

飲むだけで日焼けが完全に防げると思っていませんか?
シダ植物エキスとは、中南米の熱帯地域に生息するシダ植物「ポリポディウム・レウコトモス(Polypodium leucotomos)」から抽出された天然ポリフェノールエキスのことです。製品名では「ファーンブロック(Fernblock)」や「PLエキス」「ダイオウウラボシ抽出エキス」といった名称で記載されることがあります。
このシダ植物がなぜ注目されるのか、その背景には興味深い進化の歴史があります。シダ植物はもともと海の中に生息していましたが、長い進化の過程で陸上へと移住しました。陸に上がった後は、強烈な太陽の紫外線に直接さらされる環境に適応するため、自ら「紫外線防御の仕組み」を体内に築き上げていったのです。
その仕組みの核となるのが、「Nrf2」という名のタンパク質の活性化です。Nrf2は紫外線ダメージを感知すると、抗酸化・抗炎症・保湿・修復などに関わる数百以上の遺伝子のスイッチをONにします。つまり、Nrf2は体の紫外線防御機能全体の「司令塔」といえる存在です。
ポリポディウム・レウコトモスにはこのNrf2を活性化させる成分が豊富に含まれており、それが「飲む日焼け止め」の有効成分として活用されています。
古代マヤ文明では、皮膚のトラブルや血液の浄化に民間療法として利用されてきた歴史もあります。現代では、スペインのカンタブリア社が2002年に「ヘリオケア」として商品化し、現在では世界80カ国以上で販売されています。
ロート製薬によるポリポディウム・レウコトモスとNrf2に関する解説が詳しくまとめられています。
ポリポディウム・レウコトモス(シダ植物)が獲得した紫外線防御パワー! |ロート製薬
シダ植物エキスが美容成分として高く評価される最大の理由が、その強力な抗酸化作用です。そもそも、なぜ紫外線がシミを作るのでしょうか?
紫外線を肌が受けると、体内で「活性酸素」が過剰に発生します。この活性酸素が細胞にダメージを与え、シミのもととなるメラニン色素の生成を促します。さらに悪いことに、活性酸素はコラーゲンやエラスチンを分解し、シワやたるみといった「光老化」の原因にもなります。
シダ植物エキスに含まれる豊富なポリフェノールは、この活性酸素を強力に除去します。研究によれば、フェーンブロックを毎日1,000mg摂取した場合、15日後に最小紅斑量(MED:紅斑を生じさせるのに必要な最小紫外線量)が約14.6%増加したと報告されています。MEDが増えるということは、それだけ紫外線に対する肌の抵抗力が高まったということです。
さらに具体的な美容メカニズムとして、シダ植物エキスは「線維芽細胞」へのダメージを軽減する作用も確認されています。線維芽細胞はコラーゲンを作り出す細胞で、ここが紫外線で傷つくと肌のハリが失われていきます。また、コラーゲンを分解する酵素「MMP(マトリックス分解酵素)」の増加を抑える効果も報告されており、シワやたるみの原因を根本から防ぐ働きが期待できます。
抗酸化作用が基本です。そこから始まって、シミ・シワ・たるみの予防まで連鎖的に守ってくれるのが、シダ植物エキスの魅力です。
聖心美容クリニックによる、ヘリオケアの光老化・コラーゲン保護に関する詳細解説が参考になります。
ヘリオケア(飲む日焼け止め)の効果と仕組み |聖心美容クリニック
シダ植物エキスには、一般にはあまり知られていない重要な働きが2つあります。「免疫防御」と「DNA保護」です。これは実は美容において非常に重要な効果です。
まず免疫防御についてです。紫外線を浴び続けると、肌の免疫機能を担う「ランゲルハンス細胞」が減少します。ランゲルハンス細胞は外部刺激から肌を守る免疫の要(かなめ)で、これが減ると肌はダメージを受けやすくなり、回復力も下がります。シダ植物エキスはこのランゲルハンス細胞の減少を抑制し、肌の免疫力を保つ働きがあるとされています。
次にDNA保護です。紫外線はメラニン生成を促すだけでなく、皮膚細胞のDNAそのものを傷つけます。このDNA損傷が積み重なると、光老化が加速します。シダ植物エキスは「p53経路」の活性化を通じてDNA損傷の修復を促進し、細胞レベルで肌を守るとされています。
これは使えそうです。日常的な外出でも、知らず知らずのうちに細胞レベルで蓄積されるダメージを、内側から防いでくれることになります。
また、「COX-2」という炎症を引き起こす酵素の発現を抑制する作用も確認されています。日焼けの後にジリジリと肌が赤くなったり、熱を持ったりするのはCOX-2による炎症反応の一部です。それを抑えることで、肌が赤くなりにくくなり、日焼け後のダメージ回復も早まります。
| シダ植物エキスの主な保護メカニズム | 具体的な働き |
|---|---|
| 🧪 抗酸化作用 | 活性酸素を除去、メラニン生成を抑制 |
| 🛡️ 免疫防御 | ランゲルハンス細胞の減少を防ぐ |
| 🧬 DNA保護 | p53経路活性化によるDNA損傷修復促進 |
| 🔥 抗炎症作用 | COX-2抑制、日焼けの赤み・炎症を軽減 |
Generioによる内服型日焼け止めのメカニズム(p53・COX-2・免疫防御)の詳細解説はこちらです。
研究でわかった!内服型日焼け止めのメカニズム |Generio Store
ここが最も重要なポイントです。シダ植物エキスを含む飲む日焼け止めには「紫外線を物理的に遮断する力はない」という点を、まず明確に理解する必要があります。
塗る日焼け止めのSPFやPA値は、紫外線を皮膚の手前で直接カットする効果を示す数値です。一方、シダ植物エキスは体内に取り込まれて初めて機能するため、紫外線が皮膚に届いた後の「細胞レベルのダメージを軽減する」という補助的な役割を担います。つまり「外側の盾(塗る日焼け止め)」+「内側からの修復サポート(シダ植物エキス)」という組み合わせが、最も効果的な紫外線対策なのです。
では、飲む日焼け止めの正しい使い方はどうなるのでしょうか?
- ⏰ 服用タイミング:紫外線を浴びる30分前に服用する
- 🕐 効果持続時間:服用から約4〜6時間(ファーンブロック配合製品の場合)
- ➕ 追加服用の目安:長時間屋外にいる場合は4時間後に1カプセル追加(1日2粒まで)
- 🍽️ 食事との関係:食後に服用すると脂溶性成分の吸収が高まる製品もある
また、塗る日焼け止めについても、正しい量を塗れていない人が非常に多いという現実があります。適切な紫外線防御効果を得るには、顔の皮膚1cm²あたり2mgの量が必要です。実際には規定の半分以下しか塗らない人が多く、その場合SPF値の効果が20〜50%も低下してしまうというデータがあります。
その点でも、内側からシダ植物エキスで補えば、塗りムラや塗り直しのし忘れをカバーできるという実用的なメリットがあります。背中・頭皮・目など、クリームの塗りにくい部位も体内から守れるのは、塗る日焼け止めにはない強みです。
塗る日焼け止めと組み合わせるのが条件です。それを守れば、シダ植物エキスは非常に心強い美容ツールになります。
飲む日焼け止めと塗る日焼け止めの役割の違い・正しい使い方についての詳細はこちらが参考になります。
飲む日焼け止めとSPFの違いとは |ヒロクリニック Generio
現在、シダ植物エキスを主成分とした製品は大きく2つの形態で流通しています。「市販のサプリメント」と「医療機関専売品」です。自分の目的や予算に合わせて選ぶことが大切です。
市販サプリメントの代表例
ロート製薬の「ヘリオホワイト」は、世界59カ国以上で発売されているファーンブロック配合の食品です。ドラッグストアやAmazonなどでも入手しやすく、1日2粒が目安となっています。初めてシダ植物エキスを試してみたいという方にとって入手しやすい選択肢です。
医療機関専売品の代表例
スペインのカンタブリア社が製造する「ヘリオケア ウルトラD」は、美容皮膚科・美容外科クリニックで処方・販売されています。ファーンブロック、リコピン、ビタミンDなど複数の有効成分を高濃度に配合しており、1カプセルが1日量です。長期的な光老化対策や、シミの本格ケアを考えている場合は医療機関での相談をおすすめします。
価格面では、医療機関向け製品は1箱30粒で3,000〜5,000円前後(クリニックによって異なる)が相場で、1日あたり100〜170円程度の計算になります。
選び方の3つのチェックポイント
1. 🔬 「ファーンブロック(Fernblock)」「PLエキス」「ポリポディウム・レウコトモスエキス」のいずれかが成分表に記載されているか
2. 📋 シダ植物アレルギー・ローズマリー・柑橘類アレルギーがないか確認する(アレルギーがある場合は使用前に医師に相談)
3. 🏥 より高い効果を求めるなら、医療機関での相談・処方を選択する
なお、妊娠中・授乳中の方や高血圧・鉄欠乏性貧血の方は、配合成分の関係で使用を控えるか、必ず医師に相談のうえ使用することが推奨されます。これは必須です。
ヘリオケアシリーズの種類・使い分けについて詳しく解説されています。
365日紫外線対策!ヘリオケアシリーズの使い分けガイド |精心ストア
ここからは、検索上位にはあまり取り上げられていない視点のお話です。シダ植物エキスは「飲む」タイプだけでなく、「塗る」タイプのスキンケア製品にも配合されるケースがあります。なぜ飲む成分が塗る製品にも使われるのでしょうか?
実は、ファーンブロックを外用(皮膚への塗布)と内服を組み合わせて使用すると、紫外線防御効果がさらに高まるという研究報告があります。これは「ブースター効果」と呼ばれる現象で、内側と外側から同じ抗酸化成分で挟み込むことで、活性酸素の除去が相乗的に促進されると考えられています。
さらに興味深いのは、シダ植物エキスを日焼け止めクリームの基剤に配合することで、その製品のUVバリア機能と免疫防御機能の両方を底上げできるという報告がある点です。
つまり、将来的には「シダ植物エキス入りの日焼け止めクリームを塗りながら、シダ植物エキスのサプリを飲む」という複合アプローチが、最も理にかなったケア方法になるかもしれません。
実際に、2021年の学術論文(Aguilera et al., Frontiers in Medicine)では、「ファーンブロックを日焼け止め製剤に配合することで、UVバリア機能と免疫保護能力を改善するブースター効果がある」と報告されています。
意外ですね。飲む成分が塗る製品でも活きるとは、多くの人が知らない活用法です。
現状では塗布用ファーンブロック配合製品の流通は限られていますが、「内側と外側の両面ケア」という意識は、今後の美容ケアの基本になっていく方向性といえます。内側からのシダ植物エキス摂取に加えて、ビタミンCやビタミンEなどの外用抗酸化成分と組み合わせるスキンケアも、相乗効果という観点で有効な選択肢です。
ファーンブロックの外用・内服両面での有効性に関する学術的根拠はこちらで確認できます。
Booster Effect of a Natural Extract of Polypodium leucotomos (Fernblock®)... |PubMed(英語)

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