

「保湿成分はヒアルロン酸だけで十分」と思っているあなた、ラミナリア1%配合で乾燥ジワが28日間で12%減るデータがあります。
「ラミナリアエキス」という名前を化粧品の成分表示で見かけたことがある方は多いはずです。しかしその正体がコンブの仲間だと知っている人は、美容好きの中でも意外と少ないものです。
ラミナリアとは、コンブ目に属する褐藻類(かっそうるい)の総称です。主に大西洋北部やフランスのブルターニュ地方沿岸に生息し、干満差が最大12mにも達するような過酷な潮の流れの中で育ちます。そうした厳しい環境が、豊富な栄養素を蓄えるきっかけになっています。
代表的な種類には「ラミナリア ディギタータ(Laminaria digitata)」と「ラミナリア オクロロイカ(Laminaria ochroleuca)」があります。前者はクラランス・ドゥ・ラ・メールなどのハイブランドが採用し、後者はポーラチョイスやアクセーヌなど、機能性を重視したブランドが積極的に使用しています。化粧品の成分表示では「ラミナリアエキス」「ラミナリアディギタータエキス」「ラミナリアオクロロイカエキス」のいずれかで記載されるため、まずこの名称を成分表の中で探してみてください。
💡 海藻=食べるもの、というイメージを持ちがちです。しかしラミナリアは古くから化粧品の原料として世界で研究されてきました。
主な有効成分は以下の3種類です。
さらにカルシウム・カリウム・鉄分・ヨウ素・マグネシウムといったミネラル類、ビタミンA・C・B群なども豊富に含まれています。1種類の海藻から、これほど多彩な栄養素が取れる点が、ラミナリアエキスの際立った特徴です。
ラミナリアオクロロイカエキスの成分評価・詳細データ|ポーラチョイス公式
ラミナリアエキスの美容効果の中で、最も研究が進んでいるのが保湿効果です。
中心となる成分はアルギン酸をはじめとする多糖類です。これは水分を抱え込む性質(水分保持力)が非常に高く、肌の角層に届いた後に水分を引き留め、蒸散を防ぐ役割を果たします。まるで「肌の上に薄い水のベール」を張るようなイメージです。
保湿力の高さを数値で見てみましょう。
これらは単に水分を与えるだけでなく、ミトコンドリアのオートファジー(自己修復)を活性化させることによる「肌の内側からの再生」が働いているためと考えられています。損傷したミトコンドリアの再生率が21%向上、酸素消費量が17%増加するというデータも研究機関から出ています。
つまり「外側から水分を補う」だけでなく、「肌細胞そのもののエネルギーを高める」成分である点が、ラミナリアエキスを単純な保湿成分と一線を画すポイントです。
乾燥肌・インナードライに悩んでいる方が保湿ケアを見直す際は、ヒアルロン酸やグリセリンとあわせてラミナリアエキスが配合されているかを成分表で確認するのが1つの手です。ヒアルロン酸が「水を呼ぶ」成分なら、ラミナリアエキスは「水を守る+肌のエネルギーを高める」成分と捉えると、使い分けのイメージがわかりやすくなります。
ラミナリアディギタータエキスのオートファジー活性データ解説|香粧美研
ラミナリアエキスの特徴として、美容の研究者が「敏感肌に特に有用」と繰り返し強調するのが、バリア機能の強化作用です。
肌のバリア機能とは、角層が外部の刺激(紫外線・摩擦・乾燥・細菌など)から肌を守り、内側の水分が蒸散しないようにする仕組みのことです。バリアが壊れると、肌が荒れやすくなり、花粉や紫外線に過敏に反応しやすくなります。
バリア機能が大事なのは周知のことです。ラミナリアエキスの注目点は、そのメカニズムにあります。この成分に含まれる脂質(特定のエピカテキン化合物を含む)が、肌の表面脂質の含有量を補い、角層の「バリア膜」を物理的に厚くする働きを持っています。ポーラチョイスの評価では「肌の表面脂質の含有量を改善し、より強力なバリアを形成することが明らかになった」と明記されています。
バリアが強くなるということですね。
さらに抗炎症作用も備えています。アクセーヌ公式サイトでは「紫外線による炎症抑制・肌荒れ防止効果」を挙げており、肌が赤みを帯びやすいトラブル肌・ニキビ跡が残りやすい肌へのアプローチにも期待できます。
2019年には国際的な化粧品安全性評価機関「Cosmetic Ingredient Review Expert Panel」が、0.000024〜0.63%の濃度で配合された54製品を調査し、「現在の使用慣行で化粧品に使われるのは安全だ」と評価しています。これは必須の情報です。
ただし海藻由来成分ということで、甲状腺疾患をお持ちの方や海藻アレルギーのある方は、皮膚科医へ相談のうえで使用することを心がけてください。また初めて使う製品には、腕の内側でのパッチテストを24時間おこなうのが基本です。
ラミナリアオクロロイカエキスの炎症抑制・肌荒れ防止効果|アクセーヌ公式
保湿やバリア機能だけではありません。エイジングケアの観点からも、ラミナリアエキスは近年急速に注目を集めています。
カギとなるのは「抗酸化作用」です。含まれるゼアキサンチン・β-カロテン・クロロフィル(葉緑素)・エピカテキン化合物は、肌の酸化ストレス(活性酸素)を除去する力を持っています。紫外線を浴びた後の肌では大量の活性酸素が発生し、コラーゲンやエラスチンが分解されてシワ・たるみの原因になります。抗酸化作用が強いほど、この分解スピードを遅らせることができるのです。
さらに見逃せないのが「コラーゲン産生促進」の可能性です。いくつかの製品メーカーの臨床データでは、ラミナリアエキスを配合した製品の継続使用で「ハリの改善」「コラーゲン産生を促進する成分との相乗効果向上」が確認されています。30代以降のエイジングケアとして、抗酸化+コラーゲンサポートの両面から働く点は大きなメリットです。
これは使えそうです。
また「ターンオーバー促進」「肌の顔色の均一性向上(31%UP)」「顔色の明るさ向上(53%UP)」といった美白・透明感への寄与も、28日間のモニター試験で報告されています。シミや肌のくすみが気になる方にも有益な情報です。
| 効果 | モニター試験結果(28日間) |
|---|---|
| 顔色の明るさ | 53% UP |
| 肌のみずみずしさ | 36% UP |
| 顔色の均一性 | 31% UP |
| 乾燥ジワ | −12% |
| 目元のたるみ | −9% |
| 目のくま | −8% |
エイジングケアを目的としてラミナリアエキスを活用する場合は、ビタミンC誘導体やナイアシンアミドといった美白有効成分との組み合わせを持つ製品を選ぶと、相乗的な効果が期待できます。成分表示でラミナリアエキスが「水」の次から10番以内に記載されている製品を探すと、配合量が高いものを選びやすくなります。
ラミナリアを含む海藻のエイジングケア成分と効果詳細|イソマリン公式
ラミナリアエキスは幅広い価格帯の製品に配合されており、ドラッグストアから百貨店コスメまで選択肢は豊富にあります。まず代表的なブランドを把握しておくと、探す手間が減ります。
製品を選ぶ際のポイントは以下の3点に絞れます。
ラミナリアエキスが基本です。どの製品を選ぶにせよ、まず成分表示を見る習慣を持つことで、美容成分の知識が確実に積み上がっていきます。
クラランスにおけるラミナリアエキスの採用背景と肌への効果|クラランス公式
ラミナリアエキスを他の植物エキスと比較したとき、見落とされがちな視点があります。それは「海中という極限環境が生んだ成分」であることの意味です。
陸上植物は土壌・雨・大気という比較的安定した環境で育ちます。一方、ラミナリアを含む海藻は常に強い紫外線、波の衝撃、塩分、乾燥(干潮時)という複合的なストレスにさらされながら生きています。このような過酷な環境に対応するため、海藻は陸上植物とは全く異なる防御システムを発達させました。
その代表が「フロロタンニン(海藻ポリフェノール)」と「フコキサンチン」です。フロロタンニンは陸上のポリフェノール(ブルーベリーの抗酸化成分など)とは構造が異なり、紫外線を吸収する独特の働きを持ちます。フコキサンチンはカロテノイドの一種ですが、ワカメやコンブに豊富に含まれ、β-カロテンや他のカロテノイドと比べても際立った抗酸化活性が報告されています。
陸上の植物由来成分だけでは補えない、「海ならではの成分プロフィール」があるということですね。
また海水中の微量元素(ヨウ素・亜鉛・マグネシウムなど)は人間の皮膚細胞の代謝に深く関わっています。ラミナリア由来のミネラルは、これらを肌へ直接補給できるという点でも、陸上植物エキスとは一線を画した存在です。現在もMarine Drugs誌(2021年8月)など複数の国際誌で海洋由来成分の研究が進んでおり、今後さらなる効果の解明が期待されています。
「海洋由来成分」という切り口でスキンケアを選ぶ際は、ラミナリアエキス以外にもコンドルス クリスパスエキス(アイリッシュモス)やアルガンオイルと組み合わせた製品が多くなっています。ラミナリアエキス配合製品を選ぶ際に「他の海洋成分との掛け合わせ」にも注目すると、より高い相乗効果を期待できます。