ラテックス・フルーツ症候群)、食物アレルギーには十分な注意が必要でしょう。
化粧品に配合されているアラビアゴムについては、皮膚感作性試験でも問題なしと報告されており、皮膚への刺激性は極めて低いとされています。敏感肌の方でも使用できる安全性の高い成分と言えますね。
アレルギー症状が出た場合は、すぐに摂取を中止し医療機関を受診してください。食品表示で「アラビアガム」「増粘剤(アラビアガム)」「アカシア」「E414」などの記載を確認し、該当する食品を避けるようにしましょう。
公益社団法人日本薬剤師会のサイトでは、アラビアガムとラテックスアレルギーの関係について専門的な情報が掲載されています
アラビアガムは私たちの身近な製品に驚くほど広く使用されています。まず食品では、ガム、グミ、キャンディーなどの菓子類に必須の成分です。特にチューインガムのベースとして、あの独特の噛み心地を生み出しています。
炭酸飲料では乳化安定剤として極めて重要な役割を果たします。コーラ系飲料にはほぼ必ず配合されており、アラビアガムがないと香料や甘味料が沈殿し、透明な液体になってしまうんです。その他にも以下のような食品に含まれています。
📌 アラビアガムを含む主な食品
- アイスクリーム、シャーベットなどの冷菓
- フルーツジュース、エナジードリンクなどの飲料
- ドレッシング、マヨネーズ、ソース類
- ヨーグルト、乳飲料などの乳製品
- 焼き菓子、ケーキミックス
- サプリメント(錠剤の結合剤)
化粧品業界でも、アラビアゴムは乳化安定剤、皮膜形成剤、増粘剤として活用されています。UV化粧品、ファンデーション、リップ製品、ヘアセット剤など、テクスチャーを整える目的で配合されることが多いです。肌への保湿効果や鎮静効果もあり、炎症や刺激を和らげる作用も期待されています。
医薬品では錠剤の結合剤やコーティング剤として使われ、苦味をマスクしたり、薬の安定性を高める役割を担っています。さらに、日用品では絵具や糊の増粘剤としても利用されており、子どもが誤って口にしても安全性が高いことから選ばれているんです。
成分表示を確認する際は、「アラビアガム」「アカシア」「増粘剤(アラビアガム)」「E414」などの記載を探してみてください。想像以上に多くの製品に含まれていることに驚くかもしれません。
添加物が気になる場合は、加工度の低い食品を選んだり、自分で調理することで摂取量をコントロールできます。スマートフォンのアプリで食品添加物をチェックすることもできるので、活用してみるのも良いでしょう。
食品開発ラボのサイトでは、アラビアガムの特性や食品への応用例について専門的に解説されています