

スキンケアに塗っているつもりが、食べる方が肌への効果は3倍速い。
ヘーゼルナッツオイルとは、カバノキ科ヘーゼル属の植物(和名:ハシバミ)の種子から搾油した植物油です。チョコレートやアイスクリームの風味づけとしておなじみのヘーゼルナッツですが、そこから丁寧に搾り取ったオイルは、食用油の世界では非常に希少な存在として知られています。
1Lのオイルを作るのに、なんと約2.5kgものナッツが必要です。これはハガキ1枚分の重さのナッツでわずか数mlしか採れない計算になります。生産量が少なく手作業による製造が多いため、市場に流通する量は限られており、一般的なサラダ油やオリーブオイルと比べると価格はかなり高めです。
世界最大のヘーゼルナッツ生産国はトルコで、全世界の生産量の約70%を占めています。続いてイタリアが約10%前後。日本に輸入されるヘーゼルナッツのほとんどはトルコ産で、その品質は世界的に高く評価されています。特に黒海沿岸地域産のものは最高品質と称されることも多いです。
ヘーゼルナッツオイルの大きな特徴は、その豊かな風味にあります。ローストされたヘーゼルナッツをそのまま食べているかのような、上品な甘みとビターな香ばしさが特徴的で、料理に数滴かけるだけで全体の味わいを格上げしてくれます。生食・加熱どちらにも対応できる、使い勝手のよいオイルです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 和名 | ハシバミ油(食用はしばみ油) |
| 主な産地 | トルコ(世界シェア約70%)、フランス、イタリア |
| 採油量 | 1Lに約2.5kgのナッツ使用 |
| 主な脂肪酸 | オレイン酸(約75〜80%)、リノール酸 |
| 調理適性 | 生食・加熱どちらも可能 |
| 保存方法 | 常温暗所、開封後は冷蔵推奨・1ヶ月以内に使用 |
希少性が高い分、品質のよいものを正しく使うことが大切です。つまり選び方と保存方法が重要です。
オレイン酸含有量や製造方法について詳しく知りたい方はこちらも参考になります。
シニアオイルソムリエが語るナッツオイルの種類と特徴(クックビズ)
ヘーゼルナッツオイルが美容に関心の高い人たちに注目されている最大の理由は、オレイン酸の圧倒的な含有量にあります。全脂肪酸のうち約75〜80%がオレイン酸(オメガ9)で、これはオリーブオイルとほぼ同等か、それを上回るレベルです。
オレイン酸は一価不飽和脂肪酸の代表格で、体内に入ると悪玉コレステロール(LDL)を抑制しながら善玉コレステロール(HDL)を保つ働きをします。血流の改善に直結し、その結果として肌への栄養供給がスムーズになります。さらに腸内環境を整える作用も持ち、善玉菌が育ちやすい腸内をつくることで、肌荒れや便秘の根本改善にもアプローチします。腸と肌は密接につながっている、という「腸脳皮膚相関」の観点からも、食べて摂ることに意義があります。
また、ヘーゼルナッツオイルにはビタミンEも豊富に含まれています。ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれる強力な抗酸化物質です。活性酸素から細胞を守り、シミ・シワ・くすみの原因となる酸化ダメージを内側から防ぎます。血行を促進する効果もあるため、くすみが気になる季節には特に頼りになる栄養素です。
さらに注目したいのがパルミトレイン酸の存在です。これは皮膚の再生に直接関与する脂肪酸で、年齢とともに体内での生成量が減っていきます。食べて補うことで、肌のターンオーバーをサポートし、コラーゲンの合成にも間接的に貢献するとされています。
これだけの成分が揃っています。美容オイルと食用オイル、二役をこなせるのがヘーゼルナッツオイルの強みです。
食べながら美肌を目指す「インナービューティ」の視点で、毎日の食事に少量加えるだけで、肌の土台を内側から整えることができます。1日あたり小さじ1〜2杯(5〜10ml)を目安に、サラダのドレッシングや料理の仕上げとして使うのが取り入れやすいですね。
ヘーゼルナッツの美容・健康効果の詳細はこちらをご参照ください。
ヘーゼルナッツオイルの香ばしく上品な甘みは、料理に加えるだけで一気にリッチな味わいをプラスしてくれます。使い方の基本を押さえれば、毎日の食卓に自然に組み込めます。これは使えそうです。
ドレッシング・仕上げがけが最もシンプルで効果的な使い方です。ルッコラ・セロリ・春菊など、香りの強い葉野菜との相性が抜群で、塩とヘーゼルナッツオイルだけのシンプルなドレッシングでも十分に美味しく仕上がります。バルサミコ酢やレモン汁と合わせると、風味がより際立ちます。
加熱調理にも対応しているのが、このオイルの大きな特徴です。オレイン酸を多く含み酸化安定性が高いため、炒め物・ソテー・オーブン料理の下味づけにも使えます。たとえば、豚ロースや鶏胸肉にヘーゼルナッツオイル+ローズマリー+塩こしょうで下味をつけてオーブンでローストすると、ナッツの香ばしさが肉の旨みを引き出してくれます。
| 用途 | おすすめの組み合わせ・方法 |
|---|---|
| 🥗 サラダドレッシング | ルッコラ・セロリ + 塩 + バルサミコ酢 |
| 🍝 パスタの仕上げ | 茹で上がりのパスタに回しかけ+粗塩 |
| 🥩 肉料理の下味 | 豚ロースや鶏肉に塗り込みオーブンロースト |
| 🍰 製菓・お菓子 | シフォンケーキやクッキーに生地に混ぜ込む |
| 🍞 パン・トースト | トーストにかけてはちみつと合わせる |
| ☕ コーヒー・スープ | 仕上げに数滴たらして風味づけ |
製菓への活用も見逃せません。シフォンケーキやクッキーの生地にヘーゼルナッツオイルを加えると、ナッツ由来の豊かな香りとしっとりした食感が生まれます。バターや一般的な植物油の代わりに使うことで、香り高い仕上がりになります。
注意点として、香りを最大限に楽しみたい場面では、調理の最後に回しかける方法がベストです。加熱しすぎると繊細な香り成分が飛んでしまうためです。炒め物の仕上げや、スープのトッピングとして使うと、少量でも香ばしさが際立ちます。
実際のレシピやシェフによる活用例はこちらで確認できます。
ヘーゼルナッツオイルを使ったナッツオイル料理レシピ(クックビズ)
せっかく美容効果を期待して使うなら、品質のよいオイルを選ぶことが前提です。市販されているヘーゼルナッツオイルには品質のばらつきがあり、選び方を間違えると期待した効果が得られないことも。品質が条件です。
最も大切なポイントは製法です。「コールドプレス製法」や「低温圧搾」と表記されているものを選ぶのが基本です。熱を加えずに圧搾することで、オレイン酸やビタミンEなどの栄養素が損なわれにくく、香りも豊かに仕上がります。一方、溶剤抽出法(化学的な方法)で作られたものは製造コストは低い反面、風味や栄養価が下がりやすいです。
次に確認したいのは精製・未精製の別です。
美容目的でインナービューティとして食べるなら、未精製のコールドプレスタイプが最も推奨されます。精製品は揚げ物・炒め物など高熱調理への活用を優先する場面で選ぶとよいでしょう。
また、遮光ガラス瓶に入ったものを選ぶことも重要です。オイルは光で酸化が進みます。透明ボトルのものは売り場の照明にさらされる時間が長くなるため、品質が落ちやすいです。ダークカラーまたは遮光加工の瓶入りを基準にするとよいでしょう。
信頼性の高いブランドの目安としては、フランスの老舗「ルブラン(J. Leblanc)」社や、大阪の搾りたてオイル専門店「FRESCO(フレスコ)」などが知られています。オーガニック認証(EUオーガニック・有機JAS)があるものはさらに安心感があります。
どれだけ品質の高いヘーゼルナッツオイルを買っても、保存方法を間違えると一気に劣化します。酸化したオイルは逆効果です。肌荒れや腹痛・嘔吐・下痢の原因にもなり得るため、保存は美容効果と健康を守る最後の砦です。
ヘーゼルナッツオイルが劣化する主な原因は「光」「熱」「酸素」の3つです。特に開封後はこれらすべての影響をダイレクトに受けやすくなります。
開封後の目安は約1ヶ月以内での使い切りが推奨されています。これは日清オイリオをはじめとする食用油メーカーが開封後の食用油全般に推奨している目安(1〜2ヶ月以内)とも一致しており、香りの繊細なヘーゼルナッツオイルは特に早めに使いきるのが得策です。
保存場所は、シンク下の冷暗所か冷蔵庫が理想です。ただし、冷蔵庫に入れると低温で白く濁ることがありますが、これは成分が固まっているだけで品質には問題ありません。常温に戻せば透明になります。
酸化しているかどうかは、開けた瞬間の匂いで判断できます。正常なヘーゼルナッツオイルはナッツの甘い香ばしさがありますが、酸化が進むと油脂特有の不快な酸味臭(いわゆる「油臭さ」)が出てきます。匂いがおかしいと感じたら、使用をやめることが大切です。
少量ずつ使いきれる容量(100〜120ml程度)のものを購入するのが、美容目的での使用には合理的です。大容量は1本あたりのコストが安くても、酸化して使いきれなかったり捨てたりしては本末転倒になります。
食用油の正しい保存方法と酸化の見分け方について詳しくはこちら。
ヘーゼルナッツオイルは「食べる美容オイル」として注目されていますが、いくつかの点を知っておかないと、せっかくの効果が半減したり、思わぬ副作用を招くことがあります。
まず、アレルギーへの注意は最優先事項です。ヘーゼルナッツはナッツアレルギーの原因食品として知られており、食物アレルギー表示の特定原材料に準じるものとして扱われる場合があります。これまでナッツ類でアレルギー症状(口腔アレルギー、じんましん、胃腸症状など)が出たことがある方は、必ず医師に相談したうえで使用してください。
次に、摂り過ぎへの注意です。ヘーゼルナッツオイルは1gあたり約9kcalのエネルギーを持つ脂質です。美容効果を期待するからといって大量に摂ると、カロリー過多になります。食用目的での目安は1日小さじ1〜2杯(5〜10ml程度)。これは他の食事で摂取する油脂も考慮したうえで取り入れるのが基本です。
意外と知られていない活用法として、コーヒーや紅茶への数滴たらしがあります。フランスのカフェ文化では、エスプレッソやカフェオレにヘーゼルナッツの香りを加えるのはごく自然な楽しみ方で、人工的なヘーゼルナッツシロップの代わりに、本物のオイルを1〜2滴たらすだけで風味が格段にアップします。砂糖を使わずに満足感のある香りを加えられるため、ダイエット中の美容意識が高い方にも取り入れやすい方法です。
また、食用として購入したヘーゼルナッツオイルは、そのままスキンケアにも使える場合があります。ただし、食用と美容用は成分規格が異なる場合があるため、顔への使用を目的とするなら専用のコスメグレードのものを選ぶのが安全です。あくまで食用は「食べること」を優先し、スキンケアにはスキンケア用途のものを選ぶのが原則です。
最後に、ヘーゼルナッツオイルと相性のよい食材を覚えておくと、日常的に取り入れやすくなります。香りの強い野菜(ルッコラ・セロリ・春菊)、白身魚のカルパッチョ、ホタテのソテー、ジャガイモ料理、チョコレートを使ったスイーツなどがよく挙げられます。食材の風味を邪魔せず、むしろ引き立てる存在として機能します。
正しく取り入れれば、毎日の食卓がそのまま美容ルーティンになります。食べるだけで肌の土台が整う、それがヘーゼルナッツオイルの食用ならではの魅力です。