寒天原料産地と種類の見分け方

寒天原料産地と種類の見分け方

寒天原料と産地

市販の粉寒天の8割以上は化学処理されたオゴノリ原料です。


この記事の3つのポイント
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原料の海藻は2種類だけ

寒天の原料は天草とオゴノリのみ。天草100%の天然寒天は高級品で、一般的な粉寒天の多くはアルカリ処理したオゴノリが主原料

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海藻の産地は世界各国

チリ、モロッコ、インドネシアなどからの輸入海藻が主流。国産天草は静岡・三重・徳島など限られた地域で採取され高価

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製造地は海なし長野県が日本一

長野県諏訪地方が国内シェア6割超。寒暖差の大きい気候が高品質な寒天づくりに最適で200年の伝統を誇る


寒天の原料海藻は天草とオゴノリの2種類


世界には何万種類もの海藻が存在していますが、寒天の原料として使える海藻はたった2種類だけです。それがテングサ(天草)とオゴノリという紅藻類の海藻です。


天草はマクサ、オバクサ、ヒラクサなどテングサ科海藻の総称で、一年草として自然に生育しています。この天草には「アガロース」と呼ばれる中性ガラクタンが多く含まれており、寒天の優れた凝固力と独特の食感を生み出す成分です。天草を原料とした寒天は、保水性や弾力性に優れ、融点が約91℃~92℃と高いのが特徴です。


一方のオゴノリは、天草と比べて入手しやすい海藻ですが、固まる力と保水性・弾力性がとても弱いという欠点があります。そのままでは寒天質が弱いため、アルカリ処理をすることで化学的に成分を抽出し、寒天同等の固まり具合に調整されています。オゴノリには「アガロペクチン」と呼ばれる酸性ガラクタンが多く含まれ、融点は約88℃~89℃と天草よりもやや低めです。


当然ながら天草の方が価値が高く高価です。高級和菓子店では天草100%の糸寒天や角寒天を使用しますが、一般家庭向けの粉寒天のほとんどはオゴノリが主原料となっています。粉寒天は機械生産で品質が一定に保たれ、価格も手頃なのがメリットですね。


ただし、化学処理の有無という違いは美容や健康を意識する方には重要なポイントです。天草100%の天然寒天を選ぶか、コストパフォーマンスに優れたオゴノリ原料の粉寒天を選ぶか、用途に応じて使い分けるのが賢い選択といえます。


かんてんぱぱの寒天教室 - 寒天の原料と種類について詳しく解説


寒天原料の海藻産地は世界中に広がる

寒天の原料となる海藻の産地は、実は日本国内だけではありません。現在では世界中のきれいな海から海藻が調達されています。


主要な産地はチリ、ブラジルなどの南米海域、モロッコ、スペインなどの地中海沿岸、そして日本、韓国、インドネシアなどのアジア海域です。横浜港は寒天原料の輸入で24年連続全国第1位を記録しており、中でもチリは輸入数量・金額ともに第1位となっています。チリではオゴノリの養殖が盛んに行われており、大規模な寒天製造工場も所在しています。


国産の天草の産地としては、静岡県伊豆地方、三重県、和歌山県、徳島県、愛媛県、山口県、大分県、長崎県などが知られています。特に静岡県西伊豆は天草の名産地として有名です。しかし、国産天草は韓国・チリ・モロッコなどの外国産と比べて品質は優れているものの、価格は半額以下で取引される外国産の2倍以上となっています。


原料となる海藻は同じ種類であっても、海水温や日照時間などの環境条件、生育時期によって性質が異なるのが特徴です。そのため寒天メーカーは早くから世界中のきれいな海を調査し、産地開拓を積極的に行ってきました。つまり、あなたが手にする寒天製品には、遠く離れた海で育った海藻が使われている可能性が高いということですね。


気候温暖化に伴う海水温の上昇により、原料事情は大きく揺らいでいます。安定供給のために複数の産地から原料を確保する体制が、今後ますます重要になってくるでしょう。


横浜税関 - 寒天の輸入統計と原料産地の詳細データ


寒天の製造地は海のない長野県が日本一

寒天の原料は海藻なのに、なぜ海のない長野県が生産日本一なのでしょうか。これは寒天製造に必要な気候条件が関係しています。


長野県諏訪地方(諏訪市・茅野市を中心)は、2023年の出荷額で全国トップ、国内シェアの6割超を握っています。特に角寒天の生産では、諏訪地域が国内唯一の産地となっています。寒天作りが諏訪に根付いたのは1840年頃で、諏訪の行商人が大阪でところてんの製法を学び、信州の厳しい寒さを利用して寒天製造を始めたのが起源です。


寒天を作るには、冬季に晴天が多く且つ1日の寒暖差が大きいことが良質な寒天産地の条件です。諏訪地方は標高が高く、冬の夜間は氷点下まで冷え込み、日中は晴天で気温が上がるという理想的な環境です。この「凍結と解凍の繰り返し」こそが、寒天から水分を抜いて透明で美しい寒天を作る秘訣なのです。


角寒天の製造工程では、原料の海藻を煮出してところてんを作り、それを型に流し込んで固め、屋外で自然凍結と天日乾燥を繰り返します。12月から2月の最盛期には、一面に寒天を干す光景が諏訪地方の冬の風物詩となっています。この伝統的な製法は200年以上受け継がれています。


岐阜県恵那市(旧山岡町)も細寒天の産地として有名で、「山岡細寒天」は国内で生産される細寒天の80%を占めています。水野寒天などの高品質な製品は天草100%にこだわり、九州産などの厳選された天草を使用しています。


つまり、海藻は輸入や国内各地から調達し、製造は気候条件の整った山岳地帯で行うというのが日本の寒天産業の特徴なのですね。


nippon.com - 長野・諏訪地方の寒天づくり200年の伝統を詳しく紹介


寒天の種類による原料と製法の違い

寒天には角寒天(棒寒天)、糸寒天(細寒天)、粉末寒天の3種類があり、それぞれ原料と製法が異なります。この違いが価格だけでなく、健康や美容への効果にも影響を与えます。


角寒天と糸寒天は「天然寒天」と呼ばれ、原料は天草が主体です。角寒天は天草とオゴノリのブレンドが多く、糸寒天はほとんどの場合テングサ100%です。どちらも屋外で凍結・乾燥させる伝統的な製法で作られます。天然寒天の大きな特徴は「アガロペクチン」という成分が豊富に含まれている点です。


アガロペクチンには、コレステロール値を低下させる作用、血糖値の改善、整腸作用などが実証されています。つまり、美容や健康を意識するなら天然寒天の方が優れているということですね。


ただし、価格は粉寒天の数倍と高めです。


一方、粉末寒天は「工業寒天」と呼ばれ、原料のほとんどがオゴノリです。オゴノリはアルカリ処理をして寒天質を強化し、工場で機械的に圧力をかけて脱水します。この強制脱水の過程でアガロペクチンが流出してしまうため、粉寒天にはアガロペクチンがほとんど含まれません。


しかし、粉寒天にも利点はあります。凝固力が強く(ゼリー強度700)、水に戻す手間がなくそのまま使える手軽さがあります。食物繊維は天然寒天同様に豊富に含まれているため、整腸作用や満腹感によるダイエット効果は期待できます。


価格も手頃で品質が一定なのがメリットです。


置き換えの目安は、粉寒天4g=角寒天1本(約8g)=糸寒天8gです。同じ「寒天」という名前でも、原料と製法によってこれほど違いがあるんですね。用途や目的に応じて使い分けることが大切です。


株式会社マツキ - 寒天の種類別の特徴と使い分け方を解説


寒天の美容効果を最大化する原料選びのポイント

寒天の美容効果を得たいなら、原料と製法を確認することが重要です。美容目的で寒天を選ぶ際のチェックポイントをお伝えします。


まず、商品パッケージの原材料表示を必ず確認しましょう。「海藻(紅藻類)」と記載されているだけでは、天草かオゴノリか判別できません。高品質な製品は「天草100%」「テングサ使用」と明記しています。「原料原産国:チリ、インドネシア、モロッコ」などの表示がある場合は、オゴノリ主体の可能性が高いです。


美容とコレステロール対策には、天然寒天に多く含まれるアガロペクチンが有用です。アガロペクチンは角寒天や糸寒天に豊富で、毎日2gずつ食べ続けることで総コレステロール、悪玉コレステロール、中性脂肪、血糖値が低下するという研究結果があります。これは体重50kgの人の血液約4リットル分に含まれる脂質を減らす効果に相当するんですね。


ただし、天然寒天は高価なため、継続が難しい場合もあります。そんな時は、食物繊維による整腸作用や満腹感を目的として粉寒天を活用するのも一つの方法です。粉寒天の食物繊維は100gあたり約80gと、あらゆる食材の中でトップクラスです。この食物繊維は体内で水分を吸収し約250倍に膨らむため、少量でも満腹感が得られます。


注意点として、寒天は水分の摂取量が少ないと便秘になりやすい特性があります。寒天を食べる際は、コップ1杯以上の水分を一緒に摂ることを心がけてください。水分が不足すると、逆に便の水分を吸収して固くしてしまうからです。


国内製造で原料産地が明記されている製品を選べば、品質とトレーサビリティの面で安心できます。美容効果を最大化するには、原料の質と継続的な摂取の両方が大切だということですね。


株式会社マツキ - アガロペクチンの美容・健康効果の詳しい研究データ




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