
グリチルリチン酸ジカリウムは、マメ科植物の甘草から抽出したグリチルリチン酸に、水に溶けやすくするためのカリウム塩を結合させた植物由来の成分です 。この成分は砂糖の250倍もの甘味を持つ天然甘味料としても使われていますが、化粧品分野では医薬部外品の「肌荒れ防止有効成分」として承認を受けており、その安全性と有効性が科学的に認められています 。
化粧品として外用使用する場合、20年以上の使用実績があり重大な副作用は報告されていません 。内服薬と比較して皮膚から吸収される量は少なく、化粧品や医薬部外品には配合上限が定められているため、日常的なスキンケアでの使用において安心感があります。
💡 興味深いポイント: グリチルリチン酸ジカリウムは、医薬品として服用すると偽アルドステロン症などの副作用リスクがありますが、化粧品として外用使用する分には安全性が高いことが特徴的です 。
グリチルリチン酸ジカリウムの最も重要な効果は、強力な抗炎症作用です。この成分は、組織がダメージを受けた際に体内で生成される「プロスタグランジンE2」という炎症性物質の産生を強力に抑制する働きがあります 。プロスタグランジンE2は痛みや熱、腫れなどの炎症反応を引き起こす生理活性物質のため、その産生を抑えることで過剰な炎症や赤み(紅斑)を効果的に抑制できるのです 。
参考)【成分解説】グリチルリチン酸ジカリウムの抗炎症作用とは
この抗炎症メカニズムにより、赤く盛り上がったニキビの炎症悪化を防ぎ、さらに赤みを抑える効果も期待できます 。炎症を起こしたニキビは毛穴の中でアクネ菌などが増えて炎症を起こしている状態ですが、グリチルリチン酸ジカリウムが炎症を引き起こす毛細血管の拡張を抑えることで、ニキビの症状改善につながります。
🔬 科学的メカニズム: 炎症反応において、グリチルリチン酸ジカリウムはアラキドン酸の遊離を促進する酵素や、遊離したアラキドン酸の代謝酵素の活性を阻害することで、炎症応答の発生を根本から抑制します 。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj/50/4/50_334/_pdf
グリチルリチン酸ジカリウムには、抗アレルギー作用という重要な効果があります。この作用は、ヒアルロン酸の分解酵素である「ヒアルロニダーゼ」の活性を阻害することで発揮されます 。ヒアルロニダーゼは炎症時に活性化され、組織を破壊してアレルギーの発症に関わるヒスタミンの遊離を促進する酵素です。
グリチルリチン酸ジカリウムがこの酵素の活性を阻害することで、ヒスタミンの放出を抑え、アレルギー反応によるかゆみや痛みを緩和する効果があります 。また、肌表面に刺激が加わった際にヒアルロニダーゼが過度に活性化すると、ヒアルロン酸のバランスが崩れてかゆみが発症しやすくなるため、この抗アレルギー作用は敏感肌の方にとって特に有益です 。
蕁麻疹(じんましん)などのアレルギー症状を防いだり、皮膚の刺激をやわらげる効果もあるため、少しの刺激で反応しやすい敏感肌の日常ケアに適しています 。
肌の表面には角質細胞がきれいに並んでおり、その間をセラミドなどの細胞間脂質が満たすことでバリア機能を形成しています。グリチルリチン酸ジカリウムは、この角質細胞の外側の膜(CE=コーニファイドエンベロープ)を丈夫にする働きがあり、バリア機能の改善や質の向上が期待できます 。
アトピー肌や敏感肌、トラブル肌の多くは、このバリア機能が弱っている状態にあります。グリチルリチン酸ジカリウムによってバリア機能が強化されることで、乾燥や外的刺激から肌を守る力が向上し、肌トラブルの予防につながります。また、過剰に分泌された皮脂による炎症を鎮める作用もあるため、開き毛穴にも効果的とされています 。
✨ 特別な効果: 紫外線でダメージを受けた肌のケアにも有効で、紫外線によるダメージは季節を問わず受ける可能性があるため、1年を通してのケアが推奨されています 。
参考)人気のグリチルリチン酸ジカリウム化粧水おすすめ - OZma…
あまり知られていない驚くべき効果として、グリチルリチン酸ジカリウムには線維芽細胞増殖作用があります 。線維芽細胞は、肌のハリや弾力を生み出すコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を作り出す重要な細胞です。グリチルリチン酸ジカリウムがこれらの細胞を増やす作用を持つことで、肌にハリと弾力をもたらす効果が期待できます。
この効果は単なる炎症抑制を超えて、肌の根本的な若々しさを支える働きといえます。加齢や紫外線などにより、肌のコラーゲン線維量は年齢とともに減少し、線維芽細胞の活性も20代から低下するとされているため 、グリチルリチン酸ジカリウムの線維芽細胞への働きかけは、エイジングケアの観点からも注目すべき効果です。
参考)コラーゲン線維の効果的な形成には素材の添加タイミングが重要で…
🎯 独自の視点: 多くの人が抗炎症作用のみに注目しがちですが、このコラーゲン産生促進効果こそが、グリチルリチン酸ジカリウムが長期的な美肌効果をもたらす秘密の一つといえるでしょう 。
参考)https://www.belluna.co.jp/news/newsrelease/2025/20250916.html