

毎日薬を飲んでいる人は要注意です。
アピゲニンは、セロリやパセリ、オレンジ、タマネギなど、身近な野菜や果物に含まれるフラボノイドの一種です。ポリフェノールのグループに分類される植物由来の成分で、黄色い花を咲かせるカモミールやグァバといった植物にも豊富に含まれています。
特筆すべきは、パセリの含有量の高さです。パセリの葉には乾燥重量の最大15%ものアピゲニン配糖体(アピイン)が含まれており、植物界でもトップクラスの含有量を誇ります。セロリもパセリと同様に、重量の約2%がアピイン(アピゲニンの配糖体)という研究データがあり、日常的に取り入れやすい食材として注目されています。
実際にどれくらい食べればいいのでしょうか?
研究では就寝前に50~500mgの摂取が推奨されていますが、食品から摂取する場合、具体的な目安を知っておくと便利です。パセリを例に取ると、生のパセリ約10~20g(大さじ2~4杯程度)を料理に加えることで、一定量のアピゲニンを摂取できます。セロリなら1本(約100g)を毎日の食事に取り入れるのが現実的な量といえます。
毎日の習慣として続けやすいのが、カモミールティーを就寝前に飲む方法です。カモミールティーに含まれるアピゲニンの吸収率は約34%と比較的良好で、リラックス効果を実感しながら美容と健康のサポートが期待できます。
広島大学の研究では、アピゲニンの糖尿病予防効果が科学的に証明されています
アピゲニンが美容業界で注目を集める理由は、その強力な抗酸化作用と美白効果にあります。私たちの肌は紫外線を浴びると、活性酸素種(ROS)が発生し、細胞にダメージを与えて老化を進行させます。アピゲニンは皮膚に浸透し、この活性酸素を消去することで光老化の抑制効果を発揮します。
光老化とは、紫外線によって引き起こされる肌の老化現象のこと。
シワやたるみ、シミの主要な原因です。
さらに注目すべきは、アピゲニンの美白メカニズムです。紫外線ダメージを受けた肌では過酸化脂質が生成され、これが酸化したメラニン(過脂化メラニン)を作り出します。アピゲニンは過酸化脂質の生成を抑制することで、過脂化メラニンの産生を抑え、さらに皮膚のターンオーバーを正常化することにより、美白効果をもたらすのです。
このダブルアクションが効果的です。
青森県産の黄菊「阿房宮」から抽出された低分子黄菊アピゲニンを使用したスキンケア製品が、ベストビューティーアワード2020を受賞したことからも、その美容効果の高さが伺えます。低分子化されたアピゲニンは肌への浸透性に優れ、抗炎症作用と相まって、敏感肌の方でも使いやすい成分として評価されています。
エイジングケアの観点からも、アピゲニンは重要な役割を果たします。CD38という酵素は加齢とともに増加し、細胞内のNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を分解して老化を促進しますが、アピゲニンはこのCD38を阻害することで、細胞レベルでの老化抑制効果を示すことが研究で明らかになっています。
低分子黄菊アピゲニンの光老化抑制効果について詳しい研究データが公開されています
睡眠の質に悩む方にとって、アピゲニンは自然な解決策として期待できる成分です。その作用メカニズムは、脳内のGABA(ガンマアミノ酪酸)受容体との結合にあります。GABAは神経の興奮を抑制する役割を持つ神経伝達物質で、不安や緊張を和らげる働きをしています。
アピゲニンはGABA受容体、特にベンゾジアゼピン受容体に作用することで、中枢神経系の活動を自然と鎮め、リラックス状態を誘導します。これは睡眠薬のような強制的な作用ではなく、身体が本来持っている自然な眠気のメカニズムを促進するものです。
副作用の心配が少ないのが特徴です。
カモミールティーが「安眠のハーブ」として古くから愛用されてきた理由も、このアピゲニンの作用にあります。実際の研究では、就寝前にカモミールティーを飲むことで入眠時間が短縮され、睡眠の質が向上したという報告があります。台北医学大学の研究では、4週間にわたって就寝前にキウイを2個食べることで睡眠の質が向上しましたが、同様にカモミールティーの継続的な摂取も効果的です。
就寝前の習慣として取り入れる際は、就寝の30分~1時間前に温かいカモミールティーを1杯(約200ml)飲むのが理想的です。温かい飲み物が体温調節にも役立ち、入眠をスムーズにします。ただし、利尿作用があるため、就寝直前ではなく少し時間を置くことで、夜中にトイレで目覚めるリスクを減らせます。
注意したいのは、継続することで効果が現れやすい点です。1回飲んだだけで劇的な変化を期待するのではなく、毎日の習慣として2~4週間続けることで、睡眠パターンの改善を実感できるでしょう。
アピゲニンには多くの健康効果がある一方で、特定の医薬品を服用している方は注意が必要です。アピゲニンは薬物代謝酵素CYP2C9の阻害剤として働くことが研究で明らかになっており、この酵素で代謝される薬の血中濃度を変化させる可能性があります。
CYP2C9で代謝される代表的な薬には、抗凝固薬のワルファリン、抗てんかん薬のフェニトイン、糖尿病治療薬のトルブタミド、非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェン、ジクロフェナクなど)が含まれます。これらの薬を服用中にアピゲニンを大量に摂取すると、薬の代謝が阻害され、血中濃度が上昇し、効果が強くなりすぎたり副作用のリスクが高まったりする可能性があります。
血圧の薬を飲んでいる方も確認が必要です。
特にワルファリンは抗凝固作用を持つ薬で、血液を固まりにくくすることで血栓の形成を防ぎます。しかしアピゲニンとの相互作用により血中濃度が1.75倍まで延長する可能性があるという研究データもあり、出血リスクの増加につながる恐れがあります。ワルファリンを服用している方は、パセリやセロリを大量に食べる前に、必ず主治医に相談することをおすすめします。
一方で、シクロスポリン(免疫抑制剤)については、アピゲニンがその副作用を無効にする効果を示すという研究報告もあります。このように薬との相互作用は複雑で、一概に「良い」「悪い」とは言えません。普段の食事に含まれる程度の量であれば問題ないことが多いですが、サプリメントで高濃度のアピゲニンを摂取する場合は、事前に医師や薬剤師に確認するのが賢明です。
つまり少量なら安心ということですね。
安全に活用するための目安として、食品からの自然な摂取を心がけ、サプリメントを利用する場合は製品の推奨量を守ることが大切です。また定期的に服薬している薬がある場合は、その薬の添付文書を確認したり、かかりつけの医療機関で相談したりすることで、安全にアピゲニンの恩恵を受けることができます。
アピゲニンの健康効果は美容と睡眠だけにとどまりません。広島大学の最新研究では、アピゲニンが糖尿病の予防に有効である可能性が科学的に証明されました。研究チームは449種類の食品由来化合物の中から、小胞体ストレスによる細胞死を抑制する効果が最も強い成分としてアピゲニンを特定したのです。
小胞体ストレスとは、細胞内のタンパク質合成工場である小胞体に負荷がかかった状態のこと。糖尿病では、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞に小胞体ストレスが生じ、細胞死が進行することが病態の悪化につながります。
結論はシンプルです。
アピゲニンは小胞体ストレス応答の誘導(GRP78、CHOPというタンパク質の発現)を抑制し、小胞体ストレスによる細胞死を抑制することが実験で確認されました。さらに糖尿病モデルマウスを使った実験では、アピゲニンの投与により血糖値の低下作用が示されており、将来的には糖尿病の予防や治療に応用できる可能性があります。
肝臓の健康にも注目が集まっています。植物由来のフラボノイドであるアピゲニンが、Rac1シグナル伝達を介して肝臓の脂質蓄積とインスリン抵抗性を改善することが研究で明らかになりました。これは脂肪肝やメタボリックシンドロームの予防・改善につながる可能性を示唆しています。
さらに網膜の健康においても、アピゲニンは重要な役割を果たします。ロート製薬の研究では、グァバ葉などに含まれるアピゲニンが、網膜炎症に関与するマイクログリア(脳や網膜の免疫細胞)の活性化を抑制することが発見されました。アピゲニンは転写因子Ets2の発現を抑制することで、炎症性サイトカインの産生を減らし、網膜炎症の予防や治療効果が期待できます。
目の健康維持にも役立つわけです。
抗がん作用についても研究が進んでいます。アピゲニンは抗炎症作用、抗酸化作用に加えて抗がん作用を持ち、前立腺がん、乳がん、結腸がん、肝がん、膵臓がんなど多くのがん細胞に対して増殖抑制作用を示すことが報告されています。また胆管がん治療薬の候補としても有望性が示唆されており、標準阻害剤と同様の結合エネルギーを示しながら、より安全なプロファイルを持つ可能性があります。
これらの多角的な健康効果を日常生活で活かすには、バランスの取れた食事の中でアピゲニンを含む食品を意識的に取り入れることが基本です。サラダにセロリやパセリを加える、料理の仕上げにパセリを散らす、リラックスタイムにカモミールティーを飲むといった小さな習慣の積み重ねが、長期的な健康維持につながります。
ロート製薬による網膜炎症とアピゲニンの関係についての詳しい研究報告が公開されています
アピゲニンは食品由来の天然成分であり、適切な使用において安全性が高いことが知られています。メディカルハーブ安全性ハンドブックでは、カモミール(アピゲニンの主要な供給源の一つ)はクラスⅠに分類されており、適切な使用において安全であるとされています。
それでも確認は大切です。
ただし、どんなに安全な成分でも過剰摂取や不適切な使用は避けるべきです。サプリメントでアピゲニンを摂取する場合、一般的な推奨量は1日50~500mgとされていますが、個人の健康状態や併用する薬によって適切な量は異なります。初めてサプリメントを試す場合は、少量(50mg程度)から始めて、身体の反応を観察しながら調整するのが賢明です。
妊娠中や授乳中の方は、カモミールティーを含むハーブティーの摂取について主治医に相談することをおすすめします。一般的には適度な摂取は問題ないとされていますが、個人差があるため専門家の意見を仰ぐのが安全です。
アレルギーの可能性にも注意が必要です。キク科の植物(カモミール、菊など)にアレルギーがある方は、アピゲニンを含む製品の使用を避けるか、パッチテストを行ってから使用するようにしましょう。
継続的に効果を得るためのポイントをまとめます。
毎日の食事に少量ずつ取り入れることを習慣化するのが最も効果的です。一度に大量摂取するよりも、継続的に適量を摂取する方が、身体への負担が少なく、長期的な健康効果を実感しやすくなります。具体的には、週に3~4回はセロリやパセリを使った料理を食べる、就寝前のカモミールティーを習慣にする、といった無理のない取り入れ方が理想的です。
食品からの摂取を基本とし、必要に応じてサプリメントで補うという考え方がバランスが良いでしょう。食品には他の栄養素や食物繊維も含まれているため、アピゲニン単独で摂取するよりも相乗効果が期待できます。また食品からの摂取であれば、過剰摂取のリスクも低く、自然な形で身体に取り込むことができます。
効果を実感するまでには個人差があります。睡眠改善効果は比較的早く(2~4週間程度で)実感できることが多い一方、美白効果や抗炎症効果は、肌のターンオーバー周期(約28日~40日)を考えると、最低でも1~2ヶ月は継続する必要があります。焦らず、長期的な視点で取り組むことが成功の鍵となります。
Please continue.