

レチノールを使うほど、塗った翌朝の肌が赤くなりやすくなります。
「アファニゾメノンエキス」という名前は長くて難しそうに感じますが、正式名称は「アファニゾメノンフロスアクエエキス」といい、英語では「Aphanizomenon flos-aquae Extract」と表記されます。化粧品成分の表示名称としてもこの名前が使われており、原料そのものはブルーグリーンアルジー(BGA)と呼ばれる藍藻類のエキスです。
この藍藻類が採取されるのは、アメリカ・オレゴン州南部に広がる「アッパー・クラマス湖」というとても特別な場所。かつてアメリカ先住民が「神の宿る聖なる湖」と呼んで守り続けてきた湖です。湖底には火山灰由来のミネラル分を含む有機物が約10m(だいたいビル3階分の高さ)にわたって堆積しており、これが栄養価を高める大きな要因となっています。
つまり清澄な環境です。
BGA自体は50種のミネラル、13種のビタミン、20種のアミノ酸、4種の脂肪酸を含有し、クロレラやスピルリナを超える美容素材とも評されています。体内で作れない9種類の必須アミノ酸を含む20種類すべてのアミノ酸を持ち、強い抗酸化・抗炎症作用でも知られています。欧米では1950年代から健康食材として親しまれてきた歴史の長い原料でもあります。
さらに注目すべき点があります。このBGAは人工培養ができないため、クラマス湖という豊かな自然環境の中でしか生育できないのです。希少性が高い原料であることは、選ぶうえでの価値にもつながります。
参考:BGAスキンケア公式サイト「世界最古の幹細胞BGAとは」では、クラマス湖の生態や含有成分の詳細が確認できます。
アファニゾメノンエキスが保湿成分として注目される最大の理由は、1度塗布すると48時間以上保湿効果が持続するという臨床データが存在することです。これは一般的な化粧水や美容液の保湿持続時間(多くは数時間程度)と比べると、非常に際立った特長といえます。
なぜこれほど長く保湿が続くのでしょうか?
アファニゾメノンエキスは、肌の構造的基盤である「細胞外マトリックス(ECM)」を保護しながら、肌が自ら水分を保持する能力を高めます。細胞接着に必要な遺伝子の調節を通じて水分保持を促進するという、単純に「水を閉じ込める」だけではないメカニズムを持っています。
これだけ覚えておけばOKです。
さらに、このエキスはMAAs(マイコスポリン様アミノ酸)という成分を含んでいます。MAAsは分子量が非常に小さく角質層まで浸透しやすい特長を持ちながら、高い保水力を備えている天然のうるおい成分です。乾燥が気になる秋冬はもちろん、エアコンで室内が乾燥しやすい夏場でも、長時間のうるおい持続が期待できます。
保湿目的でスキンケアを選ぶ際、成分表示に「アファニゾメノンフロスアクエエキス」と書かれていたら、それが本成分のサインです。美容液や導入液に配合されているケースが増えているので、成分表示を確認する習慣をつけると選択の精度が上がります。
参考:Cosmetic-Info.jp「DermalRx KBGA」の原料情報ページでは、48時間以上の保湿持続効果に関する臨床データの概要が確認できます。
Cosmetic-Info.jp – DermalRx KBGA(アファニゾメノンフロスアクエエキス)原料情報
アファニゾメノンエキスに含まれるMAAsは、もともと水生生物が紫外線から身を守るために体内に蓄えている天然の紫外線防御物質です。紫外線を遮るものが何もない「水中」という過酷な環境で生き抜く生物が持つ"鎧"のような存在であり、世界経済誌「THE WALL STREET JOURNAL」にも研究が取り上げられるほど注目度の高い成分です。
✅ MAAsの紫外線防御の特長
紫外線による肌へのダメージは「光老化」と呼ばれており、シミやソバカスだけでなく、深いシワ、たるみ、くすみ、肌のゴワつきの原因にもなります。特に肌に届く紫外線の約9割を占めるUV-Aは、雲や窓ガラスをも通過して真皮まで到達します。意外ですね。
また、MAAsには強い抗酸化作用もあります。活性酸素によって皮膚の脂質が酸化し、過酸化脂質が生まれると、コラーゲンやエラスチン繊維もダメージを受けシワの元になります。DPPHラジカル捕捉試験・スーパーオキシドラジカル捕捉試験においても、MAAsは9化合物中8つで良好な抗酸化活性が確認されています(PubMed掲載・学術論文より)。
日焼け止めの効果が強いほど肌乾燥や肌荒れのリスクが上がります。そのジレンマを解決する候補の一つとして、MAAsを含むスキンケアやノンケミカル処方の日焼け止めを取り入れることが、肌と環境の両方に優しい選択肢となりえます。
参考:化粧品研究者の勉強会レポート記事「天然の日焼け止め成分と注目!化粧品原料『MAAs』の勉強会」では、MAAsの紫外線防御メカニズムとしわへの働きが解説されています。
美容好きの方にとってレチノールは「シワや毛穴に効く定番の成分」ですが、一方で「A反応」と呼ばれる赤み・皮むけ・ヒリヒリ感といった刺激が出やすく、敏感肌の方には扱いにくい側面があります。
アファニゾメノンエキスはそのレチノールの代替候補として注目されています。これは使い心地の印象だけではなく、科学的な根拠に基づいた話です。
原料「Lanablue PF(ラナブルーPF)」として展開されるアファニゾメノンフロスアクエエキスは、cDNAマイクロアレイ分析においてレチノールのものと類似した結果を示したことが報告されています。cDNAマイクロアレイとは、細胞がどの遺伝子をどれくらい活性化しているかを網羅的に調べる試験です。レチノールと同じような遺伝子スイッチが入る、ということですね。
クリニカル試験の結果も具体的です。
| 評価項目 | Lanablue PF(アファニゾメノンエキス) |
|---|---|
| 使用期間 | わずか3週間 |
| 毛穴の改善 | 確認(皮膚表面の平滑化) |
| シワ・キメの改善 | 確認(溝の深度の低減) |
| 基底細胞の増殖 | 促進(過剰分化マーカーの発現低下) |
つまり、肌の土台となる細胞の増殖を適切に誘導し、ケラチン化を抑制することで、毛穴の広がりやキメの乱れにアプローチします。これは問題ありません。
さらに、MAAsはヒアルロン酸の分泌を促進するという研究成果も発表されています。宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センターの研究では、「マイコスポリン様アミノ酸はp38/MSK1/CREB/cFos/AP-1シグナル経路の活性化でヒアルロン酸分泌を促進する」という内容が2020年の抗加齢医学会で発表されました。ハリ・うるおいの両面から肌を整える根拠があるということです。これは使えそうです。
レチノール製品を試したいけれど刺激が不安という方は、アファニゾメノンエキス配合の美容液から始めることで、刺激リスクを下げながら近い効果を求めることができます。
参考:化粧品原料展示会情報・コラム記事では、Lanablue PFとレチノール代替原料の比較が詳しく解説されています。
ZeroGravity コラム – レチノール代替原料比較(Lanablue PF)
参考:原料メーカー「トライボーテ」のLanablue PF詳細ページでは、クリニカル試験の結果やcDNAマイクロアレイ分析データが掲載されています。
Tribeaute – Lanablue PF(アファニゾメノンフロスアクエエキス)製品情報
アファニゾメノンエキスを含む製品は、近年スキンケア市場でも少しずつ増えてきています。代表的な製品カテゴリと選び方のポイントを整理しておきましょう。
✅ 製品タイプ別の活用シーン
成分表示を見るときのポイントが一つあります。
「アファニゾメノンフロスアクエエキス」という表記が全文字一致している場合に限らず、「BGA発酵液」「MAAs配合」「ラン藻エキス」といった記載でも同成分を含む製品に当たることがあります。ただし、BGA発酵液の場合は主要成分として「(アスペルギルス/乳酸桿菌)/(アファニゾメノンフロスアクエエキス/コメエキス)発酵液」という形式で成分名に記載されていることが多いため、成分表示を一度確認するのが確実です。
また、アファニゾメノンエキスはOTCO(オレゴン州の非常に厳しいオーガニック認証)を取得した原料から製造された製品も存在します。最低7年間、一切の化学肥料・駆除剤を不使用という基準をクリアした土壌で育てられており、品質へのこだわりが裏打ちされています。オーガニックコスメや成分の安全性を重視する方は、このOTCO認証取得製品を選ぶ指標にするとよいでしょう。
製品選びに迷ったときは、「保湿目的」なら導入美容液やセラム、「UV対策目的」ならMAAs配合のノンケミカル日焼け止め、「エイジングケア目的」ならレチノール代替効果を持つ美容液、と目的別に絞るのが一番スムーズです。目的が条件です。
参考:BGAスキンケア公式サイトの商品一覧ページでは、発酵液10%配合の導入美容液やオールインワンセラムの詳細が確認できます。